東北大学 2001年 文系 第1問 解説

方針・初手
共通接線を求めるには、直線の方程式を $y = ax + b$ とおき、それぞれの放物線の方程式と連立して得られる2次方程式がともに重解をもつ条件(判別式 $D = 0$)を考えるのが簡明である。 共通接線が求まった後は、2つの接点と接線の交点の $x$ 座標を求め、定積分を用いて面積を計算する。
解法1
求める共通接線の方程式を $y = ax + b$ とおく。
この直線が放物線 $C : y = -(x+1)^2$ に接するための条件を求める。 連立して $y$ を消去すると、
$$ -(x+1)^2 = ax + b $$
展開して整理すると、
$$ x^2 + (a+2)x + b + 1 = 0 $$
この2次方程式が重解をもつので、判別式を $D_1$ とすると $D_1 = 0$ である。
$$ D_1 = (a+2)^2 - 4(b+1) = a^2 + 4a - 4b = 0 \quad \cdots (1) $$
同様に、直線が放物線 $D : y = (x-1)^2 + 1$ に接するための条件を求める。 連立して $y$ を消去すると、
$$ (x-1)^2 + 1 = ax + b $$
展開して整理すると、
$$ x^2 - (a+2)x - b + 2 = 0 $$
この2次方程式が重解をもつので、判別式を $D_2$ とすると $D_2 = 0$ である。
$$ D_2 = (a+2)^2 - 4(-b+2) = a^2 + 4a + 4b - 4 = 0 \quad \cdots (2) $$
(2) から (1) を辺々引くと、
$$ 8b - 4 = 0 $$
よって、$b = \frac{1}{2}$ を得る。 これを (1) に代入すると、
$$ a^2 + 4a - 2 = 0 $$
これを解いて、$a = -2 \pm \sqrt{6}$ となる。 以上より、求める共通接線の方程式は、
$$ y = (-2 - \sqrt{6})x + \frac{1}{2}, \quad y = (-2 + \sqrt{6})x + \frac{1}{2} $$
次に、これらの共通接線と $C$ で囲まれた部分の面積 $S$ を求める。 接点の $x$ 座標は、それぞれの方程式と直線を連立した際の重解 $x = -\frac{a+2}{2}$ として求められる。
$a = -2 - \sqrt{6}$ のとき、接点の $x$ 座標は $x = \frac{\sqrt{6}}{2}$ である。 $a = -2 + \sqrt{6}$ のとき、接点の $x$ 座標は $x = -\frac{\sqrt{6}}{2}$ である。
また、2本の共通接線の交点の $x$ 座標は、
$$ (-2 - \sqrt{6})x + \frac{1}{2} = (-2 + \sqrt{6})x + \frac{1}{2} $$
より、$x = 0$ である。
区間 $-\frac{\sqrt{6}}{2} \leqq x \leqq 0$ においては接線 $y = (-2 + \sqrt{6})x + \frac{1}{2}$ が上にあり、 区間 $0 \leqq x \leqq \frac{\sqrt{6}}{2}$ においては接線 $y = (-2 - \sqrt{6})x + \frac{1}{2}$ が上にあるため、求める面積 $S$ は次のように立式できる。
$$ S = \int_{-\frac{\sqrt{6}}{2}}^{0} \left\{ (-2 + \sqrt{6})x + \frac{1}{2} - (-(x+1)^2) \right\} dx + \int_{0}^{\frac{\sqrt{6}}{2}} \left\{ (-2 - \sqrt{6})x + \frac{1}{2} - (-(x+1)^2) \right\} dx $$
それぞれの被積分関数は、接点において放物線と接するという性質から完全平方式となる。
$$ S = \int_{-\frac{\sqrt{6}}{2}}^{0} \left( x + \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^2 dx + \int_{0}^{\frac{\sqrt{6}}{2}} \left( x - \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^2 dx $$
積分を実行すると、
$$ \begin{aligned} S &= \left[ \frac{1}{3} \left( x + \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3 \right]_{-\frac{\sqrt{6}}{2}}^{0} + \left[ \frac{1}{3} \left( x - \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3 \right]_{0}^{\frac{\sqrt{6}}{2}} \\ &= \frac{1}{3} \left( \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3 - 0 + 0 - \frac{1}{3} \left( -\frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3 \\ &= \frac{2}{3} \left( \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3 \\ &= \frac{2}{3} \cdot \frac{6\sqrt{6}}{8} \\ &= \frac{\sqrt{6}}{2} \end{aligned} $$
解法2
放物線 $C$ 上の点における接線を考え、それが $D$ にも接するという方針で共通接線を求める。
$y = -(x+1)^2$ を微分すると $y' = -2(x+1)$ である。 $C$ 上の点 $(t, -(t+1)^2)$ における接線の方程式は、
$$ y - \{-(t+1)^2\} = -2(t+1)(x - t) $$
整理すると、
$$ y = -2(t+1)x + t^2 - 1 \quad \cdots (3) $$
この直線が $D : y = (x-1)^2 + 1$ に接するための条件を考える。 連立して $y$ を消去すると、
$$ (x-1)^2 + 1 = -2(t+1)x + t^2 - 1 $$
展開して整理すると、
$$ x^2 + 2tx - t^2 + 3 = 0 $$
この $x$ についての2次方程式が重解をもつので、判別式を $D_3$ とすると $\frac{D_3}{4} = 0$ である。
$$ \frac{D_3}{4} = t^2 - (-t^2 + 3) = 2t^2 - 3 = 0 $$
よって、$t^2 = \frac{3}{2}$ すなわち $t = \pm \frac{\sqrt{6}}{2}$ となる。
$t = \frac{\sqrt{6}}{2}$ のとき、(3) より接線の方程式は、
$$ y = (-2 - \sqrt{6})x + \frac{1}{2} $$
$t = -\frac{\sqrt{6}}{2}$ のとき、(3) より接線の方程式は、
$$ y = (-2 + \sqrt{6})x + \frac{1}{2} $$
これらが2本の共通接線である。 面積の計算については解法1と同様の定積分を行うことで $\frac{\sqrt{6}}{2}$ を得る。
解説
2つの放物線の共通接線を求める問題は、接線を $y = ax + b$ とおいて判別式を2回用いるか、一方の放物線上の点における接線を立式して他方の放物線と接する条件を考えるか、どちらのアプローチでも解決できる。本問のように2次の係数の絶対値が等しい場合は、判別式を用いた連立方程式が解きやすくなることが多い。
また、放物線と2本の接線で囲まれた図形の面積を求める計算は頻出である。 放物線 $y = px^2 + qx + r$ と、その上の2点($x$ 座標を $\alpha, \beta$ とする、$\alpha < \beta$)における接線で囲まれた部分の面積 $S$ は、常に以下の公式(いわゆる $\frac{1}{12}$ 公式)で求められる。
$$ S = \frac{|p|}{12}(\beta - \alpha)^3 $$
本問で検算として用いると、$p = -1, \alpha = -\frac{\sqrt{6}}{2}, \beta = \frac{\sqrt{6}}{2}$ より、 $S = \frac{1}{12} \left( \frac{\sqrt{6}}{2} - \left(-\frac{\sqrt{6}}{2}\right) \right)^3 = \frac{1}{12}(\sqrt{6})^3 = \frac{\sqrt{6}}{2}$ となり、積分計算の結果と一致することがすぐに確認できる。
答え
共通接線の方程式: $$ y = (-2 \pm \sqrt{6})x + \frac{1}{2} $$
囲む部分の面積: $$ \frac{\sqrt{6}}{2} $$
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