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九州大学 2002年 文系 第1問 解説

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九州大学 2002年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) は円の接線の方程式の公式を導出する問題です。ベクトル(法線ベクトル)を用いる方法と、微分法を用いる方法の2通りが主な方針として挙げられます。 (2) は2つの曲線に共通する接線を求める問題です。「放物線上の点における接線を設定し、それが円に接する条件(点と直線の距離)を課す」方針か、「円上の点における接線を設定し、それが放物線に接する条件(判別式)を課す」方針のいずれかで進めます。 (3) は(2)で得られた接線を特定し、定積分によって面積を計算します。接線と放物線で囲まれる図形であるため、被積分関数が完全平方式になる性質を利用して計算を簡略化します。

解法1

(1) 点 $P(a,b)$ を接点とする。点 $P$ は円 $x^2+y^2=r^2$ 上の点であるから

$$a^2+b^2=r^2$$

が成り立つ。 原点 $O(0,0)$ から接点 $P(a,b)$ へ引いたベクトル $\vec{OP}=(a,b)$ は、点 $P$ における接線の法線ベクトルである。 したがって、求める接線の方程式は、点 $P(a,b)$ を通り、法線ベクトルが $(a,b)$ である直線だから

$$a(x-a) + b(y-b) = 0$$

これを展開して整理すると

$$ax + by = a^2 + b^2$$

$a^2+b^2=r^2$ を代入して、接線の方程式は

$$ax + by = r^2$$

で与えられることが示された。

(2) 放物線 $C: y=x^2+1$ 上の点 $(t, t^2+1)$ における接線を考える。 $y'=2x$ より、接線の傾きは $2t$ であるから、その方程式は

$$y - (t^2+1) = 2t(x-t)$$

すなわち

$$2tx - y - t^2 + 1 = 0$$

となる。 この直線が円 $x^2+y^2=1$ に接するための条件は、円の中心 $(0,0)$ と直線の距離が半径の $1$ に等しいことである。点と直線の距離の公式より

$$\frac{|2t \cdot 0 - 1 \cdot 0 - t^2 + 1|}{\sqrt{(2t)^2+(-1)^2}} = 1$$

$$\frac{|1-t^2|}{\sqrt{4t^2+1}} = 1$$

分母を払って両辺は正であるから2乗すると

$$(1-t^2)^2 = 4t^2+1$$

$$1 - 2t^2 + t^4 = 4t^2 + 1$$

$$t^4 - 6t^2 = 0$$

$$t^2(t^2-6) = 0$$

これを解いて

$$t = 0, \pm\sqrt{6}$$

を得る。これらを接線の方程式に代入すると、求める接線の方程式は以下の3本となる。 $t=0$ のとき: $y=1$ $t=\sqrt{6}$ のとき: $2\sqrt{6}x - y - 6 + 1 = 0 \iff y=2\sqrt{6}x - 5$ $t=-\sqrt{6}$ のとき: $-2\sqrt{6}x - y - 6 + 1 = 0 \iff y=-2\sqrt{6}x - 5$

(3) (2)で求めた3本の接線のうち、$x$軸の正の部分と交わるものは $y=0$ としたときの $x$ の値が正となるものである。 $y=1$ は $x$軸と平行である。 $y=2\sqrt{6}x-5=0$ のとき $x=\frac{5}{2\sqrt{6}} > 0$ であるから適する。 $y=-2\sqrt{6}x-5=0$ のとき $x=-\frac{5}{2\sqrt{6}} < 0$ であるから不適である。 よって $l_1: y=2\sqrt{6}x-5$、$l_2: y=1$ である。

$l_1$ と $C$ の接点の $x$ 座標は $t=\sqrt{6}$ より $x=\sqrt{6}$。 $l_2$ と $C$ の接点の $x$ 座標は $t=0$ より $x=0$。 また、$l_1$ と $l_2$ の交点の $x$ 座標は

$$2\sqrt{6}x-5 = 1$$

$$2\sqrt{6}x = 6$$

$$x = \frac{\sqrt{6}}{2}$$

したがって、求める面積 $S$ は、区間 $0 \leqq x \leqq \frac{\sqrt{6}}{2}$ では $C$ と $l_2$ の間の面積、区間 $\frac{\sqrt{6}}{2} \leqq x \leqq \sqrt{6}$ では $C$ と $l_1$ の間の面積の和となる。

$$S = \int_{0}^{\frac{\sqrt{6}}{2}} \{(x^2+1)-1\}dx + \int_{\frac{\sqrt{6}}{2}}^{\sqrt{6}} \{(x^2+1)-(2\sqrt{6}x-5)\}dx$$

$$S = \int_{0}^{\frac{\sqrt{6}}{2}} x^2 dx + \int_{\frac{\sqrt{6}}{2}}^{\sqrt{6}} (x-\sqrt{6})^2 dx$$

$$S = \left[ \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{\frac{\sqrt{6}}{2}} + \left[ \frac{1}{3}(x-\sqrt{6})^3 \right]_{\frac{\sqrt{6}}{2}}^{\sqrt{6}}$$

$$S = \frac{1}{3} \left( \frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3 + 0 - \frac{1}{3} \left( \frac{\sqrt{6}}{2} - \sqrt{6} \right)^3$$

$$S = \frac{1}{3} \cdot \frac{6\sqrt{6}}{8} - \frac{1}{3} \left( -\frac{\sqrt{6}}{2} \right)^3$$

$$S = \frac{\sqrt{6}}{4} - \frac{1}{3} \left( -\frac{6\sqrt{6}}{8} \right)$$

$$S = \frac{\sqrt{6}}{4} + \frac{\sqrt{6}}{4} = \frac{\sqrt{6}}{2}$$

解法2

以下に問(1)および問(2)の別解を示す。

(1)の別解(微分法の利用) 円の方程式 $x^2+y^2=r^2$ について考える。 (i) $b \neq 0$ のとき 円の方程式の両辺を $x$ で微分すると

$$2x + 2y \cdot y' = 0$$

$$y' = -\frac{x}{y}$$

点 $(a,b)$ における接線の傾きは $-\frac{a}{b}$ である。よって、接線の方程式は

$$y - b = -\frac{a}{b}(x - a)$$

両辺に $b$ を掛けて整理すると

$$by - b^2 = -ax + a^2$$

$$ax + by = a^2 + b^2$$

点 $(a,b)$ は円上の点であるから $a^2+b^2=r^2$ を代入して

$$ax + by = r^2$$

(ii) $b = 0$ のとき $a^2+b^2=r^2$ より $a = \pm r$ となる。 点 $(\pm r, 0)$ における接線は $y$軸に平行な直線 $x = \pm r$ である。 これは $ax+by=r^2$ に $a = \pm r, b = 0$ を代入した $\pm rx = r^2 \iff x = \pm r$ と一致する。 以上より、いずれの場合も接線の方程式は $ax+by=r^2$ で与えられる。

(2)の別解(円の接線を放物線に代入) 円 $x^2+y^2=1$ に接する直線は、(1)より接点を $(a,b)$(ただし $a^2+b^2=1$)とすると $ax+by=1$ と表せる。 (i) $b = 0$ のとき $a = \pm 1$ となり、接線の方程式は $x = \pm 1$ となる。 これは放物線 $y=x^2+1$ と1点で交わるが、接線ではないため不適である。 (ii) $b \neq 0$ のとき 接線の方程式は $y = -\frac{a}{b}x + \frac{1}{b}$ と変形できる。 これを放物線の方程式 $y=x^2+1$ に代入して

$$x^2 + 1 = -\frac{a}{b}x + \frac{1}{b}$$

$$x^2 + \frac{a}{b}x + 1 - \frac{1}{b} = 0$$

この $x$ についての2次方程式が重解をもてばよい。判別式を $D$ とすると $D=0$ となるので

$$D = \left(\frac{a}{b}\right)^2 - 4\left(1 - \frac{1}{b}\right) = 0$$

$$a^2 - 4b^2 + 4b = 0$$

ここで、$a^2+b^2=1$ より $a^2 = 1 - b^2$ を代入して

$$(1 - b^2) - 4b^2 + 4b = 0$$

$$5b^2 - 4b - 1 = 0$$

$$(5b+1)(b-1) = 0$$

これを解いて $b = 1, -\frac{1}{5}$ を得る。 $b = 1$ のとき、$a^2 = 0$ より $a = 0$。接線の方程式は $y=1$。 $b = -\frac{1}{5}$ のとき、$a^2 = 1 - \left(-\frac{1}{5}\right)^2 = \frac{24}{25}$ より $a = \pm \frac{2\sqrt{6}}{5}$。 接線の方程式は $\pm \frac{2\sqrt{6}}{5}x - \frac{1}{5}y = 1 \iff y = \pm 2\sqrt{6}x - 5$。 以上より、求める3本の接線の方程式は $y=1, y=2\sqrt{6}x - 5, y=-2\sqrt{6}x - 5$ となる。

解説

(1)は円の接線の公式の導出です。解法1のように法線ベクトルに着目すると、$x$ 座標や $y$ 座標が $0$ になる場合分けをせずに簡潔に記述できます。解法2の微分の場合は、分母が $0$ になるケースの考察を忘れないように注意が必要です。

(2)の共通接線を求める問題では、「放物線の接線が円に接する」と考える方針(解法1)と、「円の接線が放物線に接する」と考える方針(解法2)の2通りが考えられます。本問においては、点と直線の距離の公式を直接適用できる解法1の方が、式の見通しが良く計算量も抑えられます。

(3)の面積計算では、放物線の外部の点から引いた2本の接線と放物線で囲まれる面積を求めています。このとき、2本の接線の交点の $x$ 座標は、2つの接点の $x$ 座標のちょうど中点になるという図形的な性質を利用すると、積分区間の分割が正確に行えます。また、放物線から接線を引いた式は必ず完全平方式 $(x-\alpha)^2$ の形になることを意識しておくと、積分計算のミスを防ぐことができます。

答え

(1) 略証 (解法参照)

(2) $y=1, \quad y=2\sqrt{6}x-5, \quad y=-2\sqrt{6}x-5$

(3) $\frac{\sqrt{6}}{2}$

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