東北大学 2010年 文系 第4問 解説

方針・初手
各点の位置ベクトルを用いて、条件式を中点 $M,N$ で書き直すのが基本方針である。
特に
$$ \vec{OA}=a,\quad \vec{OB}=b,\quad \vec{OC}=c,\quad \vec{OD}=d $$
とおけば、
$$ \vec{OM}=\frac{a+b}{2},\quad \vec{ON}=\frac{c+d}{2} $$
であるから、与えられた式は $M,N$ に関する条件へ整理できる。すると、(2) と (3) の軌跡はいずれも平面であることが見えてくる。
解法1
(1)
点 $P$ の位置ベクトルを $p$ とすると、
$$ \vec{PA}+\vec{PB}=\vec{PC}+\vec{PD} $$
は
$$ (a-p)+(b-p)=(c-p)+(d-p) $$
より、
$$ a+b=c+d $$
と同値である。したがって、
$$ \frac{a+b}{2}=\frac{c+d}{2} $$
すなわち
$$ \vec{OM}=\vec{ON} $$
となり、$M=N$ である。
ところが、$M$ は辺 $AB$ の中点、$N$ は辺 $CD$ の中点であるから、$M=N$ ならば直線 $AB$ と直線 $CD$ は交わる。すると、2直線 $AB,CD$ を含む1つの平面が存在し、その平面上に $A,B,C,D$ がすべて載ることになる。これは $ABCD$ が四面体であることに反する。
よって、そのような点 $P$ は存在しない。
(2)
点 $Q$ の位置ベクトルを $q$ とする。このとき
$$ \vec{QA}+\vec{QB}=(a-q)+(b-q)=a+b-2q=2\left(\frac{a+b}{2}-q\right)=2\vec{QM} $$
であるから、
$$ \left|\vec{QA}+\vec{QB}\right|=2|QM| $$
となる。同様にして
$$ \left|\vec{QC}+\vec{QD}\right|=2|QN| $$
である。
したがって条件
$$ \left|\vec{QA}+\vec{QB}\right|=\left|\vec{QC}+\vec{QD}\right| $$
は
$$ |QM|=|QN| $$
と同値である。
よって、点 $Q$ の軌跡は線分 $MN$ の垂直二等分平面である。
(3)
点 $R$ の位置ベクトルを $r$ とする。中点の性質を使うため、
$$ \vec{MA}=u,\quad \vec{MB}=-u,\quad \vec{NC}=v,\quad \vec{ND}=-v $$
とおく。すると
$$ |AB|=2|u|,\quad |CD|=2|v| $$
である。
また、
$$ \vec{RA}=\vec{RM}+\vec{MA},\quad \vec{RB}=\vec{RM}+\vec{MB} $$
より、
$$ \begin{aligned} |RA|^2+|RB|^2 &=|\vec{RM}+u|^2+|\vec{RM}-u|^2 \\ &=2|RM|^2+2|u|^2 \\ &=2|RM|^2+\frac{|AB|^2}{2}. \end{aligned} $$
同様にして、
$$ |RC|^2+|RD|^2=2|RN|^2+\frac{|CD|^2}{2} $$
である。
したがって条件
$$ |RA|^2+|RB|^2=|RC|^2+|RD|^2 $$
は
$$ 2|RM|^2+\frac{|AB|^2}{2}=2|RN|^2+\frac{|CD|^2}{2} $$
と同値である。
ここで
$$ \vec{NR}=\vec{MR}-\vec{MN} $$
であるから、
$$ |RN|^2=|NR|^2=|\vec{MR}-\vec{MN}|^2 $$
であり、
$$ |RN|^2=|MR|^2-2\vec{MN}\cdot\vec{MR}+|MN|^2 $$
となる。これを代入すると、
$$ 2|MR|^2+\frac{|AB|^2}{2} ======================== 2\left(|MR|^2-2\vec{MN}\cdot\vec{MR}+|MN|^2\right)+\frac{|CD|^2}{2}. $$
整理して
$$ 4\vec{MN}\cdot\vec{MR} ====================== 2|MN|^2+\frac{|CD|^2-|AB|^2}{2} $$
すなわち
$$ \vec{MN}\cdot\vec{MR} ===================== \frac{|MN|^2}{2}+\frac{|CD|^2-|AB|^2}{8} $$
を得る。
右辺は $R$ によらない定数である。よって
$$ \vec{MN}\cdot\vec{MR} $$
は $R$ のとり方によらず一定である。
(4)
(2) より、点 $Q$ の軌跡は
$$ |QM|=|QN| $$
を満たす点全体、すなわち垂直二等分平面である。これをベクトル式で書く。
$\vec{MQ}=x$ とおくと、
$$ \vec{NQ}=x-\vec{MN} $$
であるから、
$$ |MQ|=|NQ| $$
は
$$ |x|^2=|x-\vec{MN}|^2 $$
と同値である。よって
$$ \vec{MN}\cdot\vec{MQ}=\frac{|MN|^2}{2} $$
である。
したがって、点 $Q$ の軌跡は
$$ \Pi_Q:\ \vec{MN}\cdot\vec{MQ}=\frac{|MN|^2}{2} $$
という平面である。
一方、(3) より点 $R$ の軌跡は
$$ \Pi_R:\ \vec{MN}\cdot\vec{MR} ============================= \frac{|MN|^2}{2}+\frac{|CD|^2-|AB|^2}{8} $$
という平面である。
どちらも法線ベクトルは $\vec{MN}$ であり、$M\neq N$ なので $\vec{MN}\neq \vec{0}$ である。したがって2つの平面が一致するための必要十分条件は、右辺の定数項が一致すること、すなわち
$$ \frac{|MN|^2}{2} ================ \frac{|MN|^2}{2}+\frac{|CD|^2-|AB|^2}{8} $$
である。これは
$$ |AB|^2=|CD|^2 $$
と同値であり、長さは非負であるから
$$ |AB|=|CD| $$
と同値である。
よって、(2) の点 $Q$ が描く図形と (3) の点 $R$ が描く図形が一致するための必要十分条件は
$$ |AB|=|CD| $$
である。
解説
この問題の核心は、4点 $A,B,C,D$ をそのまま扱うのではなく、対辺の中点 $M,N$ に着目することである。
(2) では
$$ \vec{QA}+\vec{QB}=2\vec{QM},\quad \vec{QC}+\vec{QD}=2\vec{QN} $$
となるため、条件が「$M,N$ からの距離が等しい」という形に落ちる。
また (3) では、2点の組 ${A,B}$、${C,D}$ に対する2乗距離和が、それぞれ中点からの距離で表せることが重要である。その結果、軌跡が1次式
$$ \vec{MN}\cdot\vec{MR}=\text{一定} $$
で表され、やはり平面になる。
したがって (4) は、2つの平面の定数項を比較するだけで済む。
答え
(1)
条件を満たす点 $P$ は存在しない。
(2)
点 $Q$ の軌跡は、線分 $MN$ の垂直二等分平面である。
(3)
点 $R$ が条件を満たすとき、
$$ \vec{MN}\cdot\vec{MR} ===================== \frac{|MN|^2}{2}+\frac{|CD|^2-|AB|^2}{8} $$
となる。したがって $\vec{MN}\cdot\vec{MR}$ は $R$ によらず一定である。
(4)
(2)
の軌跡と (3) の軌跡が一致するための必要十分条件は
$$ |AB|=|CD| $$
である。
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