東北大学 2003年 理系 第5問 解説

方針・初手
円の中心を実数 $c$ とおき、$\alpha=x+yi$ とする。 3点 $1,\alpha,\alpha^2$ が同一円周上にあることは、中心 $c$ からの距離が等しいことに言い換えられる。
まず
$$ |1-c|=|\alpha-c|=|\alpha^2-c| $$
を実数方程式に直し、$c$ を消去して $\alpha$ の条件を求める。
解法1
$\alpha=x+yi\ (x,y\in\mathbb R)$, $|\alpha|=r$ とし、円の中心を実数 $c$、半径を $\rho$ とする。
3点 $1,\alpha,\alpha^2$ がこの円周上にあるから、
$$ |1-c|=|\alpha-c|=|\alpha^2-c|=\rho $$
である。
まず $|1-c|=|\alpha-c|$ より、
$$ (1-c)^2=(x-c)^2+y^2 $$
したがって
$$ 1-2c=x^2+y^2-2cx=r^2-2cx $$
すなわち
$$ 2c(1-x)=1-r^2 \tag{1} $$
を得る。
次に $|1-c|=|\alpha^2-c|$ を用いる。 $\alpha^2=(x^2-y^2)+2xy,i$ であるから、
$$ (1-c)^2=(x^2-y^2-c)^2+(2xy)^2 $$
より
$$ 1-2c=r^4-2c(x^2-y^2) $$
すなわち
$$ 2c\bigl(1-x^2+y^2\bigr)=1-r^4=(1-r^2)(1+r^2) \tag{2} $$
を得る。
(i)
$r=1$ の場合を考える。
このとき (1) は
$$ 2c(1-x)=0 $$
となる。$\alpha=1$ なら 3点が相異ならないので除く。したがって $x\neq 1$ であり、$c=0$ である。 よって中心が原点の単位円であり、$\alpha^2$ も自動的にこの円周上にある。
ただし 3点 $1,\alpha,\alpha^2$ が相異なるためには $\alpha^2\neq 1$ が必要であり、$|\alpha|=1$ のもとでこれは $\alpha\neq \pm1$ と同値である。 したがってこの場合は
$$ |\alpha|=1,\qquad \alpha\neq \pm1 $$
である。
(ii)
$r\neq 1$ の場合を考える。
(1) から
$$ c=\frac{1-r^2}{2(1-x)} $$
と表せるので、これを (2) に代入する。$(1-r^2)\neq 0$ を用いて整理すると
$$ 1-x^2+y^2=(1+r^2)(1-x) $$
すなわち
$$ 1-x^2+y^2=(1+x^2+y^2)(1-x) $$
である。これを整理すると
$$ x\bigl((x-1)^2+y^2\bigr)=0 $$
を得る。
ここで $((x-1)^2+y^2)=0$ なら $\alpha=1$ となり、これは相異なる3点という条件に反する。 したがって
$$ x=0 $$
でなければならない。すなわち $\alpha$ は純虚数である。
さらに $\alpha=0$ では $\alpha$ と $\alpha^2$ が一致してしまうので除く。 よってこの場合は
$$ \operatorname{Re}\alpha=0,\qquad \alpha\neq 0 $$
である。
以上より、求める $\alpha$ の範囲は
$$ {\alpha\in\mathbb C\mid |\alpha|=1,\ \alpha\neq\pm1} \ \cup {\alpha\in\mathbb C\mid \operatorname{Re}\alpha=0,\ \alpha\neq0} $$
である。 複素数平面では、原点中心の単位円から $\pm1$ を除いた部分と、虚軸から原点を除いた部分の和集合になる。
次に半径を求める。
(i)
$|\alpha|=1$ の場合は中心 $c=0$ であるから、
$$ \rho=1=\frac{1+|\alpha|^2}{2} $$
である。
(ii)
$\operatorname{Re}\alpha=0$ の場合は $\alpha=yi\ (y\neq 0)$ と書ける。このとき $|\alpha|^2=y^2$ であり、(1) から
$$ 2c=1-y^2 $$
すなわち
$$ c=\frac{1-|\alpha|^2}{2} $$
である。したがって半径は
$$ \rho=|1-c| =1-\frac{1-|\alpha|^2}{2} =\frac{1+|\alpha|^2}{2} $$
となる。
よっていずれの場合も半径は
$$ \rho=\frac{1+|\alpha|^2}{2} $$
である。
解説
中心が実軸上にあるという条件は、中心を実数 $c$ とおいて距離の等式を立てると扱いやすい。 実際には $|1-c|=|\alpha-c|$ と $|1-c|=|\alpha^2-c|$ の 2 本で十分であり、これを整理すると
$$ |\alpha|=1 $$
または
$$ \operatorname{Re}\alpha=0 $$
の 2 系列しか残らない。
幾何的には、前者は原点中心の単位円、後者は虚軸上の点であり、そのとき $\alpha^2$ は負の実数になるので、3点を通る円の中心が実軸上に現れる。 最後に「相異なる3点」という条件で、単位円上では $\alpha=\pm1$、虚軸上では $\alpha=0$ を除くことが必要である。
答え
$\alpha$ の存在範囲は
$$ {\alpha\in\mathbb C\mid |\alpha|=1,\ \alpha\neq\pm1} \ \cup {\alpha\in\mathbb C\mid \operatorname{Re}\alpha=0,\ \alpha\neq0} $$
である。 すなわち、複素数平面では「単位円から $\pm1$ を除いた部分」と「虚軸から原点を除いた部分」である。
また、この円の半径 $\rho$ は
$$ \rho=\frac{1+|\alpha|^2}{2} $$
である。
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