東北大学 1992年 理系 第4問 解説

方針・初手
1回目の出目を $A$,2回目の出目を $B$ とすると,点 $Q$ の移動量は
$$ X=A-B $$
である。
したがって,まず 2 個のサイコロの差の分布を数えればよい。(2) は $A,B$ の期待値と分散から処理できる。(3) はこの試行を 6 回繰り返したときの和を考え,最大値が $30$ であることを使って場合を数える。
解法1
1回目の出目を $A$,2回目の出目を $B$ とする。$A,B$ は独立で,ともに $1,2,3,4,5,6$ を等確率でとる。
このとき
$$ X=A-B $$
であるから,$X$ の取りうる値は
$$ -5,-4,-3,-2,-1,0,1,2,3,4,5 $$
である。
(1) $X$ の確率分布
$X=k$ となるのは $A-B=k$ を満たす組 $(A,B)$ の個数だけある。
たとえば,
- $X=5$ のとき $(A,B)=(6,1)$ の 1 通り
- $X=4$ のとき $(5,1),(6,2)$ の 2 通り
- $X=3$ のとき 3 通り
となる。一般に,$k=-5,-4,\dots,5$ に対して
$$ P(X=k)=\frac{6-|k|}{36} $$
である。
したがって確率分布は
$$ \begin{aligned} &P(X=\pm 5)=\frac{1}{36},\quad P(X=\pm 4)=\frac{2}{36},\quad P(X=\pm 3)=\frac{3}{36},\\ &P(X=\pm 2)=\frac{4}{36},\quad P(X=\pm 1)=\frac{5}{36},\quad P(X=0)=\frac{6}{36} \end{aligned} $$
である。
(2) $E(X),V(X)$
$X=A-B$ より,
$$ E(X)=E(A)-E(B) $$
である。
1 個のサイコロの期待値は
$$ E(A)=E(B)=\frac{1+2+3+4+5+6}{6}=\frac{7}{2} $$
だから,
$$ E(X)=\frac{7}{2}-\frac{7}{2}=0 $$
である。
次に分散を求める。まず
$$ E(A^2)=E(B^2)=\frac{1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2}{6} =\frac{91}{6} $$
であるから,
$$ V(A)=V(B)=\frac{91}{6}-\left(\frac{7}{2}\right)^2 =\frac{35}{12} $$
となる。
$A,B$ は独立なので,
$$ V(X)=V(A-B)=V(A)+V(B)=\frac{35}{12}+\frac{35}{12}=\frac{35}{6} $$
である。
(3) 6 回繰り返したとき,点 $Q$ が $29,28$ にある確率
各回の移動量を $X_1,X_2,\dots,X_6$ とすると,6 回後の位置 $S$ は
$$ S=X_1+X_2+\cdots+X_6 $$
である。
各 $X_i$ の最大値は $5$ だから,$S$ の最大値は
$$ 5\times 6=30 $$
である。
また,
$$ P(X=5)=\frac{1}{36},\quad P(X=4)=\frac{2}{36},\quad P(X=3)=\frac{3}{36} $$
である。
点 $Q$ が $29$ にある確率
$29$ は最大値 $30$ より 1 小さい。したがって,6 回のうち 5 回が $5$,1 回だけが $4$ でなければならない。
よって,
$$ P(S=29)={}_{6}\mathrm{C}_{1}\cdot \frac{2}{36}\left(\frac{1}{36}\right)^5 =\frac{12}{36^6} $$
である。
点 $Q$ が $28$ にある確率
$28$ は最大値 $30$ より 2 小さい。したがって次の 2 通りがある。
(i) 1 回だけ $3$ が出て,残り 5 回はすべて $5$
$$ {}_{6}\mathrm{C}_{1}\cdot \frac{3}{36}\left(\frac{1}{36}\right)^5 $$
(ii) 2 回だけ $4$ が出て,残り 4 回はすべて $5$
$$ {}_{6}\mathrm{C}_{2}\left(\frac{2}{36}\right)^2\left(\frac{1}{36}\right)^4 $$
したがって,
$$ \begin{aligned} P(S=28) &={}_{6}\mathrm{C}_{1}\cdot \frac{3}{36}\left(\frac{1}{36}\right)^5 +{}_{6}\mathrm{C}_{2}\left(\frac{2}{36}\right)^2\left(\frac{1}{36}\right)^4\ &=\frac{18}{36^6}+\frac{60}{36^6} =\frac{78}{36^6} \end{aligned} $$
である。
解説
この問題の本質は,移動量 $X$ を「2 個のサイコロの差」と見抜くことである。差の分布は両端ほど起こりにくく,$0$ に近いほど起こりやすい三角形型になる。
また,6 回繰り返したあとの $29,28$ は最大値 $30$ に非常に近いので,一般的な畳み込み計算をするよりも「最大値からどれだけ不足しているか」で場合分けするのが最も速い。入試ではこの見方が有効である。
答え
$$ P(X=k)=\frac{6-|k|}{36}\qquad (k=-5,-4,\dots,5) $$
すなわち,
$$ \begin{aligned} &P(X=\pm 5)=\frac{1}{36},\quad P(X=\pm 4)=\frac{2}{36},\quad P(X=\pm 3)=\frac{3}{36},\ &P(X=\pm 2)=\frac{4}{36},\quad P(X=\pm 1)=\frac{5}{36},\quad P(X=0)=\frac{6}{36} \end{aligned} $$
である。
$$ E(X)=0,\qquad V(X)=\frac{35}{6} $$
また,6 回繰り返したときの位置を $S$ とすると,
$$ P(S=29)=\frac{12}{36^6},\qquad P(S=28)=\frac{78}{36^6} $$
である。
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