東北大学 1992年 理系 第5問 解説

方針・初手
対数の底が積になっているので、まず
$$ x=\log a,\quad y=\log b,\quad z=\log c $$
とおく。ここで対数の底は何でもよいが、$a,b,c>1$ より $x,y,z>0$ である。
すると
$$ \log_{ab}a=\frac{\log a}{\log(ab)}=\frac{x}{x+y},\quad \log_{bc}b=\frac{y}{y+z},\quad \log_{ca}c=\frac{z}{z+x} $$
となるから、求める和を
$$ S=\frac{x}{x+y}+\frac{y}{y+z}+\frac{z}{z+x} $$
とおけばよい。あとは $x,y,z>0$ のもとで $S$ を調べればよい。
解法1
(1) $S>1$ を示す。
通分すると
$$ S-1 === # \frac{x}{x+y}+\frac{y}{y+z}+\frac{z}{z+x}-1 \frac{x^2y+xyz+xz^2+y^2z}{(x+y)(y+z)(z+x)} $$
となる。
分母は正であり、分子も $x,y,z>0$ より
$$ x^2y>0,\quad xyz>0,\quad xz^2>0,\quad y^2z>0 $$
であるから正である。したがって
$$ S-1>0 $$
すなわち
$$ S>1 $$
である。
(2) $S<2$ を示す。
同様に
$$ 2-S === # 2-\left(\frac{x}{x+y}+\frac{y}{y+z}+\frac{z}{z+x}\right) \frac{x^2z+xy^2+xyz+yz^2}{(x+y)(y+z)(z+x)} $$
となる。
分母は正であり、分子も $x,y,z>0$ より正であるから
$$ 2-S>0 $$
である。よって
$$ S<2 $$
が従う。
(3) $S=\dfrac32$ となるための必要十分条件を求める。
$S-\dfrac32$ を計算すると
$$ S-\frac32 ========= # \frac{x}{x+y}+\frac{y}{y+z}+\frac{z}{z+x}-\frac32 \frac{(x-y)(x-z)(y-z)}{2(x+y)(y+z)(z+x)} $$
となる。
分母は正であるから、
$$ S=\frac32 $$
であるための必要十分条件は
$$ (x-y)(x-z)(y-z)=0 $$
すなわち
$$ x=y \quad \text{または} \quad y=z \quad \text{または} \quad z=x $$
である。
ここで $x=\log a,\ y=\log b,\ z=\log c$ であり、対数関数は $t>1$ で単調増加だから、
$$ x=y \iff a=b,\quad y=z \iff b=c,\quad z=x \iff c=a $$
である。したがって必要十分条件は
$$ a=b \quad \text{または} \quad b=c \quad \text{または} \quad c=a $$
となる。
解説
この問題の本質は、対数そのものではなく
$$ \log_{ab}a=\frac{\log a}{\log a+\log b} $$
という形に直すことである。こうすると未知量は $x,y,z>0$ の三変数式に帰着し、あとは通分して符号を調べるだけになる。
特に (3) は、$S-\dfrac32$ を直接整理するときれいに因数分解できる点が重要である。等号条件は「二つが等しいとき」に対応している。
答え
(1)
$$ \log_{ab}a+\log_{bc}b+\log_{ca}c>1 $$
(2)
$$ \log_{ab}a+\log_{bc}b+\log_{ca}c<2 $$
(3)
$$ \log_{ab}a+\log_{bc}b+\log_{ca}c=\frac32 $$
となるための必要十分条件は
$$ a=b \quad \text{または} \quad b=c \quad \text{または} \quad c=a $$
である。
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