東北大学 1999年 理系 第6問 解説

方針・初手
反射のある運動は、長方形を辺ごとに折り返して平面に敷き詰めることで、反射なしの直線運動に置き換えられる。
したがって、どの頂点に最初に到達するかは、展開図上で出発点 $O$ からどの格子点に最初に到達するかという問題になる。また、速さは $14e^{-t}$ であるから、時刻 $t$ までの移動距離をまず求め、その距離ができるだけ大きくなるような格子点を選べばよい。
解法1
座標を
$$ D=(0,0),\ A=(2,0),\ B=(2,4),\ C=(0,4) $$
とおくと、$O$ は $AD$ の中点であるから
$$ O=(1,0) $$
である。
辺での反射を展開図で考えると、点 $P$ は反射せずに一直線に進み、長方形の各頂点は
$$ (2m,4n)\qquad (m,n\in \mathbb{Z}) $$
という格子点に対応する。
したがって、$P$ がある頂点に到達するとは、展開図上で $O=(1,0)$ から出た半直線が、ある格子点 $(2m,4n)$ に達することと同値である。このとき、その方向の傾きは
$$ \tan\theta=\frac{4n}{2m-1} $$
である。
さらに、そこまでの直線距離は
$$ L=\sqrt{(2m-1)^2+(4n)^2} $$
である。
ここで、同じ直線上にそれより手前の格子点があれば、最初に到達する頂点はそちらになる。よって、最初に到達する頂点を表すには
$$ \gcd(2m-1,n)=1 $$
であることが必要である。
次に、時刻 $t$ までの移動距離を求める。速さは $14e^{-t}$ なので、
$$ s(t)=\int_0^t 14e^{-u},du =14(1-e^{-t}) $$
である。
したがって、頂点までの距離 $L$ が大きいほど到達時刻も大きい。よって、$L<14$ を満たす範囲で $L$ を最大にすればよい。実際、
$$ s(t)<14 $$
であるから、有限時刻で頂点に到達するためには $L<14$ が必要である。
そこで
$$ (2m-1)^2+16n^2<196 $$
を満たす整数を調べる。$n\ge 1$ であるから
$$ 16n^2<196 $$
より
$$ n\le 3 $$
である。
(i)
$n=3$ のとき
$$ (2m-1)^2<196-144=52 $$
より、$2m-1$ は正の奇数だから最大は $7$ である。このとき
$$ L^2=7^2+12^2=193 $$
である。
(ii)
$n=2$ のとき
$$ (2m-1)^2<196-64=132 $$
より、$2m-1$ の最大は $11$ であり、
$$ L^2=11^2+8^2=185 $$
である。
(iii)
$n=1$ のとき
$$ (2m-1)^2<196-16=180 $$
より、$2m-1$ の最大は $13$ であり、
$$ L^2=13^2+4^2=185 $$
である。
以上より、最大は
$$ L=\sqrt{193} $$
であり、そのとき
$$ 2m-1=7,\qquad 4n=12 $$
だから
$$ \tan\theta=\frac{12}{7} $$
となる。
最後に到達時刻を求める。距離 $\sqrt{193}$ だけ進んだとき頂点に到達するので、
$$ 14(1-e^{-t})=\sqrt{193} $$
より
$$ e^{-t}=1-\frac{\sqrt{193}}{14} =\frac{14-\sqrt{193}}{14} $$
したがって
$$ t=\log\frac{14}{14-\sqrt{193}} $$
である。
解説
この問題の本質は、反射運動を展開図で直線運動に直すことである。反射をそのまま追うと複雑であるが、展開図にすると「出発点 $O$ から格子点までの距離」を最大化する問題になる。
また、速さが指数関数的に減少していても、到達時刻は移動距離
$$ s(t)=14(1-e^{-t}) $$
の単調増加性だけで決まる。したがって、どの方向が最も時間を要するかは、有限距離 $14$ 未満で到達できる格子点のうち、最も遠いものを探せばよい。
答え
$$ \tan\theta=\frac{12}{7} $$
そのとき、$P$ が頂点に到達する時刻は
$$ t=\log\frac{14}{14-\sqrt{193}} $$
である。
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