東北大学 2001年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) は命題
$$ P_n:\quad t\ge 0 \text{ のとき } e^t\ge \frac{t^n}{n!} $$
を考えて数学的帰納法で示す。帰納段階では、仮定をそのまま積分すると次の次数の評価が得られる。
(2) は
$$ J_m(t)=\int_0^t x^m e^{-x},dx $$
とおいて部分積分する。すると (J_m(t)) と (J_{m-1}(t)) の関係式が得られるので、最後は (1) を用いて境界項 (t^m e^{-t}) が (0) に収束することを示せばよい。
解法1
まず (1) を示す。
命題 (P_n) を
$$ t\ge 0 \text{ のとき } e^t\ge \frac{t^n}{n!} $$
とする。
(i) (n=1) のとき
指数関数の基本不等式 (e^t\ge 1+t) より、
$$ e^t\ge 1+t\ge t \qquad (t\ge 0) $$
である。したがって (P_1) は成り立つ。
(ii) (P_n) が成り立つと仮定する。すなわち、任意の (x\ge 0) に対して
$$ e^x\ge \frac{x^n}{n!} $$
とする。
このとき (t\ge 0) に対し、
$$ e^t-1=\int_0^t e^x,dx $$
であるから、帰納法の仮定より
$$ e^t-1 =\int_0^t e^x,dx \ge \int_0^t \frac{x^n}{n!},dx =\frac{t^{n+1}}{(n+1)!}. $$
よって
$$ e^t\ge 1+\frac{t^{n+1}}{(n+1)!}\ge \frac{t^{n+1}}{(n+1)!}. $$
したがって (P_{n+1}) も成り立つ。
以上より、任意の正の整数 (n) に対して
$$ e^t\ge \frac{t^n}{n!}\qquad (t\ge 0) $$
が成り立つ。
次に (2) を求める。
まず
$$ J_m(t)=\int_0^t x^m e^{-x},dx $$
とおく。
(m=0) の場合
$$ J_0(t)=\int_0^t e^{-x},dx =\left[-e^{-x}\right]_0^t =1-e^{-t}. $$
したがって
$$ I_0=\lim_{t\to\infty}J_0(t)=1. $$
(m\ge 1) の場合
部分積分を用いる。(u=x^m,\ dv=e^{-x}dx) とすると
$$ du=mx^{m-1}dx,\qquad v=-e^{-x} $$
であるから、
$$ \begin{aligned} J_m(t) &=\int_0^t x^m e^{-x},dx \\ &=\left[-x^m e^{-x}\right]*0^t + m\int_0^t x^{m-1}e^{-x},dx \\ &=-t^m e^{-t}+mJ*{m-1}(t). \end{aligned} $$
ここで (1) を (n=m+1) として用いると、(t>0) に対して
$$ e^t\ge \frac{t^{m+1}}{(m+1)!} $$
である。したがって
$$ 0\le t^m e^{-t}\le \frac{(m+1)!}{t}\to 0 \qquad (t\to\infty). $$
よって上の関係式で (t\to\infty) とすると
$$ I_m=mI_{m-1} $$
を得る。
これと (I_0=1) から、
$$ \begin{aligned} I_1&=1\cdot I_0=1,\\ I_2&=2\cdot I_1=2,\\ I_3&=3\cdot I_2=6, \end{aligned} $$
となり、一般に
$$ I_m=m! $$
である。
解説
この問題の核心は、指数関数 (e^t) が多項式 (t^n) よりもはるかに速く増大することを、(1) の不等式で具体的に表す点にある。
(2) では部分積分により次数を1つ下げるのが定石であるが、そのとき現れる境界項 (t^m e^{-t}) が (0) に行くことをきちんと示す必要がある。ここで (1) が直接効いており、両問は独立ではなく連動している。
答え
$$ e^t\ge \frac{t^n}{n!}\qquad (t\ge 0,\ n\in \mathbb{N}) $$
である。
また、
$$ I_m=\lim_{t\to\infty}\int_0^t x^m e^{-x},dx = m!\qquad (m=0,1,2,\dots) $$
である。
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