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東北大学 2008年 理系 第2問 解説

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東北大学 2008年 理系 第2問 解説

方針・初手

この操作は、直線 $OA_1$ と直線 $OA_2$ の間で直交射影を繰り返しているだけである。したがって、各点 $A_k$ はこの2本の直線上を交互に動き、原点からの距離は毎回一定比で縮む。

そこで座標を置いて、各点を明示的に表す。

解法1

$O=(0,0)$、$A_1=(1,0)$ とおく。 また、直線 $OA_1$ の向きの単位ベクトルを $u=(1,0)$、直線 $OA_2$ の向きの単位ベクトルを $v$ とする。

三角形 $OA_1A_2$ は $A_2$ で直角であり、

$$ OA_1=1,\qquad A_1A_2=\frac1{\sqrt n} $$

であるから、三平方の定理より

$$ OA_2=\sqrt{1-\frac1n}=\sqrt{\frac{n-1}{n}} $$

となる。これを

$$ c=\sqrt{\frac{n-1}{n}} $$

とおく。

さらに、$\angle A_1OA_2$ を $\theta$ とすると、

$$ \cos\theta=\frac{OA_2}{OA_1}=c $$

であるから、

$$ u\cdot v=\cos\theta=c $$

が成り立つ。

ここで、$A_2$ から $OA_1$ に下ろした垂線の足が $A_3$、$A_3$ から $OA_2$ に下ろした垂線の足が $A_4$、… という操作は、直線 $OA_1$ と直線 $OA_2$ の間の直交射影の繰り返しである。したがって

$$ A_1=u,\qquad A_2=cv,\qquad A_3=c^2u,\qquad A_4=c^3v,\qquad \dots $$

となる。よって一般に

$$ A_k= \begin{cases} c^{k-1}u & (k\text{ が奇数})\\ c^{k-1}v & (k\text{ が偶数}) \end{cases} $$

である。

(1) $\vec h_k\cdot \vec h_{k+1}$ を求める

$\vec h_k=\overrightarrow{A_kA_{k+1}}$ であるから、$k$ が奇数のとき

$$ \vec h_k=c^kv-c^{k-1}u=c^{k-1}(cv-u), $$

$$ \vec h_{k+1}=c^{k+1}u-c^kv=c^k(cu-v) $$

となる。したがって

$$ \vec h_k\cdot \vec h_{k+1} =c^{2k-1}(cv-u)\cdot(cu-v) $$

である。

ここで

$$ \begin{aligned} (cv-u)\cdot(cu-v) &=c^2(v\cdot u)-c(v\cdot v)-c(u\cdot u)+(u\cdot v)\\ &=c^2\cdot c-c-c+c\\ &=c^3-c\\ &=c(c^2-1) \end{aligned} $$

となる。さらに

$$ c^2=\frac{n-1}{n} $$

より

$$ c^2-1=-\frac1n $$

なので、

$$ (cv-u)\cdot(cu-v)=-\frac cn $$

である。よって

$$ \vec h_k\cdot \vec h_{k+1} =-\frac{c^{2k}}{n} $$

を得る。

$k$ が偶数の場合も同様に計算でき、同じ式になる。したがってすべての $k=1,2,\dots$ に対して

$$ \vec h_k\cdot \vec h_{k+1} =-\frac1n\left(\frac{n-1}{n}\right)^k $$

である。

(2) $\displaystyle \lim_{n\to\infty}S_n$ を求める

$r=\dfrac{n-1}{n}=1-\dfrac1n$ とおくと、

$$ S_n=\sum_{k=1}^n \vec h_k\cdot \vec h_{k+1} =-\frac1n\sum_{k=1}^n r^k $$

である。等比数列の和より

$$ \sum_{k=1}^n r^k=\frac{r(1-r^n)}{1-r} $$

だから、

$$ S_n=-\frac1n\cdot \frac{r(1-r^n)}{1-r} $$

となる。ここで

$$ 1-r=1-\frac{n-1}{n}=\frac1n $$

であるから、

$$ S_n=-r(1-r^n) =-\left(1-\frac1n\right)\left{1-\left(1-\frac1n\right)^n\right} $$

を得る。

$n\to\infty$ のとき

$$ 1-\frac1n\to 1, \qquad \left(1-\frac1n\right)^n\to \frac1e $$

であるから、

$$ \lim_{n\to\infty}S_n =-\left(1-\frac1e\right) =\frac1e-1 $$

となる。

解説

重要なのは、各点 $A_k$ を個別に追うのではなく、「直線 $OA_1$ と直線 $OA_2$ の間の直交射影を繰り返している」と見ることである。この見方をすると、原点からの距離が毎回 $\cos\theta$ 倍されることが分かり、$A_k$ を等比的に表せる。

その結果、$\vec h_k\cdot \vec h_{k+1}$ も等比数列になり、和 $S_n$ の極限は基本的な極限

$$ \left(1-\frac1n\right)^n\to \frac1e $$

に帰着する。

答え

$$ \vec h_k\cdot \vec h_{k+1} =-\frac1n\left(\frac{n-1}{n}\right)^k \qquad (k=1,2,\dots) $$

$$ \lim_{n\to\infty}S_n =\frac1e-1 $$

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