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東北大学 2008年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
東北大学 2008年 理系 第4問 解説

方針・初手

座標の符号は移動の向きを決めるだけであり,終了するかどうかは原点からの距離 (d=|a|) だけで決まる。

まず (1\le d\le 6) のときの挙動を調べる。この範囲では,1回で終了する確率が常に (1/6) であり,終了しなければ再び距離は (1,2,\dots,5) のいずれかになる。したがって,終了までの回数は幾何分布になる。

そのうえで,初期座標が (8) の場合は,最初の1回で (7) に移る場合だけを別に扱えばよい。

解法1

座標 (a\neq 0) にいるとき,原点からの距離を (d=|a|) とおく。

(1\le d\le 6) なら,出目 (k=d) のときに限って原点に移動する。したがって,次の1回で終了する確率は常に

$$ \frac{1}{6} $$

である。

また,(k\neq d) なら終了せず,新しい距離は (|d-k|) である。このとき

$$ 1\le |d-k|\le 5 $$

となる。よって,終了しない限り,次の時点でも距離は再び (1,2,\dots,5) のいずれかである。

したがって,初期距離が (1,2,\dots,6) のいずれであっても,各回で「終了する確率」は毎回 (1/6) で一定である。

このとき,ちょうど (m) 回で終了する確率を (p_m) とすると,

ので,

$$ p_m=\left(\frac{5}{6}\right)^{m-1}\frac{1}{6} \qquad (m=1,2,3,\dots) $$

である。

したがって,(2) の答えは

$$ \left(\frac{5}{6}\right)^{m-1}\frac{1}{6} $$

である。

(1) は (m=3) の場合であるから,

$$ p_3=\left(\frac{5}{6}\right)^2\frac{1}{6} =\frac{25}{216} $$

である。

次に (3) を考える。初期座標が (8) のとき,最初の1回で出目を (k) とすると,移動後の座標は (8-k) である。

ここで場合分けする。

(i) (k=1) のとき

1回目の後の座標は (7) である。この場合,2回目では原点に到達できず,2回目の後の座標は (1,2,\dots,6) のいずれかになる。したがって,その後ちょうど (n-2) 回で終了する確率は,上で求めた式より

$$ \left(\frac{5}{6}\right)^{n-3}\frac{1}{6} \qquad (n\ge 3) $$

である。よって,この場合の寄与は

$$ \frac{1}{6}\left(\frac{5}{6}\right)^{n-3}\frac{1}{6} $$

である。

(ii) (k=2,3,4,5,6) のとき

1回目の後の座標は (6,5,4,3,2) のいずれかであり,すでに (1,2,\dots,6) の範囲に入っている。したがって,その後ちょうど (n-1) 回で終了する確率は

$$ \left(\frac{5}{6}\right)^{n-2}\frac{1}{6} \qquad (n\ge 2) $$

である。よって,この場合の寄与は

$$ \frac{5}{6}\left(\frac{5}{6}\right)^{n-2}\frac{1}{6} $$

である。

以上より,(n\ge 3) では

$$ \begin{aligned} \Pr(\text{ちょうど }n\text{ 回で終了}) &=\frac{1}{6}\left(\frac{5}{6}\right)^{n-3}\frac{1}{6} +\frac{5}{6}\left(\frac{5}{6}\right)^{n-2}\frac{1}{6} \\ &=\frac{31\cdot 5^{n-3}}{6^n}. \end{aligned} $$

また,(n=1) では終了不可能なので確率は (0) である。(n=2) では,1回目に (2,3,4,5,6) が出て,2回目にちょうどその残りの距離が出ればよいから,

$$ \frac{5}{6}\cdot \frac{1}{6}=\frac{5}{36} $$

である。

したがって,(3) の答えは

$$ \Pr(\text{ちょうど }n\text{ 回で終了})= \begin{cases} 0 & (n=1),\\[4pt] \dfrac{5}{36} & (n=2),\\[6pt] \dfrac{31\cdot 5^{n-3}}{6^n} & (n\ge 3) \end{cases} $$

である。

解説

この問題の要点は,「座標そのもの」ではなく「原点からの距離」に注目することである。

距離が (1,2,\dots,6) の範囲に入っていれば,1回で終了する出目はただ1つであり,外れたとしても距離は再び (1,2,\dots,5) に入る。したがって,終了までの回数は成功確率 (1/6) の幾何分布になる。

初期座標が (8) の場合だけは,最初の1回で (7) に行く可能性がある。この (7) だけは1回では原点に届かないため,そこだけを分ければよい。

答え

$$ \text{(1)}\ \frac{25}{216} $$

$$ \text{(2)}\ \left(\frac{5}{6}\right)^{m-1}\frac{1}{6} $$

$$ \text{(3)}\quad \begin{cases} 0 & (n=1),\\[4pt] \dfrac{5}{36} & (n=2),\\[6pt] \dfrac{31\cdot 5^{n-3}}{6^n} & (n\ge 3) \end{cases} $$

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