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東北大学 2008年 理系 第5問 解説

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東北大学 2008年 理系 第5問 解説

方針・初手

行列

$$ M=(\cos t)A+(\sin t)B $$

とおくと,条件は $M^2=O$ である。

まず $M$ の形を具体的に書くと,対角成分の和が常に $0$ になることが分かる。そこで,$2\times 2$ 行列

$$ \begin{pmatrix} x & y\\ z & -x \end{pmatrix} $$

の二乗が

$$ \begin{pmatrix} x & y\\ z & -x \end{pmatrix}^2=(x^2+yz)I $$

となることを用いれば,$M^2=O$ は 1 つの二次式が $0$ になる条件に帰着できる。

解法1

$c=\cos t,\ s=\sin t$ とおく。

このとき

$$ A= \begin{pmatrix} 1 & a+1\\ 0 & -1 \end{pmatrix}, \qquad B= \begin{pmatrix} a & 0\\ 2 & -a \end{pmatrix} $$

より,

$$ M=cA+sB =\begin{pmatrix} c+as & (a+1)c\\ 2s & -c-as \end{pmatrix}. $$

ここで

$$ x=c+as,\qquad y=(a+1)c,\qquad z=2s $$

とおけば,

$$ M= \begin{pmatrix} x & y\\ z & -x \end{pmatrix} $$

である。

この形の行列については

$$ \begin{pmatrix} x & y\\ z & -x \end{pmatrix}^2 = \begin{pmatrix} x^2+yz & 0\\ 0 & x^2+yz \end{pmatrix} =(x^2+yz)I $$

であるから,$M^2=O$ となるための必要十分条件は

$$ x^2+yz=0 $$

である。

これを $c,s$ で表すと,

$$ (c+as)^2+((a+1)c)(2s)=0 $$

すなわち

$$ c^2+2(2a+1)cs+a^2s^2=0 $$

を得る。

したがって,実数 $t$ が存在するための条件は,$(c,s)\neq (0,0)$ を満たす実数 $c,s$ に対して

$$ c^2+2(2a+1)cs+a^2s^2=0 $$

が解をもつことである。

$c\neq 0$ の場合,$u=\dfrac{s}{c}$ とおくと

$$ a^2u^2+2(2a+1)u+1=0 $$

となる。これが実数解をもつための条件は判別式が $0$ 以上であることだから,

$$ {2(2a+1)}^2-4a^2\geq 0 $$

$$ 4\bigl((2a+1)^2-a^2\bigr)\geq 0 $$

$$ 4(3a^2+4a+1)\geq 0 $$

$$ (3a+1)(a+1)\geq 0 $$

となる。

よって

$$ a\leq -1\quad \text{または}\quad a\geq -\frac13 $$

である。

なお,$c=0$ の場合は $s=\pm 1$ であり,条件式は $a^2s^2=0$,すなわち $a=0$ となる。これは上の範囲

$$ a\geq -\frac13 $$

の中に含まれているので,結論は変わらない。

解説

この問題の要点は,まず $(\cos t)A+(\sin t)B$ を具体的に計算し,その行列が

$$ \begin{pmatrix} x & y\\ z & -x \end{pmatrix} $$

という跡が $0$ の形になることを見抜くことである。

この形の行列は二乗するとスカラー行列になるので,零行列になる条件が 1 本の二次式にまとまる。あとは,その二次式が実数解をもつ条件を判別式で調べればよい。

答え

求める $a$ の範囲は

$$ a\leq -1\quad \text{または}\quad a\geq -\frac13 $$

である。

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