大阪大学 1981年 理系 第3問 解説

方針・初手
空間図形における線分の長さをベクトルを用いて立式する問題である。 点 $P, Q, R$ の位置ベクトルを原点 $O$ を基準に表し、条件に従って立式する。とくに $Q$ は半直線 $OP$ と球面 $S$ の交点であるから、$\vec{OQ}$ は $\vec{OP}$ を定数倍して大きさを $1$ にしたものである。$R$ は $Q$ から平面 $\pi$ へ下ろした垂線の足であるため、法線ベクトルを利用して座標を設定できる。
(2) では与えられた条件から $r$ の変域を求め、(1) で得られた関数を $r$ で微分して最大値を調べる。
解法1
(1)
点 $P(a, b, c)$ は平面 $\pi : x + y + z = 1$ 上にあるので、以下の関係が成り立つ。
$$ a + b + c = 1 $$
また、$r = \overline{OP}$ より、以下のようになる。
$$ r = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2} $$
$Q$ は半直線 $OP$ 上にあり、かつ球面 $S : x^2 + y^2 + z^2 = 1$ 上にあるので、$\overline{OQ} = 1$ である。よって、$\vec{OQ}$ は以下のように表せる。
$$ \vec{OQ} = \frac{1}{r} \vec{OP} = \left( \frac{a}{r}, \frac{b}{r}, \frac{c}{r} \right) $$
直線 $QR$ は平面 $\pi$ に垂直であるから、平面 $\pi$ の法線ベクトル $\vec{n} = (1, 1, 1)$ を用いて、点 $R$ の位置ベクトルは実数 $t$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{OR} = \vec{OQ} + t\vec{n} = \left( \frac{a}{r} + t, \frac{b}{r} + t, \frac{c}{r} + t \right) $$
点 $R$ は平面 $\pi$ 上の点であるため、その座標の和は $1$ になる。
$$ \left( \frac{a}{r} + t \right) + \left( \frac{b}{r} + t \right) + \left( \frac{c}{r} + t \right) = 1 $$
$$ \frac{a + b + c}{r} + 3t = 1 $$
$a + b + c = 1$ を代入して $t$ について解く。
$$ \frac{1}{r} + 3t = 1 $$
$$ t = \frac{1}{3} \left( 1 - \frac{1}{r} \right) = \frac{r - 1}{3r} $$
次に $u = \overline{PR}^2$ を求める。直線 $QR$ は平面 $\pi$ に垂直であり、線分 $PR$ は平面 $\pi$ 上にあるため、$\angle PRQ = 90^\circ$ の直角三角形 $PQR$ ができる。三平方の定理より以下が成り立つ。
$$ PR^2 = PQ^2 - QR^2 $$
ここで、点 $Q$ は半直線 $OP$ 上にあるため、$P, Q, O$ は同一直線上にある。したがって $PQ = |r - 1|$ である。また、$QR = |t\vec{n}| = \sqrt{3}|t|$ である。これらを代入する。
$$ u = PR^2 = (r - 1)^2 - 3t^2 $$
$$ u = (r - 1)^2 - 3 \left( \frac{r - 1}{3r} \right)^2 $$
$$ u = (r - 1)^2 - \frac{(r - 1)^2}{3r^2} $$
$$ u = (r - 1)^2 \left( 1 - \frac{1}{3r^2} \right) $$
(2)
条件 $a \geqq 0, b \geqq 0, c \geqq 0$ および $a + b + c = 1$ のもとで、$r^2 = a^2 + b^2 + c^2$ のとりうる値の範囲を求める。
コーシー・シュワルツの不等式より以下が成り立つ。
$$ (1^2 + 1^2 + 1^2)(a^2 + b^2 + c^2) \geqq (a + b + c)^2 $$
$$ 3r^2 \geqq 1 \iff r^2 \geqq \frac{1}{3} $$
等号は $a = b = c = \frac{1}{3}$ のときに成立し、これは与えられた条件を満たす。 一方、$a, b, c \geqq 0$ であるから、以下の不等式が成り立つ。
$$ a^2 + b^2 + c^2 \leqq (a + b + c)^2 = 1 $$
等号は $(a, b, c) = (1, 0, 0)$ などのときに成立する。 したがって、$r^2$ の変域は $\frac{1}{3} \leqq r^2 \leqq 1$ であり、$r > 0$ であるから以下のようになる。
$$ \frac{1}{\sqrt{3}} \leqq r \leqq 1 $$
この範囲において $u$ を最大にする $r$ を求める。$f(r) = (r - 1)^2 \left( 1 - \frac{1}{3}r^{-2} \right)$ とおき、微分する。
$$ f'(r) = 2(r - 1) \left( 1 - \frac{1}{3r^2} \right) + (r - 1)^2 \left( \frac{2}{3r^3} \right) $$
$$ f'(r) = 2(r - 1) \left( 1 - \frac{1}{3r^2} + \frac{r - 1}{3r^3} \right) $$
$$ f'(r) = 2(r - 1) \left( \frac{3r^3 - r + r - 1}{3r^3} \right) $$
$$ f'(r) = \frac{2(r - 1)(3r^3 - 1)}{3r^3} $$
$f'(r) = 0$ となるのは $r = 1$ または $3r^3 - 1 = 0$ すなわち $r = \frac{1}{\sqrt[3]{3}}$ のときである。 ここで、$3^{-\frac{1}{2}} < 3^{-\frac{1}{3}}$ より $\frac{1}{\sqrt{3}} < \frac{1}{\sqrt[3]{3}}$ であるため、極値をとる $r$ は定義域内に存在する。
増減表は以下のようになる。
| $r$ | $\frac{1}{\sqrt{3}}$ | $\cdots$ | $\frac{1}{\sqrt[3]{3}}$ | $\cdots$ | $1$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(r)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | |
| $f(r)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
増減表から、$\frac{1}{\sqrt{3}} \leqq r \leqq 1$ の範囲において、$f(r)$ は $r = \frac{1}{\sqrt[3]{3}}$ のときに最大値をとることがわかる。
解説
ベクトルと図形的性質を組み合わせることで計算量を減らせる典型的な問題である。(1) において、ベクトルの引き算 $\vec{PR} = \vec{OR} - \vec{OP}$ から直接大きさを計算してもよいが、「平面と直線の直交」に着目して三平方の定理 $PR^2 + QR^2 = PQ^2$ を利用すると、はるかに見通しよく計算が進む。
(2) では変域の端点と極値の $x$ 座標(今回は $r$)の大小関係を比較する必要がある。累乗根の比較となるため、底をそろえて指数で大小関係を確かめるとよい。
答え
(1)
$$ u = (r - 1)^2 \left( 1 - \frac{1}{3r^2} \right) \quad \text{(または } u = \frac{(r - 1)^2(3r^2 - 1)}{3r^2} \text{ )} $$
(2)
$$ r = \frac{1}{\sqrt[3]{3}} $$
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