東京工業大学 1961年 理系 第1問 解説

方針・初手
与えられた等式 $p \cos ax + q \cos bx = 1$ について、$p+q=1$ という条件と $\cos \theta \leqq 1$ であることに着目し、等号が成立するための条件を求める。その後、「無理数である」という条件を活かすために背理法を用いて $a=0, b=0$ を導く。
解法1
すべての実数 $\theta$ に対して $\cos \theta \leqq 1$ である。 問題の条件より $p > 0, q > 0$ であるから、すべての実数 $x$ に対して
$$ p \cos ax + q \cos bx \leqq p \cdot 1 + q \cdot 1 = p + q $$
が成り立つ。 さらに $p + q = 1$ であるから、
$$ p \cos ax + q \cos bx \leqq 1 $$
となる。
ここで等号が成立するのは、$p > 0, q > 0$ より各項が最大値をとるとき、すなわち
$$ \cos ax = 1 \quad \text{かつ} \quad \cos bx = 1 $$
のときに限られる。
問題文より、$x = u$ および $x = v$ のとき $p \cos ax + q \cos bx = 1$ が成り立つから、
$$ \cos au = 1 \quad \text{かつ} \quad \cos bu = 1 $$
$$ \cos av = 1 \quad \text{かつ} \quad \cos bv = 1 $$
が成り立つ。 したがって、整数 $k_1, l_1, k_2, l_2$ を用いて次のように表せる。
$$ au = 2k_1 \pi, \quad bu = 2l_1 \pi \quad \dots \text{①} $$
$$ av = 2k_2 \pi, \quad bv = 2l_2 \pi \quad \dots \text{②} $$
ここで、$\frac{v}{u}$ は無理数であると与えられているため、分母である $u$ は $u \neq 0$ である。
(i) $a=0$ の証明
$a \neq 0$ と仮定する。
①より $au = 2k_1 \pi$ であるが、$a \neq 0$ かつ $u \neq 0$ より $k_1 \neq 0$ である。 ①および②より、$u = \frac{2k_1 \pi}{a}, v = \frac{2k_2 \pi}{a}$ となるから、比をとると
$$ \frac{v}{u} = \frac{\frac{2k_2 \pi}{a}}{\frac{2k_1 \pi}{a}} = \frac{k_2}{k_1} $$
となる。 $k_1, k_2$ は整数であり $k_1 \neq 0$ であるから、$\frac{k_2}{k_1}$ は有理数である。 これは $\frac{v}{u}$ が無理数であることに矛盾する。
したがって、$a = 0$ である。
(ii) $b=0$ の証明
$b \neq 0$ と仮定する。
①より $bu = 2l_1 \pi$ であるが、$b \neq 0$ かつ $u \neq 0$ より $l_1 \neq 0$ である。 ①および②より、$u = \frac{2l_1 \pi}{b}, v = \frac{2l_2 \pi}{b}$ となるから、比をとると
$$ \frac{v}{u} = \frac{\frac{2l_2 \pi}{b}}{\frac{2l_1 \pi}{b}} = \frac{l_2}{l_1} $$
となる。 $l_1, l_2$ は整数であり $l_1 \neq 0$ であるから、$\frac{l_2}{l_1}$ は有理数である。 これは $\frac{v}{u}$ が無理数であることに矛盾する。
したがって、$b = 0$ である。
以上 (i), (ii) より、$a = b = 0$ であることが示された。
解説
三角関数の性質を用いた不等式評価から等号成立条件を絞り込む手法と、「無理数である」という条件に対して背理法を用い、整数の比(有理数)になることを示して矛盾を導く手法の2つがポイントとなる問題である。 係数が正で和が定数項に一致する $A \cos \alpha + B \cos \beta = A+B$ のような形を見た際には、各々の $\cos$ が最大値 $1$ をとらなければならないという論理は頻出なので確実に押さえておきたい。
答え
$$ a = 0,\quad b = 0 $$
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