東京工業大学 1972年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) は等差数列の一般項を式に代入し、級数がどのような形になるかを見極める。指数法則を用いると等比級数になることがわかるので、等比級数の収束条件を適用する。
(2) は定積分を含む関数方程式の典型問題である。積分区間の両端が定数であるため、積分部分は定数となる。そこで定積分を定数でおいて $f(x)$ の形を仮定し、もとの式に代入してその定数の値を決定する。
解法1
(1)
等差数列 $\{a_n\}$ の初項が $a$、公差が $d$ であるから、一般項は次のように表される。
$$ a_n = a + (n-1)d $$
これを級数の項 $e^{a_n}$ に代入すると、
$$ e^{a_n} = e^{a+(n-1)d} = e^a \cdot (e^d)^{n-1} $$
となる。したがって、級数 $\sum_{n=1}^{\infty} e^{a_n}$ は、初項 $e^a$、公比 $e^d$ の等比級数である。
初項 $e^a$ は常に正の値をとるため、$0$ になることはない。よって、この等比級数が収束するための必要十分条件は、公比 $e^d$ について、
$$ -1 < e^d < 1 $$
が成り立つことである。指数関数の性質から $e^d > 0$ は常に成り立つため、収束条件は実質的に以下のようになる。
$$ e^d < 1 $$
底 $e$ は $1$ より大きいので、この不等式を解くと、
$$ d < 0 $$
となる。これが求める必要十分条件である。
(2)
与えられた関係式は以下の通りである。
$$ f(x) = x + \int_{0}^{\pi} f(t) \sin t \, dt $$
右辺の定積分 $\int_{0}^{\pi} f(t) \sin t \, dt$ は $x$ に依存しない定数であるため、これを $C$ とおく。
$$ C = \int_{0}^{\pi} f(t) \sin t \, dt $$
すると、関数 $f(x)$ は次のように表される。
$$ f(x) = x + C $$
これを定積分 $C$ の定義式に代入する。
$$ C = \int_{0}^{\pi} (t + C) \sin t \, dt $$
右辺の積分を計算する。
$$ \begin{aligned} \int_{0}^{\pi} (t + C) \sin t \, dt &= \int_{0}^{\pi} t \sin t \, dt + \int_{0}^{\pi} C \sin t \, dt \\ &= \Big[ t (-\cos t) \Big]_{0}^{\pi} - \int_{0}^{\pi} 1 \cdot (-\cos t) \, dt + C \Big[ -\cos t \Big]_{0}^{\pi} \\ &= \Big( -\pi \cos \pi - 0 \Big) + \Big[ \sin t \Big]_{0}^{\pi} + C \Big( -\cos \pi + \cos 0 \Big) \\ &= \pi \cdot 1 + 0 + C(1 + 1) \\ &= \pi + 2C \end{aligned} $$
したがって、方程式は次のようになる。
$$ C = \pi + 2C $$
これを解いて、$C$ の値を求める。
$$ C = -\pi $$
以上より、求める関数 $f(x)$ は以下のようになる。
$$ f(x) = x - \pi $$
解説
(1) は「等差数列が指数に乗ると等比数列になる」という基本性質を利用する。等比級数の収束条件において、「初項が $0$」という条件が今回は $e^a > 0$ より棄却される点に注意する。
(2) は「積分区間が定数であれば、定積分は定数になる」という定石を用いる典型的な問題である。部分積分の計算ミスに気をつければ容易に完答できる。
答え
(1) $d < 0$
(2) $f(x) = x - \pi$
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