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東京工業大学 1973年 理系 第2問 解説

数学2/式と証明テーマ/整式の証明
東京工業大学 1973年 理系 第2問 解説

方針・初手

求める整式を $P(x)$ とします。2つの条件「$x^2$ で割った余り」と「$(x+1)^2$ で割った余り」が与えられています。割る式である $x^2$ と $(x+1)^2$ は互いに素な2次式であるため、これらの積である4次式で割った余りとして $P(x)$ を考えると、次数が最低のものは高々3次式になると予想できます。

したがって、まずは $P(x)$ を3次以下の整式として設定し、条件から係数を決定していくアプローチをとります。

解法1

求める整式の次数が最低のものを $P(x)$ とする。2つの2次式で割った余りの条件から、$P(x)$ の次数は高々3次であるとしてよい。

$P(x)$ を $x^2$ で割った余りが $x+1$ であるから、$a, b$ を定数として、$P(x)$ は次のように表せる。

$$ P(x) = x^2(ax+b) + x + 1 = ax^3 + bx^2 + x + 1 $$

次に、この $P(x)$ を $(x+1)^2 = x^2+2x+1$ で割る。式を変形して商と余りを求めると、

$$ \begin{aligned} P(x) &= ax(x^2+2x+1) - 2ax^2 - ax + bx^2 + x + 1 \\ &= ax(x^2+2x+1) + (b-2a)x^2 + (1-a)x + 1 \\ &= ax(x^2+2x+1) + (b-2a)(x^2+2x+1) - 2(b-2a)x - (b-2a) + (1-a)x + 1 \\ &= (x^2+2x+1)(ax + b - 2a) + (1 - a - 2b + 4a)x + 1 - b + 2a \\ &= (x+1)^2(ax + b - 2a) + (3a - 2b + 1)x + 2a - b + 1 \end{aligned} $$

問題の条件より、$P(x)$ を $(x+1)^2$ で割った余りは $x$ である。上の式における余り $(3a - 2b + 1)x + 2a - b + 1$ が $x$ と恒等的に等しくなるため、係数を比較して以下の連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} 3a - 2b + 1 = 1 \\ 2a - b + 1 = 0 \end{cases} $$

第1式より $3a - 2b = 0$ すなわち $b = \frac{3}{2}a$ を得る。これを第2式に代入する。

$$ 2a - \frac{3}{2}a + 1 = 0 $$

$$ \frac{1}{2}a = -1 \implies a = -2 $$

このとき、$b = \frac{3}{2} \cdot (-2) = -3$ となる。

したがって、$a = -2, b = -3$ は存在し、求める整式は以下のように定まる。

$$ P(x) = -2x^3 - 3x^2 + x + 1 $$

なお、$a=0$ のときは $b=0$ となり、$2a-b+1=0$ を満たさないため、$P(x)$ は2次以下の整式にはなり得ない。よって、これが次数が最低のものである。

解法2

微分法(剰余の定理の拡張)を用いて係数を決定する。求める整式 $P(x)$ は高々3次式であるとして、$P(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ とおく。

$P(x)$ を $x^2$ で割った商を $Q_1(x)$ とすると、条件より

$$ P(x) = x^2 Q_1(x) + x + 1 $$

この式の両辺に $x=0$ を代入すると、$P(0) = 1$ となる。また、両辺を $x$ で微分すると

$$ P'(x) = 2x Q_1(x) + x^2 Q_1'(x) + 1 $$

これに $x=0$ を代入すると、$P'(0) = 1$ となる。 $P(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ より、$P(0) = d$、$P'(x) = 3ax^2 + 2bx + c$ より $P'(0) = c$ であるから、$c=1, d=1$ と定まる。したがって、

$$ P(x) = ax^3 + bx^2 + x + 1 $$

$$ P'(x) = 3ax^2 + 2bx + 1 $$

次に、$P(x)$ を $(x+1)^2$ で割った商を $Q_2(x)$ とすると、条件より

$$ P(x) = (x+1)^2 Q_2(x) + x $$

この式の両辺に $x=-1$ を代入すると、$P(-1) = -1$ となる。また、両辺を $x$ で微分すると

$$ P'(x) = 2(x+1) Q_2(x) + (x+1)^2 Q_2'(x) + 1 $$

これに $x=-1$ を代入すると、$P'(-1) = 1$ となる。 先ほどの $P(x), P'(x)$ の式に $x=-1$ を代入して、以下の条件式を得る。

$$ P(-1) = -a + b - 1 + 1 = -1 \implies -a + b = -1 $$

$$ P'(-1) = 3a - 2b + 1 = 1 \implies 3a - 2b = 0 $$

第1式より $b = a - 1$。これを第2式に代入する。

$$ 3a - 2(a - 1) = 0 \implies a + 2 = 0 \implies a = -2 $$

このとき、$b = -2 - 1 = -3$ となる。

以上より、求める整式は以下となる。

$$ P(x) = -2x^3 - 3x^2 + x + 1 $$

解法3

整除の性質を用いて、$P(x)$ の式を直接構成する。求める整式を $P(x)$ とし、それぞれの商を $Q_1(x), Q_2(x)$ とすると、条件から以下の2式が成り立つ。

$$ P(x) = x^2 Q_1(x) + x + 1 $$

$$ P(x) = (x+1)^2 Q_2(x) + x $$

これらから $P(x)$ を消去して等置する。

$$ x^2 Q_1(x) + x + 1 = (x^2+2x+1) Q_2(x) + x $$

左辺と右辺を整理して $x^2$ をくくり出す形にする。

$$ x^2 Q_1(x) + 1 = x^2 Q_2(x) + (2x+1) Q_2(x) $$

$$ x^2 (Q_1(x) - Q_2(x)) = (2x+1) Q_2(x) - 1 $$

この等式において、左辺は $x^2$ を因数に持つ($x^2$ で割り切れる)ため、右辺も $x^2$ で割り切れなければならない。 $P(x)$ の次数を最低にするためには、$Q_2(x)$ の次数を最低にすればよい。

(i) $Q_2(x)$ が定数 $c$ のとき 右辺は $c(2x+1) - 1 = 2cx + c - 1$ となり、これが $x^2$ で割り切れるためには $2c = 0$ かつ $c-1 = 0$ とならねばならず、矛盾する。よって不適。

(ii) $Q_2(x)$ が1次式 $cx+d$ のとき 右辺は以下のようになる。

$$ (2x+1)(cx+d) - 1 = 2cx^2 + (c+2d)x + d - 1 $$

これが $x^2$ で割り切れる($x^2$ の項のみとなる)条件は、$x$ の係数と定数項がともに $0$ になることである。

$$ \begin{cases} c + 2d = 0 \\ d - 1 = 0 \end{cases} $$

これを解くと、$d = 1, c = -2$ となる。 したがって、$Q_2(x) = -2x + 1$ が条件を満たす最低次数の商である。

このとき、$P(x)$ は以下のように求められる。

$$ \begin{aligned} P(x) &= (x+1)^2 (-2x+1) + x \\ &= (x^2+2x+1)(-2x+1) + x \\ &= -2x^3 + x^2 - 4x^2 + 2x - 2x + 1 + x \\ &= -2x^3 - 3x^2 + x + 1 \end{aligned} $$

解説

「2次式で割った余り」が2つ与えられており、それぞれの条件を同時に満たす整式を求める問題です。 解法1のように、一方の条件を満たす形をベースにして、もう一方の条件式で割るという未定係数法は、確実で汎用性の高い手法です。 解法2のように、「$(x-\alpha)^n$ で割る」という条件に対して微分を用いる方法は、計算量を大幅に減らすことができる強力なテクニックです。数学III(あるいは数学IIの範囲外の知識)に抵抗がなければ、検算含めて大いに役立ちます。 解法3は、互除法のような整式の恒等変形によって、本質的に商の次数を特定しにいく数学的にエレガントな解法です。

答え

$$ -2x^3 - 3x^2 + x + 1 $$

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