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東京工業大学 1982年 理系 第1問 解説

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東京工業大学 1982年 理系 第1問 解説

方針・初手

半径 1 の円の中心から、外接する小円の中心までの距離を考える。2つの小円が互いに重なり合わないための条件は、それぞれの中心間の距離が小円の直径以上になることである。 この条件を中心角の大きさに変換し、円周 $2\pi$ の中にその中心角が最大いくつ入るかを不等式で評価する。その後、はさみうちの原理を用いて極限を求める。

解法1

半径 1 の円の中心を $\mathrm{O}$ とする。これに外接する半径 $\frac{1}{n}$ の円(以下、小円)の中心を $\mathrm{P}$ とすると、線分 $\mathrm{OP}$ の長さは

$$ \mathrm{OP} = 1 + \frac{1}{n} $$

である。

円 $\mathrm{O}$ に外接する2つの小円が互いに外接(接する)しているとき、その2つの小円の中心を $\mathrm{P}_1, \mathrm{P}_2$ とすると、$\mathrm{P}_1\mathrm{P}_2 = \frac{2}{n}$ である。 このときの中心角 $\angle \mathrm{P}_1\mathrm{OP}_2$ を $\alpha_n$ とおく。

三角形 $\mathrm{OP}_1\mathrm{P}_2$ は $\mathrm{OP}_1 = \mathrm{OP}_2 = 1 + \frac{1}{n}$ の二等辺三角形であるから、点 $\mathrm{O}$ から線分 $\mathrm{P}_1\mathrm{P}_2$ に下ろした垂線の足を $\mathrm{H}$ とすると、直角三角形 $\mathrm{OHP}_1$ において

$$ \sin \frac{\alpha_n}{2} = \frac{\mathrm{P}_1\mathrm{H}}{\mathrm{OP}_1} = \frac{\frac{1}{n}}{1 + \frac{1}{n}} = \frac{1}{n+1} $$

が成り立つ。

小円が互いに重なり合わないためには、任意の2つの小円の中心と $\mathrm{O}$ を結んでできる中心角が $\alpha_n$ 以上であればよい。 したがって、円 $\mathrm{O}$ の周囲に配置できる小円の最大個数 $a_n$ は、$2\pi$ の中に角 $\alpha_n$ をいくつとれるかで決まり、次を満たす最大の整数となる。

$$ a_n \alpha_n \le 2\pi < (a_n + 1)\alpha_n $$

これを変形すると、

$$ \frac{2\pi}{\alpha_n} - 1 < a_n \le \frac{2\pi}{\alpha_n} $$

各辺を $n$ で割ると、

$$ \frac{2\pi}{n\alpha_n} - \frac{1}{n} < \frac{a_n}{n} \le \frac{2\pi}{n\alpha_n} $$

を得る。ここで、極限 $\lim_{n \to \infty} n\alpha_n$ を計算する。 $x_n = \frac{\alpha_n}{2}$ とおくと、$n \to \infty$ のとき $x_n \to +0$ である。 また、$\sin x_n = \frac{1}{n+1}$ より $n+1 = \frac{1}{\sin x_n}$ すなわち

$$ n = \frac{1 - \sin x_n}{\sin x_n} $$

となる。よって、

$$ n\alpha_n = \frac{1 - \sin x_n}{\sin x_n} \cdot 2x_n = 2 (1 - \sin x_n) \frac{x_n}{\sin x_n} $$

と表せる。$n \to \infty$ のとき $x_n \to +0$ であり、$\lim_{x_n \to +0} \frac{x_n}{\sin x_n} = 1$ であるから、

$$ \lim_{n \to \infty} n\alpha_n = 2(1 - 0) \cdot 1 = 2 $$

となる。したがって、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{2\pi}{n\alpha_n} = \frac{2\pi}{2} = \pi $$

$$ \lim_{n \to \infty} \left( \frac{2\pi}{n\alpha_n} - \frac{1}{n} \right) = \pi - 0 = \pi $$

以上と、はさみうちの原理より、

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{n} = \pi $$

となる。

解説

不等式を用いた整数の個数の評価と、三角関数の極限を組み合わせた典型問題である。 小円が「重なり合わない」という条件を、中心と中心を結んだ「距離」の条件に読み替え、さらにそれを「中心角」の条件へと変換するのが最初のポイントである。 個数 $a_n$ は正確な値として求まらない($n$ に依存して半端が出る)ため、不等式で評価した上で $n$ で割り、はさみうちの原理に持ち込む流れが王道となる。$\lim_{\theta \to 0} \frac{\sin \theta}{\theta} = 1$ を用いる極限計算の際、自ら設定した角度などを直接文字で置き換えて処理すると見通しがよい。

答え

$$ \pi $$

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