東京工業大学 1986年 理系 第2問 解説

方針・初手
正四面体の対称性から、ねじれの位置にある2つの対辺 $AB$ と $CD$ の中点を結ぶ線分 $EF$ は、それぞれの辺と直交することを利用する。直線 $AB$, $CD$ はそれぞれ与えられた直線 $l_1, l_2$ に含まれるため、線分 $EF$ はこの2直線の共通垂線となる。これを用いて $E, F$ の座標を求める。(2) は正四面体の辺の長さと $EF$ の長さの関係を利用して方程式を立てる。(3) は中点 $E$ から直線 $l_1$ に沿ってどれだけ移動した点が $A$ かを、方向ベクトルを用いて考える。
解法1
(1)
直線 $l_1$ は $x+y=-1,\ z=0$ であるから、その方向ベクトル $\vec{u_1}$ は $\vec{u_1} = (1, -1, 0)$ ととれる。 直線 $l_2$ は $x=y=-\frac{z-2}{2}$ であるから、その方向ベクトル $\vec{u_2}$ は $\vec{u_2} = (1, 1, -2)$ ととれる。
正四面体 $ABCD$ において、$E$ は辺 $AB$ の中点、$F$ は辺 $CD$ の中点である。$\triangle CDE$ は $CE=DE$ の二等辺三角形であるから、中線である $EF$ と底辺 $CD$ は直交する。すなわち $CD \perp EF$ である。同様に $\triangle ABF$ は $AF=BF$ の二等辺三角形であるから $AB \perp EF$ である。 したがって、直線 $EF$ は直線 $l_1$ および直線 $l_2$ の共通垂線である。
点 $E$ は直線 $l_1$ 上にあるので、実数 $s$ を用いて $E(s, -s-1, 0)$ とおける。 点 $F$ は直線 $l_2$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて $F(t, t, -2t+2)$ とおける。 よって、ベクトル $\vec{EF}$ は次のように表せる。
$$ \vec{EF} = (t-s, t+s+1, -2t+2) $$
$\vec{EF} \perp \vec{u_1}$ かつ $\vec{EF} \perp \vec{u_2}$ より、$\vec{EF} \cdot \vec{u_1} = 0$ かつ $\vec{EF} \cdot \vec{u_2} = 0$ が成り立つ。
$$ \vec{EF} \cdot \vec{u_1} = 1 \cdot (t-s) - 1 \cdot (t+s+1) + 0 = -2s - 1 = 0 $$
これより $s = -\frac{1}{2}$ である。
$$ \vec{EF} \cdot \vec{u_2} = 1 \cdot (t-s) + 1 \cdot (t+s+1) - 2(-2t+2) = 6t - 3 = 0 $$
これより $t = \frac{1}{2}$ である。 以上より、$E, F$ の座標はそれぞれ $E\left(-\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, 0\right), F\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}, 1\right)$ である。
(2)
正四面体 $ABCD$ の1辺の長さを $a$ とおく。 (1) の結果より、線分 $EF$ の長さの2乗は次のように計算できる。
$$ EF^2 = \left( \frac{1}{2} - \left(-\frac{1}{2}\right) \right)^2 + \left( \frac{1}{2} - \left(-\frac{1}{2}\right) \right)^2 + (1-0)^2 = 1^2 + 1^2 + 1^2 = 3 $$
一方、直角三角形 $\triangle CFE$ において、三平方の定理より $EF^2 + CF^2 = CE^2$ が成り立つ。 $F$ は $CD$ の中点であるから $CF = \frac{a}{2}$ であり、正三角形 $\triangle ABC$ の中線 $CE$ の長さは $CE = \frac{\sqrt{3}}{2}a$ である。よって、
$$ EF^2 = \left(\frac{\sqrt{3}}{2}a\right)^2 - \left(\frac{a}{2}\right)^2 = \frac{3}{4}a^2 - \frac{1}{4}a^2 = \frac{1}{2}a^2 $$
となる。これらを等置して、
$$ \frac{1}{2}a^2 = 3 $$
$a^2 = 6$ であり、$a > 0$ より $a = \sqrt{6}$ となる。
(3)
頂点 $A, B$ は直線 $l_1$ 上にあり、線分 $AB$ の中点が $E\left(-\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, 0\right)$ である。 点 $A$ は点 $E$ から直線 $l_1$ の方向ベクトル $\vec{u_1} = (1, -1, 0)$ に沿って、距離 $AE = \frac{a}{2} = \frac{\sqrt{6}}{2}$ だけ離れた点である。 単位方向ベクトルを考えると $\frac{\vec{u_1}}{|\vec{u_1}|} = \frac{1}{\sqrt{2}}(1, -1, 0)$ であるから、点 $A, B$ の位置ベクトルはそれぞれ以下のように表せる。
$$ \vec{OE} \pm \frac{\sqrt{6}}{2} \frac{1}{\sqrt{2}}(1, -1, 0) = \left(-\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, 0\right) \pm \frac{\sqrt{3}}{2}(1, -1, 0) $$
よって、$A, B$ の座標の候補は $\left(\frac{-1+\sqrt{3}}{2}, \frac{-1-\sqrt{3}}{2}, 0\right)$ と $\left(\frac{-1-\sqrt{3}}{2}, \frac{-1+\sqrt{3}}{2}, 0\right)$ の2つである。 問題の条件より $A$ の $x$ 座標は $B$ の $x$ 座標より大きいので、求める $A$ の座標は $\left(\frac{-1+\sqrt{3}}{2}, \frac{-1-\sqrt{3}}{2}, 0\right)$ となる。
解説
正四面体のねじれの位置にある2辺の中点を結ぶ線分が、両方の辺と直交する(共通垂線となる)という性質は、空間ベクトルや空間図形における頻出のテーマである。これを知っていれば、(1) はパラメータを2つ用いて内積がゼロになるという条件を立式する定石通りの処理に帰着する。共通垂線の長さ $EF$ と正四面体の1辺の長さ $a$ の関係 $EF = \frac{1}{\sqrt{2}}a$ も有名な事実であるため、本問を通じて確認しておきたい。(3) は直線の方向ベクトルを利用して、中点からの距離から直接座標を求めることで計算量を減らすことができる。
答え
(1)
$E\left(-\frac{1}{2}, -\frac{1}{2}, 0\right)$, $F\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}, 1\right)$
(2)
$\sqrt{6}$
(3)
$A\left(\frac{-1+\sqrt{3}}{2}, \frac{-1-\sqrt{3}}{2}, 0\right)$
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