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東京工業大学 2003年 理系 第1問 解説

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東京工業大学 2003年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1)は、原点を通る直線を $y = mx$ とおき、3次曲線 $C$ との交点の $x$ 座標を求める方程式がちょうど2つの実数解をもつ条件を考える。 (2)は、(1)で求めた2直線と $C$ の上下関係を調べ、定積分を用いて面積を計算する。交点の一方が接点となるため、被積分関数が因数分解された形になることに着目する。

解法1

(1) $C: y = -x^3 + ax^2 + bx$ は原点 $(0, 0)$ を通る。 原点を通る直線を $l: y = mx$ とおく。 $C$ と $l$ の共有点の $x$ 座標は、方程式

$$ -x^3 + ax^2 + bx = mx $$

すなわち

$$ x(x^2 - ax + m - b) = 0 $$

の実数解である。 $C$ と $l$ がちょうど2点を共有するのは、この3次方程式がちょうど2つの異なる実数解をもつときである。 $x = 0$ は常に解であるから、カッコ内の2次方程式

$$ x^2 - ax + m - b = 0 $$

が、以下のいずれかの条件を満たせばよい。

(i)

$x = 0$ を解にもち、かつ $x \neq 0$ の解をもつ場合 $x = 0$ を代入して

$$ m - b = 0 $$

$$ m = b $$

このとき、2次方程式は $x^2 - ax = 0$ となり、$x(x - a) = 0$ より解は $x = 0, a$ となる。 $a > 0$ より、$0$ と異なる実数解 $x = a$ をもつので適する。 このとき、共有点の $x$ 座標は $0, a$ の2つである。 対応する直線は $y = bx$ である。

(ii)

$x \neq 0$ の重解をもつ場合 2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ となればよい。

$$ D = (-a)^2 - 4(m - b) = 0 $$

$$ m = b + \frac{a^2}{4} $$

このとき、2次方程式は $x^2 - ax + \frac{a^2}{4} = 0$ すなわち $\left(x - \frac{a}{2}\right)^2 = 0$ となる。 重解は $x = \frac{a}{2}$ であり、$a > 0$ より $x \neq 0$ を満たすので適する。 このとき、共有点の $x$ 座標は $0, \frac{a}{2}$ の2つである。 対応する直線は $y = \left(b + \frac{a^2}{4}\right)x$ である。

以上より、求める2本の直線は

$$ y = bx, \quad y = \left(b + \frac{a^2}{4}\right)x $$

(2) (1)で求めた2直線の傾きの差は

$$ \left(b + \frac{a^2}{4}\right) - b = \frac{a^2}{4} $$

$a > 0$ より $\frac{a^2}{4} > 0$ であるから、傾きの大きい方 $l_1$ と小さい方 $l_2$ はそれぞれ

$$ l_1: y = \left(b + \frac{a^2}{4}\right)x $$

$$ l_2: y = bx $$

である。

$S_1$ について考える。 $C$ と $l_1$ の共有点の $x$ 座標は $x = 0, \frac{a}{2}$ であり、$x = \frac{a}{2}$ は接点の $x$ 座標である。 $0 \leqq x \leqq \frac{a}{2}$ における $l_1$ と $C$ の上下関係を調べる。

$$ \left(b + \frac{a^2}{4}\right)x - (-x^3 + ax^2 + bx) = x^3 - ax^2 + \frac{a^2}{4}x = x\left(x - \frac{a}{2}\right)^2 $$

$x \geqq 0$ の範囲では $x\left(x - \frac{a}{2}\right)^2 \geqq 0$ となるため、$l_1$ が上、$C$ が下である。 したがって、面積 $S_1$ は

$$ S_1 = \int_{0}^{\frac{a}{2}} x\left(x - \frac{a}{2}\right)^2 dx $$

$$ S_1 = \int_{0}^{\frac{a}{2}} \left( x^3 - ax^2 + \frac{a^2}{4}x \right) dx = \left[ \frac{1}{4}x^4 - \frac{a}{3}x^3 + \frac{a^2}{8}x^2 \right]_{0}^{\frac{a}{2}} $$

$$ S_1 = \frac{a^4}{64} - \frac{a^4}{24} + \frac{a^4}{32} = \frac{3 - 8 + 6}{192}a^4 = \frac{1}{192}a^4 $$

次に $S_2$ について考える。 $C$ と $l_2$ の共有点の $x$ 座標は $x = 0, a$ であり、$x = 0$ は接点の $x$ 座標である。 $0 \leqq x \leqq a$ における $C$ と $l_2$ の上下関係を調べる。

$$ (-x^3 + ax^2 + bx) - bx = -x^3 + ax^2 = x^2(a - x) $$

$0 \leqq x \leqq a$ の範囲では $x^2(a - x) \geqq 0$ となるため、$C$ が上、$l_2$ が下である。 したがって、面積 $S_2$ は

$$ S_2 = \int_{0}^{a} x^2(a - x) dx $$

$$ S_2 = \int_{0}^{a} (ax^2 - x^3) dx = \left[ \frac{a}{3}x^3 - \frac{1}{4}x^4 \right]_{0}^{a} $$

$$ S_2 = \frac{a^4}{3} - \frac{a^4}{4} = \frac{1}{12}a^4 $$

よって、求める面積の比 $S_1 : S_2$ は

$$ S_1 : S_2 = \frac{1}{192}a^4 : \frac{1}{12}a^4 = 1 : 16 $$

解説

3次関数と接線が囲む面積を求める典型的な問題である。 (1)では「3次関数と直線が2点で交わる」ための条件を立式する。これは連立して得られる3次方程式が「単解1つと重解1つ」をもつことに帰着する。重解となるのが $x = 0$ の場合と $x \neq 0$ の場合に分けて漏れなく考えることが重要である。 (2)の定積分では、交点の一つが接点であることから、被積分関数が $(x - \alpha)^2(x - \beta)$ や $(x - \alpha)(x - \beta)^2$ の形に因数分解できることを確認しながら進めるとよい。面積の比がパラメータ $a, b$ に依存せず一定の定数になるのは、3次関数のグラフがもつ美しい相似性による結果である。

答え

(1)

$y = bx, \quad y = \left(b + \frac{a^2}{4}\right)x$

(2)

$S_1 : S_2 = 1 : 16$

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