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大阪大学 1966年 理系 第5問 解説

数学2/微分法数学2/積分法数学2/図形と式テーマ/接線・法線テーマ/面積・体積
大阪大学 1966年 理系 第5問 解説

方針・初手

まずは点 $P$ における接線の方程式を求め、$x$ 軸との交点 $Q$ の座標を明らかにする。

次に、面積 $S_1$ および $S_2$ を $x_1, y_1, a$ を用いて表す。放物線の一部であるため、$x$ についての定積分と三角形の面積の足し引きを利用するか、あるいは $y$ についての定積分を利用することで、計算を簡略化できる。

求めた $S_1, S_2$ の式から差 $S_1 - S_2$ を計算して (1) の大小比較を行い、(2) ではその差の絶対値の式を $x_1$ の関数として捉え、微分を用いて最大値を求める。なお、接線が $x$ 軸と交点を持つためには $P$ が原点ではない必要があり、$a > 0$ と合わせて $x_1 > 0$ であることが前提となる。

解法1

関数 $y = \sqrt{4ax}$ を微分する。

$$ y' = \frac{1}{2\sqrt{4ax}} \cdot 4a = \frac{2a}{\sqrt{4ax}} = \frac{2a}{y} $$

したがって、点 $P(x_1, y_1)$ における接線の傾きは $\frac{2a}{y_1}$ となる。接線の方程式は以下のようになる。

$$ y - y_1 = \frac{2a}{y_1}(x - x_1) $$

両辺に $y_1$ を掛け、$y_1^2 = 4ax_1$ を用いて整理する。

$$ y_1 y - y_1^2 = 2ax - 2ax_1 $$

$$ y_1 y - 4ax_1 = 2ax - 2ax_1 $$

$$ y_1 y = 2a(x + x_1) $$

この接線が $x$ 軸と交わる点 $Q$ の $x$ 座標は、$y = 0$ とすると $2a(x + x_1) = 0$ より $x = -x_1$ であるから、$Q(-x_1, 0)$ となる。

次に、点 $P(x_1, y_1)$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足を $H(x_1, 0)$ とし、曲線 $y = \sqrt{4ax}$ と $x$ 軸、および直線 $x = x_1$ で囲まれた部分の面積を $S$ とする。

$$ S = \int_0^{x_1} \sqrt{4ax} dx = 2\sqrt{a} \left[ \frac{2}{3} x^{\frac{3}{2}} \right]_0^{x_1} = \frac{4}{3} \sqrt{a} x_1 \sqrt{x_1} $$

$2\sqrt{ax_1} = y_1$ であるから、次のように表せる。

$$ S = \frac{2}{3} x_1 (2\sqrt{ax_1}) = \frac{2}{3} x_1 y_1 $$

$S_2$ の計算

$S_2$ は直角三角形 $PHQ$ の面積から $S$ を引いたものである。底辺 $HQ$ の長さは $x_1 - (-x_1) = 2x_1$ であるから、以下のようになる。

$$ S_2 = \triangle PHQ - S = \frac{1}{2} \cdot 2x_1 \cdot y_1 - \frac{2}{3} x_1 y_1 = \frac{1}{3} x_1 y_1 $$

$S_1$ の計算

$S_1$ は、線分 $PF$、$x$ 軸、および曲線で囲まれた図形の面積である。点 $F$ は焦点 $(a, 0)$ である。

(i) $0 < x_1 \leqq a$ のとき

$S_1$ は $S$ に $\triangle PFH$ の面積を加えたものである。

$$ S_1 = S + \triangle PFH = \frac{2}{3} x_1 y_1 + \frac{1}{2}(a - x_1)y_1 = \frac{1}{6} x_1 y_1 + \frac{1}{2} a y_1 $$

(ii) $x_1 > a$ のとき

$S_1$ は $S$ から $\triangle PHF$ の面積を引いたものである。

$$ S_1 = S - \triangle PHF = \frac{2}{3} x_1 y_1 - \frac{1}{2}(x_1 - a)y_1 = \frac{1}{6} x_1 y_1 + \frac{1}{2} a y_1 $$

いずれの場合でも、$S_1 = \frac{1}{6} x_1 y_1 + \frac{1}{2} a y_1$ となる。

(1) 大小比較

$S_1$ と $S_2$ の差をとる。

$$ S_1 - S_2 = \left( \frac{1}{6} x_1 y_1 + \frac{1}{2} a y_1 \right) - \frac{1}{3} x_1 y_1 = \frac{1}{2} a y_1 - \frac{1}{6} x_1 y_1 = \frac{y_1}{6} (3a - x_1) $$

$a > 0$ かつ $x_1 > 0$ より $y_1 > 0$ であるから、$S_1 - S_2$ の符号は $3a - x_1$ の符号と一致する。したがって、以下の大小関係が得られる。

(2) $|S_1 - S_2|$ の最大値

(1) の結果より、差の絶対値は次のように表される。

$$ |S_1 - S_2| = \frac{y_1}{6} |3a - x_1| $$

$y_1 = 2\sqrt{ax_1}$ を代入する。

$$ |S_1 - S_2| = \frac{2\sqrt{ax_1}}{6} |3a - x_1| = \frac{\sqrt{a}}{3} \sqrt{x_1 (3a - x_1)^2} $$

根号の中身を $f(x) = x(3a - x)^2$ とおき、$0 < x \leqq 5a$ の範囲での最大値を考える。

$$ f(x) = x(9a^2 - 6ax + x^2) = x^3 - 6ax^2 + 9a^2 x $$

$$ f'(x) = 3x^2 - 12ax + 9a^2 = 3(x - a)(x - 3a) $$

$0 < x \leqq 5a$ における増減表は次のようになる。

$x$ $0$ $\cdots$ $a$ $\cdots$ $3a$ $\cdots$ $5a$
$f'(x)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $0$ $\nearrow$ $4a^3$ $\searrow$ $0$ $\nearrow$ $20a^3$

極大値は $f(a) = a(2a)^2 = 4a^3$、区間右端での値は $f(5a) = 5a(-2a)^2 = 20a^3$ である。 $a > 0$ より $20a^3 > 4a^3$ であるから、$f(x)$ は $x = 5a$ のとき最大値 $20a^3$ をとる。

したがって、$|S_1 - S_2| = \frac{\sqrt{a}}{3} \sqrt{f(x_1)}$ の最大値は以下のように求まる。

$$ \frac{\sqrt{a}}{3} \sqrt{20a^3} = \frac{\sqrt{a}}{3} \cdot 2a\sqrt{5a} = \frac{2\sqrt{5}}{3} a^2 $$

解法2

面積 $S_1, S_2$ を $y$ 軸方向の定積分を用いて直接計算するアプローチ。

曲線 $y = \sqrt{4ax}$ ($y \geqq 0$) を $x$ について解くと、$x = \frac{y^2}{4a}$ となる。

$S_2$ の計算

直線 $PQ$ は、点 $P(\frac{y_1^2}{4a}, y_1)$ と $Q(-x_1, 0)$ を通る。$x$ を $y$ の式で表すと以下のようになる。

$$ x - (-x_1) = \frac{x_1 - (-x_1)}{y_1 - 0}(y - 0) $$

$$ x = \frac{2x_1}{y_1} y - x_1 $$

図形的に、区間 $0 \leqq y \leqq y_1$ において、直線 $PQ$ の方が曲線よりも左側にあるため、面積 $S_2$ は「右側の曲線」から「左側の直線」を引いて積分することで得られる。

$$ S_2 = \int_0^{y_1} \left\{ \frac{y^2}{4a} - \left( \frac{2x_1}{y_1} y - x_1 \right) \right\} dy $$

$$ S_2 = \left[ \frac{y^3}{12a} - \frac{x_1}{y_1} y^2 + x_1 y \right]_0^{y_1} = \frac{y_1^3}{12a} - x_1 y_1 + x_1 y_1 = \frac{y_1^3}{12a} $$

$y_1^2 = 4ax_1$ を用いると、$\frac{y_1^3}{12a} = \frac{4ax_1 \cdot y_1}{12a} = \frac{1}{3} x_1 y_1$ となる。

$S_1$ の計算

直線 $PF$ は、点 $P(\frac{y_1^2}{4a}, y_1)$ と $F(a, 0)$ を通る。同様に $x$ を $y$ の式で表す。

$$ x - a = \frac{x_1 - a}{y_1 - 0}(y - 0) $$

$$ x = \frac{x_1 - a}{y_1} y + a $$

区間 $0 \leqq y \leqq y_1$ において、面積 $S_1$ は「右側の直線」から「左側の曲線」を引いて積分することで得られる。

$$ S_1 = \int_0^{y_1} \left\{ \left( \frac{x_1 - a}{y_1} y + a \right) - \frac{y^2}{4a} \right\} dy $$

$$ S_1 = \left[ \frac{x_1 - a}{2y_1} y^2 + ay - \frac{y^3}{12a} \right]_0^{y_1} = \frac{x_1 - a}{2} y_1 + ay_1 - \frac{y_1^3}{12a} $$

$$ S_1 = \frac{1}{2} x_1 y_1 + \frac{1}{2} a y_1 - \frac{1}{3} x_1 y_1 = \frac{1}{6} x_1 y_1 + \frac{1}{2} a y_1 $$

このように、$y$ について積分を行うと、$x_1$ と $a$ の大小関係による場合分けをすることなく、一度の計算で面積を求めることができる。

以後の大小比較および最大値の計算は、解法1と同様である。

解説

放物線と接線に関する標準的な微積分と図形の問題である。

面積を求める際、$x$ について積分して三角形の面積を足し引きする方法(解法1)と、$x$ を $y$ で表して $y$ について積分する方法(解法2)の2つのアプローチが考えられる。解法1は直感的に図形の構成を捉えやすいが、$P$ の $x$ 座標と焦点 $a$ の位置関係による場合分けを伴う。一方、解法2のように $y$ 軸を基準に捉え直すことで、上下(左右)の関係が一定になり、場合分けを回避できるというメリットがある。放物線を横向きに見る視点は二次曲線の求積において強力な武器となる。

また、最大値・最小値問題においては、無理関数をそのまま微分するよりも、根号の中身を多項式として抜き出して増減を調べる方が計算ミスのリスクを大幅に減らすことができる。

答え

(1) $0 < x_1 < 3a$ のとき $S_1 > S_2$ $x_1 = 3a$ のとき $S_1 = S_2$ $x_1 > 3a$ のとき $S_1 < S_2$

(2) $\frac{2\sqrt{5}}{3} a^2$

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