東京工業大学 1981年 理系 第2問 解説

方針・初手
$\triangle ORS$ が領域 $D$ に含まれるためには、辺 $OR$, $OS$, $RS$ およびその内部がすべて $D$ 内にあることが必要である。 まず、原点 $O$ を端点とする辺 $OS$ が $D$ の下側境界(曲線 $y = x^3 + 3x^2$)を越えてはみ出さないための条件から、点 $S$ の座標の存在範囲(限界)を調べる。 その後、三角形の面積の公式を用いて、各頂点の座標が取りうる範囲から面積の最大値を不等式評価によって求める。
解法1
曲線 $y = x^3 + 3x^2$ を $C$ とする。領域 $D$ は、
$$ x^3 + 3x^2 \le y \le 4 \quad (-2 \le x \le 1) $$
で表される領域である。
第2象限の点 $S(x_S, y_S)$ ($x_S < 0, y_S > 0$) が $D$ に含まれ、かつ線分 $OS$ が $D$ に含まれるための条件を考える。 直線 $OS$ の傾きを $m = \frac{y_S}{x_S}$ とおくと、$x_S < 0, y_S > 0$ より $m < 0$ である。 線分 $OS$ が $D$ に含まれるためには、$x_S \le x \le 0$ を満たす全ての $x$ において、線分 $OS$ の $y$ 座標が $C$ の $y$ 座標以上である必要がある。すなわち、
$$ x^3 + 3x^2 \le mx $$
が成り立つことである。$x < 0$ において両辺を $x$ で割ると、不等号の向きが反転して
$$ x^2 + 3x \ge m $$
となる。この不等式が $x_S \le x < 0$ で常に成り立つ条件を求める。
$$ g(x) = x^2 + 3x = \left(x + \frac{3}{2}\right)^2 - \frac{9}{4} $$
は、$x = -\frac{3}{2}$ で最小値 $-\frac{9}{4}$ をとる。 ゆえに、$x_S \le x < 0$ における $g(x)$ の最小値が $m$ 以上であればよい。
もし $x_S \le -\frac{3}{2}$ ならば、区間内に $x = -\frac{3}{2}$ が含まれるため、
$$ m \le -\frac{9}{4} $$
でなければならない。$m = \frac{y_S}{x_S}$ を代入すると $\frac{y_S}{x_S} \le -\frac{9}{4}$ となる。$x_S < 0$ であるから、
$$ y_S \ge -\frac{9}{4} x_S $$
となる。さらに点 $S$ は $D$ に含まれるので $y_S \le 4$ であり、
$$ -\frac{9}{4} x_S \le y_S \le 4 \implies x_S \ge -\frac{16}{9} $$
を得る。 一方、$ -\frac{3}{2} < x_S < 0$ のときは、$x_S > -\frac{16}{9}$ は自明に成り立つ。 したがって、点 $S$ の $x$ 座標は常に $x_S \ge -\frac{16}{9}$ を満たす。
次に、第1象限の点 $R(x_R, y_R)$ ($x_R > 0, y_R > 0$) について考える。 点 $R$ が $D$ に含まれるとき、$0 < x_R \le 1$ および $y_R \le 4$ を満たす。 (なお、このとき $0 \le x \le x_R$ において $\frac{y_R}{x_R}x \ge \frac{x_R^3+3x_R^2}{x_R}x = (x_R^2+3x_R)x \ge (x^2+3x)x = x^3+3x^2$ が成り立つため、点 $R$ が $D$ にあれば線分 $OR$ は常に $D$ に含まれる。)
$\triangle ORS$ の面積を $T$ とすると、$x_R > 0, x_S < 0$ より
$$ T = \frac{1}{2} (x_R y_S - x_S y_R) $$
と表せる。 ここまでに求めた各変数のとり得る範囲は以下の通りである。
$$ \begin{aligned} 0 &< x_R \le 1 \\ 0 &< y_R \le 4 \\ -\frac{16}{9} &\le x_S < 0 \\ 0 &< y_S \le 4 \end{aligned} $$
これらを用いて、面積 $T$ の最大値を不等式で評価する。
$$ \begin{aligned} T &= \frac{1}{2} (x_R y_S - x_S y_R) \\ &\le \frac{1}{2} \left\{ 1 \cdot y_S - \left(-\frac{16}{9}\right) \cdot y_R \right\} \\ &= \frac{1}{2} \left( y_S + \frac{16}{9} y_R \right) \\ &\le \frac{1}{2} \left( 4 + \frac{16}{9} \cdot 4 \right) \\ &= \frac{1}{2} \left( 4 + \frac{64}{9} \right) \\ &= \frac{1}{2} \cdot \frac{100}{9} \\ &= \frac{50}{9} \end{aligned} $$
この等号は、$x_R = 1$, $x_S = -\frac{16}{9}$, $y_S = 4$, $y_R = 4$ のときに成立する。 最後に、この最大値を与える点 $R(1, 4)$, $S\left(-\frac{16}{9}, 4\right)$ をとったとき、$\triangle ORS$ が実際に領域 $D$ に含まれるかを確認する。 辺 $RS$ は直線 $y = 4$ 上の線分であり、$D$ の境界上にあるため $D$ に含まれる。 辺 $OS$ の方程式は $y = -\frac{9}{4}x$ であり、これは $x = -\frac{3}{2}$ で曲線 $y = x^3 + 3x^2$ と接し、$- \frac{16}{9} \le x \le 0$ において曲線の上側にあるため $D$ に含まれる。 三角形の内部の点も、上方境界 $y=4$ と下方境界(線分 $OR, OS$)に挟まれた領域にあり、これは曲線 $C$ の上側かつ $y \le 4$ となるため、$D$ に含まれる。
したがって、求める面積の最大値は $\frac{50}{9}$ である。
解説
図形が特定の領域に含まれる条件を扱う問題である。領域 $D$ の下側境界 $y = x^3 + 3x^2$ は凹凸が変化するため、「頂点が領域内にある」だけでは「辺が領域内にある」ことを直ちには保証できない。そのため、原点から引いた線分が曲線より上側にあるための条件を立式し、点 $S$ の $x$ 座標が $-\frac{16}{9}$ 以上でなければならないという限界を発見することが最大の鍵となる。 限界を見つけた後は、面積を文字式のまま不等式評価することで、図形の配置を細かく場合分けすることなく鮮やかに最大値と等号成立条件を示すことができる。
答え
$\frac{50}{9}$
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