トップ 東京工業大学 2011年 理系 第4問

東京工業大学 2011年 理系 第4問 解説

数学1/立体図形数学3/積分法数学3/微分法テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京工業大学 2011年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) は、直線を固定した座標系を取り、図形 $D$ を軸からの距離 $t$ でパラメータ化する。断面の線分を回転させたときの面積を積分して体積 $V(t)$ を立式し、$t$ について微分することで単調性を調べる。 (2) は、(1) の結果から、体積が最大となるのは軸が図形 $D$ に接するときであるとわかる。図形が軸をまたがない場合の回転体の体積は、重心から軸までの距離 $h$ を用いて $2\pi h S$ (パップス・ギュルダンの定理)と表せることを積分で示し、$h$ の最大値を求める。

解法1

(1)

正方形 $D$ と同じ平面上に、$D$ の中心(重心)を原点 $O$ とし、直線 $l$ を $x$ 軸とする $xy$ 座標系を定める。 問題の条件より $D$ のどの辺も $x$ 軸と平行ではない。 $l$ に平行な軸となる直線を $m$ とし、その方程式を $y=t$ とおく。 $D$ の境界における $y$ 座標の最大値を $t_0$ とすると、$D$ は原点対称であるため $y$ 座標の最小値は $-t_0$ である。 直線 $m$ が $D$ と交わる条件は $-t_0 \le t \le t_0$ である。

ここで、直線 $x=u$ が $D$ と交わるとき、その切り口の線分の $y$ 座標の範囲を $c(u)-w(u) \le y \le c(u)+w(u)$ (ただし $w(u) \ge 0$)とおく。 この線分が存在する $u$ の範囲を $-u_0 \le u \le u_0$ とする。 この線分を直線 $y=t$ の周りに回転させてできる図形の面積 $S_u(t)$ は、線分の両端から $m$ までの距離の最大値を半径とする円の面積となる。 距離の最大値は $\max(|c(u)+w(u)-t|, |c(u)-w(u)-t|) = w(u) + |c(u)-t|$ であるから、

$$ S_u(t) = \pi \{ w(u) + |c(u)-t| \}^2 = \pi \{ w(u)^2 + (c(u)-t)^2 + 2w(u)|c(u)-t| \} $$

回転体の体積 $V(t)$ はこれを $u$ で積分したものであり、

$$ V(t) = \pi \int_{-u_0}^{u_0} \{ w(u)^2 + (c(u)-t)^2 + 2w(u)|c(u)-t| \} du $$

ここで、$D$ が原点対称であることから $c(-u) = -c(u)$, $w(-u) = w(u)$ である。 $\int_{-u_0}^{u_0} c(u) du = 0$ であるため、

$$ \int_{-u_0}^{u_0} (c(u)-t)^2 du = \int_{-u_0}^{u_0} \{ c(u)^2 - 2tc(u) + t^2 \} du = \int_{-u_0}^{u_0} c(u)^2 du + 2u_0 t^2 $$

よって、

$$ V(t) = \pi \int_{-u_0}^{u_0} \{ w(u)^2 + c(u)^2 \} du + 2\pi u_0 t^2 + 2\pi \int_{-u_0}^{u_0} w(u)|c(u)-t| du $$

$V(t)$ の増減を調べるため、$t \ge 0$ に対して $t$ で微分する。 $f(t) = \int_{-u_0}^{u_0} w(u)|c(u)-t| du = \int_{c(u) < t} w(u)(t - c(u)) du + \int_{c(u) > t} w(u)(c(u) - t) du$ とおくと、

$$ f'(t) = \int_{c(u) < t} w(u) du - \int_{c(u) > t} w(u) du $$

$D$ の面積は $1$ であり、$\int_{-u_0}^{u_0} 2w(u) du = 1$ より $\int_{-u_0}^{u_0} w(u) du = \frac{1}{2}$ である。 $t \ge 0$ のとき、積分領域 $c(u) < t$ には $c(u) \le 0$ となる $u$ がすべて含まれる。 対称性から $\int_{c(u) \le 0} w(u) du = \frac{1}{2} \int_{-u_0}^{u_0} w(u) du = \frac{1}{4}$ であるから、 $\int_{c(u) < t} w(u) du \ge \frac{1}{4}$ となる。これより、

$$ f'(t) = 2 \int_{c(u) < t} w(u) du - \frac{1}{2} \ge 2 \cdot \frac{1}{4} - \frac{1}{2} = 0 $$

したがって、$V'(t) = 4\pi u_0 t + 2\pi f'(t)$ において、$t > 0$ のとき $V'(t) > 0$ となる。 ゆえに、$V(t)$ は $0 \le t \le t_0$ において単調に増加する。 $V(t)$ は定義から偶関数であるため、$-t_0 \le t \le t_0$ における最大値は $t = \pm t_0$ のときに生じる。

$t = \pm t_0$ のとき、直線 $y=t$ は $D$ の境界のうち $y$ 座標が最大または最小の点を通る。 仮定より $D$ のどの辺も $x$ 軸に平行でないため、$y$ 座標が最大(または最小)となるのは $D$ の頂点のみであり、唯1点である。 よって、回転体の体積を最大にする直線は $D$ と唯1点で交わることが示された。

(2)

(1) の議論より、任意の方向の直線群に対して、$D$ と交わる範囲で回転体の体積が最大となるのは、軸が $D$ に接するとき($D$ の内部を通らないとき)である。 このとき、$D$ は軸をまたがず、全体が軸の片側に存在する。

軸を $X$ 軸とし、$D$ の重心 $O$ を通り軸に直交する直線を $Y$ 軸とする座標系を取る。 $O$ の $Y$ 座標を $h$ とすると、$h \ge 0$ であり、$D$ は $Y \ge 0$ にあると仮定してよい。 $D$ を直線 $X=U$ で切った切り口の $Y$ 座標の範囲を $Y_{min}(U) \le Y \le Y_{max}(U)$ とする。 このとき、回転体の体積 $V$ は

$$ V = \pi \int \{ Y_{max}(U)^2 - Y_{min}(U)^2 \} dU $$

一方、重心の $Y$ 座標が $h$ であることから、重心の定義より

$$ \frac{\iint_D Y dY dX}{\iint_D dY dX} = h $$

分母は $D$ の面積 $S = 1$ である。分子を先に $Y$ について積分すると

$$ \int \left[ \frac{1}{2}Y^2 \right]_{Y_{min}}^{Y_{max}} dU = \frac{1}{2} \int \{ Y_{max}(U)^2 - Y_{min}(U)^2 \} dU = \frac{V}{2\pi} $$

したがって、$\frac{V}{2\pi} = h \cdot 1$ より $V = 2\pi h$ となる。 ゆえに、体積 $V$ が最大となるのは、重心 $O$ から軸までの距離 $h$ が最大となるときである。

$D$ の中心を原点とする元の $xy$ 座標系で考える。一辺の長さが $1$ なので、$D$ の頂点は $\left(\pm \frac{1}{2}, \pm \frac{1}{2}\right)$ である。 軸の方程式を $x \cos \theta + y \sin \theta = h$ とおく。 軸が $D$ と交わる(接する)条件は、$D$ 上の点 $(x, y)$ における $x \cos \theta + y \sin \theta$ の最大値が $h$ と等しくなることである。 最大値は $4$ つの頂点のいずれかでとり、

$$ h = \frac{1}{2}|\cos \theta| + \frac{1}{2}|\sin \theta| $$

となる。この $h$ の最大値を求める。

$$ h = \frac{1}{2} \sqrt{\cos^2 \theta + \sin^2 \theta + 2|\cos \theta \sin \theta|} = \frac{1}{2} \sqrt{1 + |\sin 2\theta|} $$

$|\sin 2\theta| \le 1$ であるから、$h \le \frac{1}{2} \sqrt{1+1} = \frac{\sqrt{2}}{2}$ となる。 最大値 $h = \frac{\sqrt{2}}{2}$ は $\theta = \frac{\pi}{4}, \frac{3\pi}{4}$ などのとき、すなわち軸が対角線に直交するときに達成される。 よって、求める体積の最大値は

$$ V_{max} = 2\pi \cdot \frac{\sqrt{2}}{2} = \sqrt{2}\pi $$

解説

図形を回転させた体積を求める際、図形が回転軸をまたがない場合は「パップス・ギュルダンの定理 ($V = 2\pi r_G S$)」が成立する。 本問の (1) は、図形が軸をまたぐ場合の体積を積分によって厳密に評価し、軸が図形から遠ざかるほど(限界の「接する」状態になるまで)体積が単調に増加することを示すものである。 (2) では (1) の結果を踏まえ、体積が最大となるのは図形が軸をまたがない境界の状況であることを利用し、事実上パップス・ギュルダンの定理に帰着させて解くことができる。定理を無証明で使うと減点される恐れがあるため、(2) の解答のように重心の定義式を用いて簡潔に証明を添えるのが安全である。

答え

(1)

回転体の体積を最大にする直線は、正方形 $D$ とただ 1 点で交わる。

(2)

$$ \sqrt{2}\pi $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。