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名古屋大学 2011年 理系 第1問 解説

数学1/立体図形数学3/積分法数学2/微分法テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
名古屋大学 2011年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) 立体 $K_s$ は長方形 $R_s$ を $x$ 軸のまわりに回転させたものなので、$x$ 軸に垂直な平面で切断して体積を求める。断面は円環(ドーナツ型)になる。得られた体積 $V(s)$ を $s$ で微分し、増減を調べて最大値を求める。

(2) (1) の結果から $s=0$ となる。このときの立体 $K_0$ をさらに $y$ 軸まわりに回転させるため、「回転体の体積は、回転軸に垂直な平面で切断する」という定石に従い、$y$ 軸に垂直な平面 $y=t$ で切断して考える。断面が $y$ 軸からどのくらいの距離にあるか(距離の最大値と最小値)を調べ、回転後の断面積を導出する。

解法1

(1)

長方形 $R_s$ を $x$ 軸のまわりに回転してできる立体 $K_s$ の体積 $V(s)$ を求める。 $K_s$ を $x$ 軸に垂直な平面 $x=u$ ($1 \leqq u \leqq 2+4s$) で切断する。 断面は、原点を中心とする半径 $2-3s$ の円から、半径 $1$ の円をくり抜いた円環(ドーナツ状の図形)となる。 この断面積は $u$ の値によらず一定であり、

$$\pi(2-3s)^2 - \pi \cdot 1^2 = \pi(4 - 12s + 9s^2 - 1) = 3\pi(3s^2 - 4s + 1)$$

と表される。 したがって、体積 $V(s)$ はこの断面積と $x$ の区間の長さの積となる。 $x$ の区間の長さは $(2+4s) - 1 = 1+4s$ であるから、

$$\begin{aligned} V(s) &= 3\pi(3s^2 - 4s + 1)(4s + 1) \\ &= 3\pi(12s^3 - 16s^2 + 4s + 3s^2 - 4s + 1) \\ &= 3\pi(12s^3 - 13s^2 + 1) \end{aligned}$$

となる。 $V(s)$ を $s$ について微分すると、

$$V'(s) = 3\pi(36s^2 - 26s) = 6\pi s(18s - 13)$$

$V'(s) = 0$ となるのは $s=0, \frac{13}{18}$ のときである。 与えられた $s$ の範囲 $-\frac{1}{4} < s < \frac{1}{3}$ における $V(s)$ の増減表は以下のようになる。($\frac{1}{3} = \frac{6}{18}$ より $\frac{13}{18}$ は範囲外である)

$s$ $\left(-\frac{1}{4}\right)$ $\cdots$ $0$ $\cdots$ $\left(\frac{1}{3}\right)$
$V'(s)$ $+$ $0$ $-$
$V(s)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$

増減表より、$V(s)$ は $s=0$ のとき最大値をとる。 そのときの最大値は、

$$V(0) = 3\pi(0 - 0 + 1) = 3\pi$$

である。

(2)

(1)より $s=0$ である。このとき、長方形 $R_0$ は

$$R_0 = \{(x, y, 0) \mid 1 \leqq x \leqq 2, 1 \leqq y \leqq 2\}$$

である。これを $x$ 軸のまわりに回転させた立体 $K_0$ は、空間の点 $(x, y, z)$ を用いて

$$K_0 = \{(x, y, z) \mid 1 \leqq x \leqq 2, 1 \leqq y^2 + z^2 \leqq 4\}$$

と表される。 立体 $K_0$ を $y$ 軸のまわりに回転させてできる立体 $L$ の体積を求める。 $L$ は $y$ 軸周りの回転体であるため、$y$ 軸に垂直な平面 $y=t$ で切断する。 $K_0$ を平面 $y=t$ で切断した断面 $D_t$ は、

$$1 \leqq x \leqq 2, \quad 1 \leqq t^2 + z^2 \leqq 4$$

を満たす $(x, z)$ の領域である。 実数 $z$ が存在するための条件は $t^2 \leqq 4$、すなわち $-2 \leqq t \leqq 2$ である。 この断面 $D_t$ を $y$ 軸のまわりに回転させたときの断面積 $S(t)$ を考える。 回転軸は $y$ 軸(すなわち平面 $y=t$ 上においては $(x, z) = (0, 0)$ の点)であるから、断面 $D_t$ 上の点 $(x, z)$ と原点との距離の2乗 $r^2 = x^2 + z^2$ の最大値と最小値を求めればよい。 $x^2$ は $1 \leqq x \leqq 2$ より、

$$1 \leqq x^2 \leqq 4$$

である。 $z^2$ は $1 - t^2 \leqq z^2 \leqq 4 - t^2$ と $z^2 \geqq 0$ より、

$$\max(0, 1 - t^2) \leqq z^2 \leqq 4 - t^2$$

である。 $x^2$ と $z^2$ は互いに独立に連続して動くため、$r^2 = x^2 + z^2$ は最小値から最大値までのすべての実数値をとる。 その範囲は、

$$1 + \max(0, 1 - t^2) \leqq r^2 \leqq 4 + (4 - t^2) = 8 - t^2$$

となる。 したがって、断面積 $S(t)$ は外径の2乗から内径の2乗を引いて $\pi$ をかけたものになり、

$$S(t) = \pi \{ (8 - t^2) - (1 + \max(0, 1 - t^2)) \}$$

と表せる。 ここで、図形の対称性より $t \geqq 0$ の範囲で体積を求め、2倍する。 $t$ の値によって $\max(0, 1 - t^2)$ の値が変わるため、場合分けを行う。

(i) $0 \leqq t \leqq 1$ のとき

$1 - t^2 \geqq 0$ より $\max(0, 1 - t^2) = 1 - t^2$ である。

$$S(t) = \pi \{ 8 - t^2 - (1 + 1 - t^2) \} = 6\pi$$

(ii) $1 \leqq t \leqq 2$ のとき

$1 - t^2 \leqq 0$ より $\max(0, 1 - t^2) = 0$ である。

$$S(t) = \pi \{ 8 - t^2 - 1 \} = \pi (7 - t^2)$$

これらを用いて、立体 $L$ の体積 $V_L$ を積分で求める。

$$\begin{aligned} V_L &= 2 \int_{0}^{2} S(t) \, dt \\ &= 2 \left( \int_{0}^{1} 6\pi \, dt + \int_{1}^{2} \pi (7 - t^2) \, dt \right) \\ &= 2\pi \left( \Big[ 6t \Big]_{0}^{1} + \left[ 7t - \frac{t^3}{3} \right]_{1}^{2} \right) \\ &= 2\pi \left( 6 + \left( 14 - \frac{8}{3} \right) - \left( 7 - \frac{1}{3} \right) \right) \\ &= 2\pi \left( 6 + 14 - \frac{8}{3} - 7 + \frac{1}{3} \right) \\ &= 2\pi \left( 13 - \frac{7}{3} \right) \\ &= 2\pi \times \frac{32}{3} \\ &= \frac{64}{3}\pi \end{aligned}$$

解説

(1) は空間内の長方形の回転体の体積を求める基本的な問題である。断面積が $x$ に依存しない定数となるため、単なる柱体の体積計算に帰着する。計算ミスなく微分して増減を調べられるかがポイントとなる。

(2) は「回転体をさらに別の軸で回転させる」という、イメージしづらい問題である。しかし、「回転体の体積は、回転軸に垂直な平面で切断する」という定石に従い、$y=t$ で切断して断面 $D_t$ を考えればよい。さらに、断面 $D_t$ を $y$ 軸(すなわち断面上の原点)のまわりに回転させた図形は、$D_t$ 上の点と原点との距離の最大値・最小値によって外半径と内半径が決まる円環になるという基本事項を適用すれば、確実に立式できる。 場合分けが生じるのは、$K_0$ の中空部分($y^2+z^2 < 1$)が平面 $y=t$ と交わるかどうか($t \leqq 1$ か $t > 1$ か)によるものである。

答え

(1) $s=0$ のとき、最大値 $3\pi$

(2) $\frac{64}{3}\pi$

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