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東京工業大学 2017年 理系 第3問 解説

数学2/図形と式数学1/図形計量テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京工業大学 2017年 理系 第3問 解説

方針・初手

座標平面を導入し、長方形の各頂点と折り目の直線の方程式を立式して図形的に処理する。頂点 $D$ を原点 $O(0,0)$ に取り、$A(0,1)$、$B(a,1)$、$C(a,0)$ と置くのが考えやすい。

$P$ は辺 $AB$ 上の点なので $P(x,1)$ ($0 \le x \le a$)と表せる。頂点 $D$ を $P$ に重ねるように折るとき、折り目となる直線 $l$ は線分 $DP$ の垂直二等分線となる。

はみ出る部分の面積 $S$ は、折り目 $l$ と長方形の各辺との交点の位置(すなわち $x$ の値)によって、どの部分が長方形の外に折り返されるかが変化するため、交点の座標を求めて $x$ による場合分けを行う。

解法1

(1)

座標平面上に $D(0,0)$、$A(0,1)$、$B(a,1)$、$C(a,0)$ をとり、$P(x,1)$ ($0 \le x \le a$)とする。 折り目となる直線 $l$ は、線分 $DP$ の垂直二等分線である。 線分 $DP$ の中点は $(\frac{x}{2}, \frac{1}{2})$ であり、直線 $DP$ の傾きは $\frac{1}{x}$ であるから、直線 $l$ の傾きは $-x$ となる。 したがって、直線 $l$ の方程式は、

$$ Y - \frac{1}{2} = -x \left( X - \frac{x}{2} \right) \iff Y = -xX + \frac{x^2+1}{2} $$

である。頂点 $D$ を含む側の領域が $l$ を軸として対称移動される。 直線 $l$ と長方形の各辺を含む直線との交点を求める。 左辺 $AD$ ($X=0$) との交点を $Q$ とすると、$Q(0, \frac{x^2+1}{2})$。 右辺 $BC$ ($X=a$) との交点を $R'$ とすると、$R'(a, -ax + \frac{x^2+1}{2})$。 下辺 $DC$ ($Y=0$) との交点を $R$ とすると、$R(\frac{x^2+1}{2x}, 0)$。 上辺 $AB$ ($Y=1$) との交点を $K$ とすると、$K(\frac{x^2-1}{2x}, 1)$。

これらが辺の線分上(境界または内部)にある条件を調べる。 $Q$ が辺 $AD$ 上にある条件は、$\frac{x^2+1}{2} \le 1 \iff x \le 1$。 $R$ が辺 $DC$ 上にある条件は、$\frac{x^2+1}{2x} \le a \iff x^2 - 2ax + 1 \le 0$。 $x^2 - 2ax + 1 = 0$ の解は $x = a \pm \sqrt{a^2-1}$ であり、$a \ge 1$ より $a - \sqrt{a^2-1} \le 1$ である。 したがって、$x$ の値により以下の3つの場合に分けられる。

(i)

$0 \le x \le a - \sqrt{a^2-1}$ のとき $x \le 1$ かつ $x^2 - 2ax + 1 \ge 0$ であり、$l$ は辺 $AD$ および辺 $BC$ と交わる。 折られる領域は四角形 $QDCR'$ であり、これが対称移動されて四角形 $QPC'R'$ となる($C$ の対称点を $C'$ とする)。 直線 $DC$($X$軸)を、傾き $-x$ の直線 $l$ に関して対称移動した直線 $PC'$ の傾き $m$ は、正接の倍角公式より、

$$ m = \frac{2(-x)}{1-(-x)^2} = \frac{2x}{x^2-1} $$

となる。直線 $PC'$ は $P(x,1)$ を通るため、その方程式は、

$$ Y = \frac{2x}{x^2-1}(X - x) + 1 = \frac{2x}{x^2-1}X - \frac{x^2+1}{x^2-1} $$

である。この直線と直線 $BC$ ($X=a$) の交点を $T$ とすると、$T$ の $Y$座標は、

$$ Y_T = \frac{2ax - (x^2+1)}{x^2-1} = \frac{x^2 - 2ax + 1}{1 - x^2} $$

となる。はみ出る部分は、四角形 $QPC'R'$ のうち直線 $BC$ の右側にある $\triangle TR'C'$ である。 $R'$ の $Y$座標は $Y_{R'} = \frac{x^2 - 2ax + 1}{2}$ であり、$\triangle TR'C'$ の底辺 $TR'$ の長さは、

$$ TR' = Y_T - Y_{R'} = \frac{x^2 - 2ax + 1}{1 - x^2} - \frac{x^2 - 2ax + 1}{2} = \frac{(x^2 - 2ax + 1)(x^2+1)}{2(1-x^2)} $$

となる。また、$C(a,0)$ の対称点 $C'$ の座標を求める。直線 $CC'$ は $l$ に垂直で $C$ を通るため $Y = \frac{1}{x}(X-a)$。線分 $CC'$ の中点が $l$ 上にある条件から $X_{C'}$ を求めると、

$$ X_{C'} = x - a\frac{x^2-1}{x^2+1} $$

となる。$\triangle TR'C'$ の高さ $h$ は直線 $BC$ から $C'$ までの距離であるから、

$$ h = X_{C'} - a = x - a\frac{x^2-1}{x^2+1} - a = \frac{x(x^2 - 2ax + 1)}{x^2+1} $$

よって、はみ出る部分の面積 $S$ は、

$$ S = \frac{1}{2} \cdot TR' \cdot h = \frac{x(x^2 - 2ax + 1)^2}{4(1-x^2)} $$

(ii)

$a - \sqrt{a^2-1} \le x \le 1$ のとき $l$ は辺 $AD$ と辺 $DC$ と交わる。折られる領域 $\triangle DQR$ が対称移動されて $\triangle PQR$ となる。 $P, Q, R$ はすべて長方形 $ABCD$ の境界または内部にあるため、$\triangle PQR$ 全体が長方形の内部に含まれる。 よって、はみ出る部分はなく、$S = 0$ である。

(iii)

$1 < x \le a$ のとき $x > 1$ より $l$ は辺 $AB$ と辺 $DC$ と交わる。折られる領域は四角形 $AKRD$ であり、対称移動されて四角形 $A'KRP$ となる。 $A(0,1)$ の対称点 $A'$ を求める。直線 $AA'$ は $Y = \frac{1}{x}X + 1$ であり、線分 $AA'$ の中点が $l$ 上にあることから、

$$ A' \left( \frac{x(x^2-1)}{x^2+1}, \frac{2x^2}{x^2+1} \right) $$

となる。ここで $A'$ の $Y$座標について $\frac{2x^2}{x^2+1} - 1 = \frac{x^2-1}{x^2+1} > 0$ であるため、$A'$ は長方形の上辺 $Y=1$ より上にはみ出る。 はみ出る部分は、辺 $AB$ 上の線分 $KP$ を底辺とする $\triangle A'KP$ である。 $K$ の $X$座標は $X_K = \frac{x^2-1}{2x}$ であるから、底辺の長さ $KP$ は、

$$ KP = x - \frac{x^2-1}{2x} = \frac{x^2+1}{2x} $$

高さ $h'$ は $A'$ の $Y$座標から $1$ を引いたものなので $h' = \frac{x^2-1}{x^2+1}$。 よって、面積 $S$ は、

$$ S = \frac{1}{2} \cdot KP \cdot h' = \frac{x^2-1}{4x} $$

以上より、$S$ は $a$ と $x$ を用いて次のように表される。

$$ S = \begin{cases} \frac{x(x^2-2ax+1)^2}{4(1-x^2)} & (0 \le x \le a - \sqrt{a^2-1}) \\ 0 & (a - \sqrt{a^2-1} < x \le 1) \\ \frac{x^2-1}{4x} & (1 < x \le a) \end{cases} $$

(2)

$a=1$ のとき、$\sqrt{a^2-1} = 0$ であるから、$a - \sqrt{a^2-1} = 1$ となる。 $P$ が $A$ から $B$ まで動くため $0 \le x \le 1$ であり、(1) の場合分けにおける (i) の区間のみを考えればよい($x=1$ のときは $S=0$)。 $0 \le x < 1$ において、

$$ S = \frac{x(x^2-2x+1)^2}{4(1-x^2)} = \frac{x(1-x)^4}{4(1-x)(1+x)} = \frac{x(1-x)^3}{4(1+x)} $$

$f(x) = \frac{x(1-x)^3}{1+x}$ とおき、これを微分する。

$$ \begin{aligned} f'(x) &= \frac{ \{ 1 \cdot (1-x)^3 + x \cdot 3(1-x)^2(-1) \}(1+x) - x(1-x)^3 \cdot 1 }{(1+x)^2} \\ &= \frac{ (1-x)^2 \{ (1-4x)(1+x) - x(1-x) \} }{(1+x)^2} \\ &= \frac{ (1-x)^2 (-3x^2-4x+1) }{(1+x)^2} \end{aligned} $$

$f'(x) = 0$ とすると $3x^2+4x-1=0$。 $0 \le x < 1$ を満たす解は $x = \frac{-2+\sqrt{7}}{3}$ である。 $0 < x < \frac{-2+\sqrt{7}}{3}$ では $f'(x) > 0$、$\frac{-2+\sqrt{7}}{3} < x < 1$ では $f'(x) < 0$ となるため、この $x$ において $S$ は極大かつ最大となる。

解説

図形の折り返しにおいて「はみ出る部分」がどこに生じるかを正確に把握する力が問われる難問である。 問題文の図は、折り目が辺 $AD$ と辺 $DC$ の両方と交わるケース(本解説の 場合2)を示唆しているが、このケースでははみ出る部分が生じず $S=0$ となる。 $x$ が非常に小さいとき(場合1)は右辺 $BC$ 側から、 $x$ が $1$ より大きいとき(場合3)は上辺 $AB$ 側から図形がはみ出ることを、方程式の交点条件から論理的に見つけ出す必要がある。図に頼りすぎず、数式で交点の位置関係を厳密に評価することが完答への鍵となる。

答え

(1)

$$ S = \begin{cases} \frac{x(x^2-2ax+1)^2}{4(1-x^2)} & (0 \le x \le a - \sqrt{a^2-1} \text{ のとき}) \\ 0 & (a - \sqrt{a^2-1} < x \le 1 \text{ のとき}) \\ \frac{x^2-1}{4x} & (1 < x \le a \text{ のとき}) \end{cases} $$

(2)

$$ x = \frac{-2+\sqrt{7}}{3} $$

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