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東京工業大学 2021年 理系 第4問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/最大・最小テーマ/空間図形
東京工業大学 2021年 理系 第4問 解説

方針・初手

球面上の点という条件から、各位置ベクトルの大きさが1であることを用いる。空間ベクトルの内積を用いて与式を展開・整理し、問題文で指定された目標の形に近づける。式の中に複数のベクトルが含まれるため、$\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}$ を1つのベクトルとして扱い、ベクトルを含んだまま平方完成を行うことで最大値を調べるのが見通しの良い方針である。

解法1

(1) 点 $A, B, C, D$ は原点 $O$ を中心とする半径 $1$ の球面 $S$ 上にあるので、

$$ |\vec{a}| = |\vec{b}| = |\vec{c}| = |\vec{d}| = 1 $$

が成り立つ。各線分の長さの2乗は、内積を用いて次のように表される。

$$ AB^2 = |\vec{b} - \vec{a}|^2 = |\vec{a}|^2 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{b}|^2 = 2 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} $$

同様に、他の各項を計算すると以下のようになる。

$$ \begin{aligned} BC^2 &= 2 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} \\ CA^2 &= 2 - 2\vec{c}\cdot\vec{a} \\ AD^2 &= 2 - 2\vec{a}\cdot\vec{d} \\ BD^2 &= 2 - 2\vec{b}\cdot\vec{d} \\ CD^2 &= 2 - 2\vec{c}\cdot\vec{d} \end{aligned} $$

これらを $F$ の定義式に代入して整理する。

$$ \begin{aligned} F &= 2(AB^2 + BC^2 + CA^2) - 3(AD^2 + BD^2 + CD^2) \\ &= 2 \left( 6 - 2(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) \right) - 3 \left( 6 - 2(\vec{a}\cdot\vec{d} + \vec{b}\cdot\vec{d} + \vec{c}\cdot\vec{d}) \right) \\ &= 12 - 4(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) - 18 + 6(\vec{a}\cdot\vec{d} + \vec{b}\cdot\vec{d} + \vec{c}\cdot\vec{d}) \\ &= -6 - 4(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) + 6(\vec{a} + \vec{b} + \vec{c})\cdot\vec{d} \end{aligned} $$

ここで、$\vec{s} = \vec{a} + \vec{b} + \vec{c}$ とおき、$|\vec{s}|^2$ を計算する。

$$ \begin{aligned} |\vec{s}|^2 &= |\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}|^2 \\ &= |\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 + |\vec{c}|^2 + 2(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) \\ &= 3 + 2(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) \end{aligned} $$

これより、以下の関係式が得られる。

$$ -4(\vec{a}\cdot\vec{b} + \vec{b}\cdot\vec{c} + \vec{c}\cdot\vec{a}) = -2(|\vec{s}|^2 - 3) $$

これを先ほどの $F$ の式に代入する。

$$ \begin{aligned} F &= -6 - 2(|\vec{s}|^2 - 3) + 6\vec{s}\cdot\vec{d} \\ &= -2|\vec{s}|^2 + 6\vec{s}\cdot\vec{d} \\ &= -2 \vec{s} \cdot (\vec{s} - 3\vec{d}) \end{aligned} $$

$\vec{s}$ を元の形に戻す。

$$ F = -2 (\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}) \cdot (\vec{a} + \vec{b} + \vec{c} - 3\vec{d}) $$

よって、$F$ は指定された形で書けることが示され、定数 $k$ は $-2$ である。

(2) (1)の変形より、$F = -2|\vec{s}|^2 + 6\vec{s}\cdot\vec{d}$ である。 ベクトル $\vec{s}$ と $\vec{d}$ について平方完成を行うと、次のように変形できる。

$$ \begin{aligned} F &= -2 \left( |\vec{s}|^2 - 3\vec{s}\cdot\vec{d} \right) \\ &= -2 \left( \left| \vec{s} - \frac{3}{2}\vec{d} \right|^2 - \frac{9}{4}|\vec{d}|^2 \right) \\ &= -2 \left| \vec{s} - \frac{3}{2}\vec{d} \right|^2 + \frac{9}{2}|\vec{d}|^2 \end{aligned} $$

$|\vec{d}| = 1$ であるから、次のように書ける。

$$ F = -2 \left| \vec{s} - \frac{3}{2}\vec{d} \right|^2 + \frac{9}{2} $$

ここで、実数成分のベクトルの大きさの2乗は $0$ 以上であるため、$-2 \left| \vec{s} - \frac{3}{2}\vec{d} \right|^2 \leqq 0$ であり、$F \leqq \frac{9}{2}$ が常に成り立つ。 等号が成立するのは $\vec{s} - \frac{3}{2}\vec{d} = \vec{0}$、すなわち $\vec{a} + \vec{b} + \vec{c} = \frac{3}{2}\vec{d}$ のときである。 実際、たとえば

$$ \vec{d} = (1,0,0),\quad \vec{a} = \left(\frac12,\frac{\sqrt3}{2},0\right),\quad \vec{b} = \left(\frac12,-\frac{\sqrt3}{4},\frac34\right),\quad \vec{c} = \left(\frac12,-\frac{\sqrt3}{4},-\frac34\right) $$

とすれば、いずれも単位ベクトルであり、

$$ \vec{a} + \vec{b} + \vec{c} = \left(\frac32,0,0\right) = \frac32 \vec{d} $$

が成り立つ。したがって等号は実際に達成される。 したがって、$F$ の最大値 $M$ は $\frac{9}{2}$ である。

(3) (2)の議論より、$F = M$ となる条件は

$$ \vec{a} + \vec{b} + \vec{c} = \frac{3}{2}\vec{d} $$

すなわち、

$$ \vec{a} + \vec{b} = \frac{3}{2}\vec{d} - \vec{c} $$

である。問題で与えられた座標 $\vec{c} = \left(-\frac{1}{4}, \frac{\sqrt{15}}{4}, 0\right)$、$\vec{d} = (1, 0, 0)$ を右辺に代入する。

$$ \begin{aligned} \frac{3}{2}\vec{d} - \vec{c} &= \left( \frac{3}{2}, 0, 0 \right) - \left(-\frac{1}{4}, \frac{\sqrt{15}}{4}, 0\right) \\ &= \left( \frac{7}{4}, -\frac{\sqrt{15}}{4}, 0 \right) \end{aligned} $$

よって、$\vec{a} + \vec{b} = \left( \frac{7}{4}, -\frac{\sqrt{15}}{4}, 0 \right)$ である。 このベクトルの大きさを計算する。

$$ |\vec{a} + \vec{b}|^2 = \left( \frac{7}{4} \right)^2 + \left( -\frac{\sqrt{15}}{4} \right)^2 = \frac{49}{16} + \frac{15}{16} = \frac{64}{16} = 4 $$

したがって、$|\vec{a} + \vec{b}| = 2$ である。 一方で、$\vec{a}, \vec{b}$ は球面 $S$ 上の点であるから、単位ベクトル同士の和の大きさについて三角不等式より

$$ |\vec{a} + \vec{b}| \leqq |\vec{a}| + |\vec{b}| = 1 + 1 = 2 $$

が成り立つ。$|\vec{a} + \vec{b}| = 2$(等号成立)となるのは、$\vec{a}$ と $\vec{b}$ が同じ向きのとき、すなわち $\vec{a} = \vec{b}$ のときに限られる。 このとき、$2\vec{a} = \left( \frac{7}{4}, -\frac{\sqrt{15}}{4}, 0 \right)$ となるため、

$$ \vec{a} = \vec{b} = \left( \frac{7}{8}, -\frac{\sqrt{15}}{8}, 0 \right) $$

を得る。求めたベクトルが大きさが1の単位ベクトルであることも満たされている。

解説

空間ベクトルにおける内積の基本計算と、ベクトルの大きさの最大値を求める典型的な良問である。 (1)では、各辺の長さの2乗を展開し、指定された形に合わせて $\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}$ の塊を作り出すのが式変形のコツである。 (2)では、変数をまとめた $|\vec{s}|^2$ と $\vec{s}\cdot\vec{d}$ の式から「ベクトルを含んだままの平方完成」を行うことで、直感的に最大値とそのときの等号成立条件を鮮やかに導くことができる。 (3)では、得られたベクトルの大きさが最大値の $2$ に達していることから、2つの単位ベクトルが完全に一致するという図形的な条件($\vec{a} = \vec{b}$)を見抜くことが重要になる。

答え

(1) $k=-2$

(2) $M = \frac{9}{2}$

(3) $A\left( \frac{7}{8}, -\frac{\sqrt{15}}{8}, 0 \right), B\left( \frac{7}{8}, -\frac{\sqrt{15}}{8}, 0 \right)$ の1組のみ。

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