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東京工業大学 2024年 理系 第3問 解説

数学B/数列数学2/図形と式テーマ/漸化式テーマ/面積・体積テーマ/図形総合
東京工業大学 2024年 理系 第3問 解説

方針・初手

点 $A_n, C_n$ の座標の漸化式を立てることが第一歩である。点 $A_n$ は直線 $l$ 上、点 $C_n$ は直線 $k$ 上の点であるという条件と、$x$ 軸や $y$ 軸に平行に移動するという条件から、交点の $x$ 座標および $y$ 座標の漸化式を導き出す。面積や極限の計算では、求めた座標の複雑な式をそのまま代入するのではなく、点が直線 $l$ 上にあるための条件式を活用すると、絶対値や根号の中身が簡略化されて計算の見通しが良くなる。

解法1

(1)

点 $A_n$ の座標を $(x_n, y_n)$ とおく。 直線 $l$ は点 $A(a,0), B(0,b)$ を通るので、その方程式は $\frac{x}{a} + \frac{y}{b} = 1$ より、

$$ y = -\frac{b}{a}x + b $$

である。また、直線 $k$ は点 $C(-a,0)$ を通り、傾き $\frac{b}{a}$ の直線 $BC$ に垂直な直線であるから、その傾きは $-\frac{a}{b}$ となり、方程式は

$$ y = -\frac{a}{b}(x + a) = -\frac{a}{b}x - \frac{a^2}{b} $$

となる。

点 $C_{n+1}$ は、点 $A_n(x_n, y_n)$ を通り $y$ 軸に平行な直線 $x = x_n$ と直線 $k$ の交点なので、その座標は

$$ C_{n+1}\left(x_n, -\frac{a}{b}x_n - \frac{a^2}{b}\right) $$

となる。 次に、点 $A_{n+1}(x_{n+1}, y_{n+1})$ は、点 $C_{n+1}$ を通り $x$ 軸に平行な直線と直線 $l$ の交点である。よって $y_{n+1}$ は $C_{n+1}$ の $y$ 座標と等しく、

$$ y_{n+1} = -\frac{a}{b}x_n - \frac{a^2}{b} $$

が成り立つ。また、$A_{n+1}$ は直線 $l$ 上にあるので、

$$ y_{n+1} = -\frac{b}{a}x_{n+1} + b $$

これらから $y_{n+1}$ を消去すると、

$$ -\frac{b}{a}x_{n+1} + b = -\frac{a}{b}x_n - \frac{a^2}{b} $$

$$ x_{n+1} = \frac{a^2}{b^2}x_n + \frac{a(a^2+b^2)}{b^2} $$

を得る。

ここで、点 $A(a,0)$ を $A_0(x_0, y_0)$ とみなすと、問題文における $C_1, A_1$ の決定手順は $n \ge 1$ における $A_n \to C_{n+1} \to A_{n+1}$ の手順と共通するため、上の漸化式は $n=0$ から成り立ち、$x_0 = a$ として扱える。 特性方程式 $\alpha = \frac{a^2}{b^2}\alpha + \frac{a(a^2+b^2)}{b^2}$ を解くと $\alpha = \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2}$ となるから、漸化式は次のように変形できる。

$$ x_{n+1} - \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} = \frac{a^2}{b^2} \left( x_n - \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} \right) $$

したがって、等比数列の一般項として

$$ x_n - \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} = \left(\frac{a^2}{b^2}\right)^n \left( a - \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} \right) = \left(\frac{a}{b}\right)^{2n} \frac{-2a^3}{b^2-a^2} $$

$$ x_n = \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} - \frac{2a^3}{b^2-a^2}\left(\frac{a}{b}\right)^{2n} $$

が求まる。これより $A_n$ の $y$ 座標は

$$ y_n = -\frac{b}{a}x_n + b = \frac{2a^2b}{b^2-a^2} \left\{ \left(\frac{a}{b}\right)^{2n} - 1 \right\} $$

となる。

一方、点 $C_n$ は点 $A_{n-1}$ を通り $y$ 軸に平行な直線と直線 $k$ の交点であり、点 $A_n$ は点 $C_n$ を通り $x$ 軸に平行な直線と直線 $l$ の交点である。したがって、$C_n$ の $x$ 座標は $x_{n-1}$、$y$ 座標は $y_n$ となる。

$$ x_{n-1} = \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} - \frac{2a^3}{b^2-a^2}\left(\frac{a}{b}\right)^{2n-2} $$

これにより $C_n$ の座標も定まる。

(2)

$\triangle C B A_n$ の3頂点は $B(0,b), C(-a,0), A_n(x_n,y_n)$ である。 ベクトルを用いて面積を計算する。$\vec{BC} = (-a, -b)$、$\vec{BA_n} = (x_n, y_n-b)$ より、その面積 $S_n$ は

$$ S_n = \frac{1}{2}|(-a)(y_n-b) - (-b)x_n| = \frac{1}{2}|bx_n - ay_n + ab| $$

点 $A_n$ は直線 $l: bx+ay=ab$ 上の点であるため、$ay_n = ab - bx_n$ が成り立つ。これを代入して

$$ S_n = \frac{1}{2}|bx_n - (ab - bx_n) + ab| = b|x_n| $$

ここで、$0<a<b$ より $0 < \left(\frac{a}{b}\right)^{2n} < 1$ であるから、

$$ x_n > \frac{a(a^2+b^2) - 2a^3 \cdot 1}{b^2-a^2} = \frac{a(b^2-a^2)}{b^2-a^2} = a > 0 $$

したがって $|x_n| = x_n$ となり、

$$ S_n = bx_n = \frac{ab(a^2+b^2)}{b^2-a^2} - \frac{2a^3b}{b^2-a^2}\left(\frac{a}{b}\right)^{2n} $$

(3)

2点間の距離の公式より $BA_n = \sqrt{x_n^2 + (y_n-b)^2}$ である。 $A_n$ は直線 $l: y-b = -\frac{b}{a}x$ 上の点であるから、

$$ BA_n = \sqrt{x_n^2 + \left(-\frac{b}{a}x_n\right)^2} = \sqrt{1+\frac{b^2}{a^2}}|x_n| = \frac{\sqrt{a^2+b^2}}{a}x_n $$

また、$BC = \sqrt{(-a)^2 + (-b)^2} = \sqrt{a^2+b^2}$ である。よって

$$ \frac{BA_n}{BC} = \frac{\frac{\sqrt{a^2+b^2}}{a}x_n}{\sqrt{a^2+b^2}} = \frac{x_n}{a} $$

$0<a<b$ より $\lim_{n \to \infty} \left(\frac{a}{b}\right)^{2n} = 0$ であるから、

$$ \lim_{n \to \infty} x_n = \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} $$

したがって、求める極限は

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{BA_n}{BC} = \frac{1}{a} \cdot \frac{a(a^2+b^2)}{b^2-a^2} = \frac{a^2+b^2}{b^2-a^2} $$

解説

直線の交点の移動を繰り返す典型的な極限問題である。図形的な操作を愚直に $x, y$ 座標の漸化式に落とし込むことで解決する。(2) や (3) の計算において、点 $A_n$ が常に直線 $l$ 上にあるという制約を用いると、二変数 $(x_n, y_n)$ の式を一変数 $x_n$ のみに還元でき、劇的に計算量を減らすことができる。 なお、(3) の極限における点 $A_n$ の収束先 $A_\infty$ は、直線 $l$ と直線 $k$ の交点と一致する。直線 $k$ は $BC$ に垂直に引かれているため、極限図形としての $\triangle B C A_\infty$ は $\angle C = 90^\circ$ の直角三角形となり、この幾何学的性質からも極限値を検証可能である。

答え

(1)

$$ A_n\left( \frac{a(a^2+b^2) - 2a^3 \left(\frac{a}{b}\right)^{2n}}{b^2-a^2}, \frac{2a^2b \left\{ \left(\frac{a}{b}\right)^{2n} - 1 \right\}}{b^2-a^2} \right) $$

$$ C_n\left( \frac{a(a^2+b^2) - 2a^3 \left(\frac{a}{b}\right)^{2n-2}}{b^2-a^2}, \frac{2a^2b \left\{ \left(\frac{a}{b}\right)^{2n} - 1 \right\}}{b^2-a^2} \right) $$

(2)

$$ S_n = \frac{ab(a^2+b^2)}{b^2-a^2} - \frac{2a^3b}{b^2-a^2}\left(\frac{a}{b}\right)^{2n} $$

(3)

$$ \lim_{n\to\infty} \frac{BA_n}{BC} = \frac{a^2+b^2}{b^2-a^2} $$

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