東京大学 1961年 理系 第3問 解説

方針・初手
空間図形の問題であるが、図形の対称性から中心軸を通る平面で切断し、2次元の断面図で考えるのが定石である。 半球と直円錐の底面が同一平面上にあるため、半球の中心と直円錐の底面の中心は一致する。断面においては、半径 $a$ の半円に直角三角形の斜辺が接する構図となる。 高さを直接変数として方程式を立てて微分により最小値を求める方針(解法1)と、直円錐の頂角の半分を変数として三角関数を用いて立式する方針(解法2)が考えられる。
解法1
半球の中心を原点 $O$ とし、半球の底面を $xy$ 平面上にとる。対称性より、直円錐の底面の中心も $O$ に一致し、その軸は $z$ 軸と重なるとしてよい。 直円錐の高さを $h$ ($h > a$)、底面の半径を $r$ ($r > 0$) とする。
$zx$ 平面 ($x \ge 0, z \ge 0$) における断面を考える。 半球の断面は、原点を中心とする半径 $a$ の四分円 $x^2 + z^2 \le a^2$ である。 直円錐の断面は、頂点が $(0, h)$、底辺の端点が $(r, 0)$ である直角三角形となる。直円錐は半球に外接しているため、この直角三角形の斜辺(直円錐の母線)は円 $x^2 + z^2 = a^2$ に接する。
斜辺を通る直線の方程式は、
$$ \frac{x}{r} + \frac{z}{h} = 1 $$
すなわち、
$$ hx + rz - hr = 0 $$
と表せる。 原点 $O$ からこの直線までの距離が半球の半径 $a$ に等しいため、点と直線の距離の公式より次が成り立つ。
$$ \frac{|-hr|}{\sqrt{h^2+r^2}} = a $$
両辺が正であることを確認して2乗し、整理する。
$$ h^2r^2 = a^2(h^2+r^2) $$
$$ r^2(h^2-a^2) = a^2h^2 $$
$h > a$ より $h^2 - a^2 > 0$ であるから、
$$ r^2 = \frac{a^2h^2}{h^2-a^2} $$
直円錐の母線の長さを $L$ とすると、三平方の定理より
$$ L = \sqrt{r^2+h^2} = \sqrt{\frac{a^2h^2}{h^2-a^2} + h^2} = \sqrt{\frac{h^4}{h^2-a^2}} = \frac{h^2}{\sqrt{h^2-a^2}} $$
直円錐の全表面積 $S$ は、底面積 $\pi r^2$ と側面積 $\pi r L$ の和であるから、
$$ S = \pi r^2 + \pi r L = \pi \frac{a^2h^2}{h^2-a^2} + \pi \frac{ah}{\sqrt{h^2-a^2}} \cdot \frac{h^2}{\sqrt{h^2-a^2}} $$
$$ S = \pi \frac{a^2h^2 + ah^3}{h^2-a^2} = \pi \frac{ah^2(a+h)}{(h-a)(h+a)} = \frac{\pi ah^2}{h-a} $$
$S$ を $h$ の関数 $S(h)$ とみて、$h > a$ の範囲における増減を調べる。
$$ S'(h) = \pi a \frac{2h(h-a) - h^2 \cdot 1}{(h-a)^2} = \pi a \frac{h^2-2ah}{(h-a)^2} = \pi a \frac{h(h-2a)}{(h-a)^2} $$
$h > a$ の範囲において、$S'(h) = 0$ となるのは $h = 2a$ のときである。 $a < h < 2a$ のとき $S'(h) < 0$ より $S(h)$ は単調に減少する。 $h > 2a$ のとき $S'(h) > 0$ より $S(h)$ は単調に増加する。
したがって、$S(h)$ は $h = 2a$ のとき極小かつ最小となる。 全表面積をもっとも小さくする高さは $2a$ である。
解法2
直円錐の中心軸を通る断面において、直円錐の軸と母線のなす角を $\theta$ とおく。 直円錐が半球に外接していることから、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ である。
直円錐の高さを $h$、底面の半径を $r$ とし、半球の中心(原点)から母線に下ろした垂線の足(接点)を考える。 直角三角形の相似関係に着目すると、原点から接点までの距離が半球の半径 $a$ であることから、次が成り立つ。
$$ h = \frac{a}{\sin \theta} $$
$$ r = h \tan \theta = \frac{a}{\sin \theta} \cdot \frac{\sin \theta}{\cos \theta} = \frac{a}{\cos \theta} $$
直円錐の母線の長さを $L$ とすると、
$$ L = \frac{h}{\cos \theta} = \frac{a}{\sin \theta \cos \theta} $$
直円錐の全表面積 $S$ は、底面積 $\pi r^2$ と側面積 $\pi r L$ の和であるから、
$$ S = \pi \left( \frac{a}{\cos \theta} \right)^2 + \pi \frac{a}{\cos \theta} \cdot \frac{a}{\sin \theta \cos \theta} = \frac{\pi a^2}{\cos^2 \theta} \left( 1 + \frac{1}{\sin \theta} \right) $$
ここで $\cos^2 \theta = 1 - \sin^2 \theta = (1 - \sin \theta)(1 + \sin \theta)$ を用いると、
$$ S = \frac{\pi a^2}{(1 - \sin \theta)(1 + \sin \theta)} \cdot \frac{\sin \theta + 1}{\sin \theta} = \frac{\pi a^2}{\sin \theta (1 - \sin \theta)} $$
$x = \sin \theta$ とおくと、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < x < 1$ である。
$$ S = \frac{\pi a^2}{x(1 - x)} $$
分母の $x(1 - x)$ について平方完成すると、
$$ x(1 - x) = -x^2 + x = -\left( x - \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{1}{4} $$
$0 < x < 1$ の範囲において、分母は $x = \frac{1}{2}$ のとき最大値 $\frac{1}{4}$ をとる。 分子は正の定数であるから、分母が最大となるとき $S$ の値は最小となる。 すなわち、$x = \sin \theta = \frac{1}{2}$ のとき全表面積は最小となる。
このときの直円錐の高さ $h$ は、
$$ h = \frac{a}{\sin \theta} = \frac{a}{\frac{1}{2}} = 2a $$
解説
空間図形における最大・最小問題である。立体を真正面から捉えるのではなく、条件を保ったままいかに2次元の平面図形(断面図)に帰着させるかが最大のポイントである。 解法1のように線分の長さを変数とする手法は発想が自然であるが、計算式が煩雑になりやすい。計算の途中でうまく因数分解して式を簡略化することが、計算ミスを防ぐ鍵となる。 一方、解法2のように角度を変数にとる手法は、設定段階で少し慣れが必要なものの、三角関数の性質によって変数の定義域が明確になり、微分を用いずに2次関数の最大・最小問題に帰着できるという強力な利点がある。
答え
$2a$
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