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東京大学 1976年 文系 第3問 解説

数学2/図形と式数学C/複素数平面テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
東京大学 1976年 文系 第3問 解説

方針・初手

点 $P$ の座標を変数としておき、条件に従って点 $Q$ および点 $R$ の座標を求める。それらを用いて線分 $QR$ の長さを式で表し、その式の図形的な意味を考察する。計算を進めると、$QR$ の長さは「点 $P$ とある定点との距離」の実数倍になることがわかる。点 $P$ は円周上を動くため、最終的には円上の点と定点との距離の最大・最小問題に帰着する。座標を用いて直接計算する方法と、複素数平面を用いて変換を処理する方法がある。

解法1

点 $P$ の座標を $(x, y)$ とする。点 $P$ は円 $C: (x - 5)^2 + (y - 5)^2 = r^2$ 上の点である。

点 $Q$ は点 $P$ の点 $A(9, 0)$ に関する対称点であるから、線分 $PQ$ の中点が $A$ となる。点 $Q$ の座標を $(x_Q, y_Q)$ とすると、以下の式が成り立つ。

$$ \frac{x + x_Q}{2} = 9, \quad \frac{y + y_Q}{2} = 0 $$

これを解いて、点 $Q$ の座標は $(18 - x, -y)$ である。

また、点 $R$ は点 $P$ を原点 $O$ のまわりに正の向きに $\frac{\pi}{2}$ だけ回転した点である。点 $R$ の座標を $(x_R, y_R)$ とすると、回転行列を用いて次のように表される。

$$ \begin{pmatrix} x_R \\ y_R \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \cos\frac{\pi}{2} & -\sin\frac{\pi}{2} \\ \sin\frac{\pi}{2} & \cos\frac{\pi}{2} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} -y \\ x \end{pmatrix} $$

よって、点 $R$ の座標は $(-y, x)$ である。

ここで、線分 $QR$ の長さの2乗を計算する。

$$ \begin{aligned} QR^2 &= (-y - (18 - x))^2 + (x - (-y))^2 \\ &= (x - y - 18)^2 + (x + y)^2 \\ &= (x^2 + y^2 + 324 - 2xy - 36x + 36y) + (x^2 + 2xy + y^2) \\ &= 2x^2 + 2y^2 - 36x + 36y + 324 \\ &= 2(x^2 - 18x + y^2 + 18y) + 324 \\ &= 2 \left\{ (x - 9)^2 - 81 + (y + 9)^2 - 81 \right\} + 324 \\ &= 2 \left\{ (x - 9)^2 + (y + 9)^2 \right\} \end{aligned} $$

したがって、線分 $QR$ の長さは次のように表される。

$$ QR = \sqrt{2} \sqrt{(x - 9)^2 + (y + 9)^2} $$

上式における $\sqrt{(x - 9)^2 + (y + 9)^2}$ は、点 $P(x, y)$ と定点 $B(9, -9)$ の間の距離 $PB$ を表している。すなわち、$QR = \sqrt{2} PB$ となる。

点 $P$ は中心 $C_0(5, 5)$、半径 $r$ の円上の点である。中心 $C_0$ と定点 $B$ の距離 $C_0B$ は、

$$ C_0B = \sqrt{(9 - 5)^2 + (-9 - 5)^2} = \sqrt{4^2 + (-14)^2} = \sqrt{16 + 196} = \sqrt{212} = 2\sqrt{53} $$

点 $P$ が円 $C$ 上を動くとき、点 $P$ と定点 $B$ の距離 $PB$ の最大値は $C_0B + r$、最小値は $|C_0B - r|$ である。

これらを $\sqrt{2}$ 倍したものが、それぞれ線分 $QR$ の長さの最大値 $g(r)$ および最小値 $f(r)$ となるため、

$$ g(r) = \sqrt{2} (2\sqrt{53} + r) = \sqrt{2}r + 2\sqrt{106} $$

$$ f(r) = \sqrt{2} |2\sqrt{53} - r| = \sqrt{2} |r - 2\sqrt{53}| $$

となる。また、$f(r) = 0$ となるような $r$ の条件は、

$$ \sqrt{2} |2\sqrt{53} - r| = 0 \iff r = 2\sqrt{53} $$

である。

解法2

複素数平面を用いて考える。点 $P, Q, R, A$ を表す複素数をそれぞれ $z, q, w, \alpha$ とする。

点 $P$ は中心 $5 + 5i$、半径 $r$ の円上の点であるから、

$$ |z - (5 + 5i)| = r $$

を満たす。点 $A(9, 0)$ より $\alpha = 9$ である。点 $Q$ は点 $A$ に関して点 $P$ と対称であるから、

$$ \frac{z + q}{2} = 9 \iff q = 18 - z $$

点 $R$ は点 $P$ を原点 $O$ のまわりに正の向きに $\frac{\pi}{2}$ だけ回転した点であるから、

$$ w = \left( \cos\frac{\pi}{2} + i\sin\frac{\pi}{2} \right) z = iz $$

線分 $QR$ の長さは、複素数平面上における点 $q$ と点 $w$ の距離 $|w - q|$ として計算できる。

$$ \begin{aligned} |w - q| &= |iz - (18 - z)| \\ &= |(1 + i)z - 18| \\ &= \left| (1 + i) \left( z - \frac{18}{1 + i} \right) \right| \\ &= |1 + i| \left| z - \frac{18(1 - i)}{(1 + i)(1 - i)} \right| \\ &= \sqrt{1^2 + 1^2} \left| z - \frac{18(1 - i)}{2} \right| \\ &= \sqrt{2} |z - (9 - 9i)| \end{aligned} $$

ここで、$|z - (9 - 9i)|$ は、円 $|z - (5 + 5i)| = r$ 上を動く点 $z$ から、定点 $9 - 9i$ までの距離を表している。

円の中心 $5 + 5i$ と定点 $9 - 9i$ の間の距離 $d$ は、

$$ \begin{aligned} d &= |(5 + 5i) - (9 - 9i)| \\ &= |-4 + 14i| \\ &= \sqrt{(-4)^2 + 14^2} \\ &= \sqrt{16 + 196} = \sqrt{212} = 2\sqrt{53} \end{aligned} $$

点 $z$ と定点 $9 - 9i$ との距離の最大値は $d + r$、最小値は $|d - r|$ であるから、線分 $QR$ の長さの最大値 $g(r)$ と最小値 $f(r)$ は、

$$ g(r) = \sqrt{2}(d + r) = \sqrt{2}(r + 2\sqrt{53}) $$

$$ f(r) = \sqrt{2}|d - r| = \sqrt{2}|r - 2\sqrt{53}| $$

となる。また、$f(r) = 0$ となるとき、

$$ 2\sqrt{53} - r = 0 \iff r = 2\sqrt{53} $$

である。

解説

回転移動や対称移動が複合した動点の問題である。軌跡を直接求めようとするよりも、文字式で2点間の距離を立式してからその式の意味を解釈するアプローチが有効である。

解法1のように座標計算を愚直に行っても2次式の平方完成によって定点からの距離に帰着できる。一方で、解法2のように複素数平面を用いると、回転や対称移動の処理が1次式で簡潔に記述でき、式変形も自然に「点と点の距離」の形にまとまるため、計算量やミスのリスクを大きく減らすことができる。

また、「円周上の点と定点との距離の最大・最小」は頻出のテーマであり、定点と円の中心を結ぶ直線上に距離が最大・最小となる点が存在するという図形的性質を用いることで、容易に結論を得ることができる。

答え

$$ f(r) = \sqrt{2} |r - 2\sqrt{53}| $$

$$ g(r) = \sqrt{2} (r + 2\sqrt{53}) $$

$f(r) = 0$ となる $r$ の値は $r = 2\sqrt{53}$

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