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東京大学 1998年 文系 第1問 解説

数学2/微分法数学2/積分法テーマ/最大・最小テーマ/定積分計算
東京大学 1998年 文系 第1問 解説

方針・初手

与えられた3次関数を展開し、導関数 $f'(x) = 0$ の解を $\alpha, \beta$ とおいて極値を計算する。3次関数の極大値と極小値の差は、定積分 $\int_{\alpha}^{\beta} f'(x) dx$ を用いると計算量が少なくなるため、この性質を活用する。式を見やすくするため、$a - \frac{1}{a} = b$ とおいて議論を進める。

解法1

$b = a - \frac{1}{a}$ とおく。$a$ は $0$ でない実数であるから、$b$ も実数である。関数 $f(x)$ は以下のように展開できる。

$$ f(x) = 3x^3 - 3bx^2 - 4x + 4b $$

これを $x$ について微分すると、

$$ f'(x) = 9x^2 - 6bx - 4 $$

となる。$f'(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、

$$ \frac{D}{4} = (-3b)^2 - 9 \cdot (-4) = 9b^2 + 36 > 0 $$

となる。したがって、$f'(x) = 0$ は実数 $b$ の値によらず常に異なる2つの実数解を持つ。これを $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とおくと、$f(x)$ の増減表から、$f(x)$ は $x = \alpha$ で極大値、$x = \beta$ で極小値をとる。

極大値と極小値の差を $S$ とすると、

$$ S = f(\alpha) - f(\beta) = \int_{\beta}^{\alpha} f'(x) dx $$

と表せる。ここで、$f'(x) = 9(x - \alpha)(x - \beta)$ であるから、

$$ S = -\int_{\alpha}^{\beta} 9(x - \alpha)(x - \beta) dx = -9 \left\{ -\frac{1}{6} (\beta - \alpha)^3 \right\} = \frac{3}{2} (\beta - \alpha)^3 $$

となる。

次に、$\beta - \alpha$ の値を求める。$f'(x) = 0$ に対して解と係数の関係より、

$$ \alpha + \beta = \frac{2}{3}b $$

$$ \alpha\beta = -\frac{4}{9} $$

であるから、

$$ \begin{aligned} (\beta - \alpha)^2 &= (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta \\ &= \left(\frac{2}{3}b\right)^2 - 4\left(-\frac{4}{9}\right) \\ &= \frac{4}{9}b^2 + \frac{16}{9} \\ &= \frac{4}{9}(b^2 + 4) \end{aligned} $$

となる。$\alpha < \beta$ より $\beta - \alpha > 0$ であるため、

$$ \beta - \alpha = \frac{2}{3}\sqrt{b^2 + 4} $$

となる。これを $S$ の式に代入すると、

$$ \begin{aligned} S &= \frac{3}{2} \left( \frac{2}{3}\sqrt{b^2 + 4} \right)^3 \\ &= \frac{3}{2} \cdot \frac{8}{27} (b^2 + 4)^{\frac{3}{2}} \\ &= \frac{4}{9} (b^2 + 4)^{\frac{3}{2}} \end{aligned} $$

が得られる。$S$ が最小となるのは、$b^2 + 4$ が最小となるとき、すなわち $b = 0$ のときである。

$b = 0$ より、

$$ a - \frac{1}{a} = 0 $$

$$ a^2 - 1 = 0 $$

これを解くと $a = \pm 1$ となり、これは $a$ が $0$ でない実数であるという条件を満たす。

解説

3次関数の極値の差を求める典型的な問題である。直接 $f(\alpha)$ と $f(\beta)$ を計算して差をとることも可能であるが、計算が非常に煩雑になる。定積分を用いて $f(\alpha) - f(\beta) = \int_{\beta}^{\alpha} f'(x) dx$ と変形し、いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式を利用するのが最も手際がよく、計算ミスを防ぐことができる。また、式中に現れる $a - \frac{1}{a}$ を1つの文字に置き換えることで、見通しよく議論を進めることができる。

答え

$$ a = \pm 1 $$

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