九州大学 1997年 理系 第2問 解説

方針・初手
与えられた関数 $u(x)$, $v(x)$ は積分で定義された関数であり、微分することで被積分関数を取り出すことができます。また、$m$ が正の定数であり、$S(x)$ が常に正の値をとるという条件から、$u(x)$ などの関数の符号を判定することが重要になります。 (1) は定積分の性質と微分の計算から直接示します。 (2) は方程式 $f(x) = x$ を $g(x) = 0$ という形に帰着させ、(1) で得た $g(x)$ の単調性と端点での符号から中間値の定理を用います。 (3) は商の微分法を用いて $f'(x)$ を計算し、その符号が $g(x)$ の符号と連動していることを見抜いて増減表をかきます。
解法1
(1)
$g(x) = v(x) - x u(x)$ に $x = 0$ を代入すると、
$$g(0) = v(0) - 0 \cdot u(0) = v(0)$$
ここで、
$$v(0) = \int_{0}^{0} tS(t)dt + m = m$$
$m$ は正の定数であるから、$g(0) = m > 0$ となる。
次に、$x = 1$ を代入すると、
$$g(1) = v(1) - u(1) = \left( \int_{0}^{1} tS(t)dt + m \right) - \left( \int_{0}^{1} S(t)dt + m \right) = \int_{0}^{1} (t-1)S(t)dt$$
$0 \leqq t < 1$ において $t-1 < 0$ であり、条件より $S(t) > 0$ であるから、$(t-1)S(t) \leqq 0$ であり、かつ常に $0$ にはならない。
したがって、その定積分は負となるから、$g(1) < 0$ である。
さらに、$u(x)$, $v(x)$ を $x$ で微分すると、
$$u'(x) = S(x)$$
$$v'(x) = xS(x)$$
これらを用いて $g(x)$ を $x$ で微分すると、
$$g'(x) = v'(x) - \left\{ 1 \cdot u(x) + x u'(x) \right\} = xS(x) - u(x) - xS(x) = -u(x)$$
$x > 0$ において、$S(t) > 0$, $m > 0$ より、
$$u(x) = \int_{0}^{x} S(t)dt + m > 0$$
であるから、$g'(x) = -u(x) < 0$ が成り立つ。
(2)
$f(x) = x$ のとき、
$$\frac{v(x)}{u(x)} = x$$
(1) より $x \geqq 0$ において $u(x) > 0$ であるから、両辺に $u(x)$ を掛けても同値性は崩れず、
$$v(x) = x u(x)$$
$$v(x) - x u(x) = 0$$
すなわち、$g(x) = 0$ となる。 したがって、$f(x) = x$ を満たす $x$ の値の個数は、$x \geqq 0$ における方程式 $g(x) = 0$ の実数解の個数に等しい。
(1) より、$g(x)$ は $x \geqq 0$ において連続かつ単調減少($g'(x) < 0$)であり、$g(0) > 0$, $g(1) < 0$ である。 中間値の定理により、$0 < x < 1$ の範囲に $g(x) = 0$ となる $x$ が少なくとも1つ存在する。 さらに、$g(x)$ は単調減少であるため、そのような $x$ はただ1つである。
よって、$f(x) = x$ を満たす $x$ の値がただ1つ存在することが示された。
(3)
$f(x)$ を $x$ で微分すると、商の微分法より、
$$f'(x) = \frac{v'(x)u(x) - v(x)u'(x)}{\{u(x)\}^2}$$
(1) で求めた $u'(x) = S(x)$, $v'(x) = xS(x)$ を代入すると、
$$f'(x) = \frac{xS(x)u(x) - v(x)S(x)}{\{u(x)\}^2} = \frac{-S(x) \{v(x) - x u(x)\}}{\{u(x)\}^2} = \frac{-S(x)g(x)}{\{u(x)\}^2}$$
$x \geqq 0$ において、$S(x) > 0$, $\{u(x)\}^2 > 0$ であるから、$f'(x)$ の符号は $-g(x)$ の符号と一致する。
(2) より、$g(a) = 0$ であり、$g(x)$ は単調減少であるから、 $0 \leqq x < a$ のとき、$g(x) > 0$ より $f'(x) < 0$ $x = a$ のとき、$g(a) = 0$ より $f'(x) = 0$ $x > a$ のとき、$g(x) < 0$ より $f'(x) > 0$
したがって、$x \geqq 0$ における $f(x)$ の増減表は次のようになる。
| $x$ | $0$ | $\cdots$ | $a$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | |
| $f(x)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
増減表より、$f(x)$ は $x = a$ で最小値をとる。 また、$a$ は $f(x) = x$ を満たす値であるから、$f(a) = a$ である。 よって、求める最小値は $a$ である。
解説
微積分と関数の増減を絡めた典型的な総合問題です。 (1) では、定積分の値の符号を判定する際に「被積分関数が(常に $0$ ではなく) $0$ 以下であるから、積分値も負になる」という論理を丁寧に記述することが求められます。 (3) では、$f'(x)$ の分子にうまく $g(x)$ の形が現れるように計算を進めることが最大のポイントです。関数の形が複雑に見えても、前の設問で証明した結果が後の設問の誘導になっているという入試数学の鉄則を意識すると見通しが良くなります。また、最小値そのものを求める際も、定義から $f(a) = a$ となることに気づけば計算は不要です。
答え
(1) 略(解法参照) (2) 略(解法参照) (3) $a$
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