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東京大学 2021年 文系 第1問 解説

数学2/図形と式数学2/複素数と方程式テーマ/場合分け
東京大学 2021年 文系 第1問 解説

方針・初手

曲線と円の方程式を連立させ、交点の個数に関する条件を方程式の実数解の個数の条件に帰着させる。 単に $y$ を消去して $x$ についての6次方程式を導き、$x^2=X$ と置き換えて3次方程式として扱う方針(解法1)と、円上の点を媒介変数で表し $\tan\theta$ の方程式に帰着させる方針(解法2)が考えられる。どちらの方針でも、置き換えた変数と交点の個数の対応関係に注意して解を進める。

解法1

曲線 $C: y = ax^3 - 2x$ と円 $D: x^2 + y^2 = 1$ の交点の $x$ 座標は、方程式

$$ x^2 + (ax^3 - 2x)^2 = 1 $$

を満たす。これを展開して整理すると、

$$ a^2 x^6 - 4a x^4 + 5x^2 - 1 = 0 $$

となる。ここで $X = x^2$ とおくと $X \ge 0$ であり、方程式は $X$ についての3次方程式

$$ a^2 X^3 - 4a X^2 + 5X - 1 = 0 $$

となる。$X = 0$ のとき左辺は $-1$ となり等式を満たさないため、$X=0$ は解ではない。したがって、任意の解について $X > 0$ である。

$X > 0$ なる1つの解 $X$ に対して、$x = \pm \sqrt{X}$ と2つの異なる実数 $x$ が対応する。さらに各 $x$ に対して $C$ の方程式から $y$ は一意に定まる。 したがって、曲線 $C$ と円 $D$ の共有点が6個であるための条件は、上の $X$ の3次方程式が正の異なる3つの実数解を持つことである。

$f(X) = a^2 X^3 - 4a X^2 + 5X - 1$ とおき、$X > 0$ における関数 $y = f(X)$ のグラフについて考える。

$$ f'(X) = 3a^2 X^2 - 8a X + 5 = (3aX - 5)(aX - 1) $$

$f'(X) = 0$ を解くと、$X = \frac{1}{a}, \frac{5}{3a}$ である。$a > 0$ よりこれらはともに正であり、$0 < \frac{1}{a} < \frac{5}{3a}$ の大小関係が成り立つ。 したがって、$f(X)$ は $X = \frac{1}{a}$ で極大、$X = \frac{5}{3a}$ で極小となる。

$f(0) = -1 < 0$ であるため、方程式 $f(X) = 0$ が正の異なる3つの実数解を持つための必要十分条件は、極大値が正、かつ極小値が負となることである。すなわち、

$$ f\left(\frac{1}{a}\right) > 0 \quad \text{かつ} \quad f\left(\frac{5}{3a}\right) < 0 $$

それぞれ値を計算すると、極大値については、

$$ \begin{aligned} f\left(\frac{1}{a}\right) &= a^2\left(\frac{1}{a}\right)^3 - 4a\left(\frac{1}{a}\right)^2 + 5\left(\frac{1}{a}\right) - 1 \\ &= \frac{1}{a} - \frac{4}{a} + \frac{5}{a} - 1 \\ &= \frac{2}{a} - 1 \end{aligned} $$

これが正であるから、

$$ \frac{2}{a} - 1 > 0 \iff a < 2 \quad (\because a > 0) $$

極小値については、

$$ \begin{aligned} f\left(\frac{5}{3a}\right) &= a^2\left(\frac{5}{3a}\right)^3 - 4a\left(\frac{5}{3a}\right)^2 + 5\left(\frac{5}{3a}\right) - 1 \\ &= \frac{125}{27a} - \frac{100}{9a} + \frac{25}{3a} - 1 \\ &= \frac{125 - 300 + 225}{27a} - 1 \\ &= \frac{50}{27a} - 1 \end{aligned} $$

これが負であるから、

$$ \frac{50}{27a} - 1 < 0 \iff a > \frac{50}{27} \quad (\because a > 0) $$

以上より、求める $a$ の範囲はこれらを同時に満たす範囲であり、

$$ \frac{50}{27} < a < 2 $$

となる。

解法2

円 $x^2 + y^2 = 1$ 上の点を $(\cos \theta, \sin \theta) \quad (0 \le \theta < 2\pi)$ とおく。 この点が曲線 $C$ 上にあるとき、

$$ \sin \theta = a \cos^3 \theta - 2 \cos \theta $$

が成り立つ。もし $\cos \theta = 0$ ならば $\sin \theta = \pm 1$ となるが、上式に代入すると $\pm 1 = 0$ となり矛盾する。よって $\cos \theta \neq 0$ である。 上式の両辺を $\cos^3 \theta$ で割ると、

$$ \frac{\sin \theta}{\cos^3 \theta} = a - \frac{2}{\cos^2 \theta} $$

左辺は $\frac{\sin \theta}{\cos \theta} \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} = \tan \theta (1 + \tan^2 \theta)$ と変形でき、右辺も $a - 2(1 + \tan^2 \theta)$ となる。 したがって、

$$ \tan \theta (1 + \tan^2 \theta) = a - 2(1 + \tan^2 \theta) $$

ここで $t = \tan \theta$ とおくと、方程式は、

$$ t(1 + t^2) = a - 2(1 + t^2) $$

$$ t^3 + 2t^2 + t + 2 = a $$

となる。$0 \le \theta < 2\pi, \cos \theta \neq 0$ の範囲において、1つの実数 $t$ に対して $\theta$ はちょうど2つ存在する(これらは原点対称な2点に対応する)。 したがって、曲線 $C$ と円の共有点が6個であるための条件は、直線 $y = a$ と曲線 $y = t^3 + 2t^2 + t + 2$ が異なる3つの共有点を持つことである。

$g(t) = t^3 + 2t^2 + t + 2$ とおく。

$$ g'(t) = 3t^2 + 4t + 1 = (3t + 1)(t + 1) $$

$g'(t) = 0$ とすると、$t = -1, -\frac{1}{3}$ である。$g(t)$ は $t = -1$ で極大、$t = -\frac{1}{3}$ で極小となる。

極大値は、

$$ g(-1) = -1 + 2 - 1 + 2 = 2 $$

極小値は、

$$ \begin{aligned} g\left(-\frac{1}{3}\right) &= -\frac{1}{27} + 2\left(\frac{1}{9}\right) - \frac{1}{3} + 2 \\ &= \frac{-1 + 6 - 9 + 54}{27} \\ &= \frac{50}{27} \end{aligned} $$

方程式 $g(t) = a$ が異なる3つの実数解を持つための条件は、(極小値) $< a <$ (極大値)であるから、

$$ \frac{50}{27} < a < 2 $$

となる。

解説

図形同士の交点の個数を問う典型問題である。連立方程式を導いた後、変数を置き換えて「文字定数分離」を行い、グラフの交点問題として処理する流れが王道となる。 解法1のように $x^2 = X$ とおく方法は自然であり手堅い。このとき、$X>0$ の解 1 つに対して $x$ が 2 つ対応することを明記しておくと整理しやすい。 解法2は、円の媒介変数表示と $\frac{1}{\cos^2 \theta} = 1 + \tan^2 \theta$ の関係を用いた鮮やかな解法である。$\cos \theta = 0$ の除外を忘れないようにしたい。いずれの解法においても、微分を用いた3次関数のグラフの増減を利用することでスムーズに条件を導き出すことができる。

答え

$$ \frac{50}{27} < a < 2 $$

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