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東京大学 2003年 文系 第2問 解説

数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京大学 2003年 文系 第2問 解説

方針・初手

領域 $D$ における $x + y$ の最小値を求める問題である。 $x + y = k$ とおき、直線 $y = -x + k$ が領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の最小値を図形的に考える手法(線形計画法)が基本となる。 境界となる直線の傾き $-\frac{1}{3}$, $-3$ と、目的関数の直線の傾き $-1$ の大小関係に着目し、領域の「どの頂点」で最小値をとるかを $a, b$ の値によって場合分けして調べる。 また、与えられた不等式から代数的に $x + y$ の下限を評価する手法も有効である。

解法1

与えられた不等式は以下の4つである。

$$ x + 3y \geqq a \quad \cdots \text{①} $$

$$ 3x + y \geqq b \quad \cdots \text{②} $$

$$ x \geqq 0 \quad \cdots \text{③} $$

$$ y \geqq 0 \quad \cdots \text{④} $$

領域 $D$ は、これらの不等式をすべて満たす点 $(x, y)$ の集合である。 $x + y = k$ とおくと、$y = -x + k$ であり、これは傾き $-1$、 $y$ 切片 $k$ の直線を表す。$k$ が最小となるのは、この直線が領域 $D$ と共有点をもつ範囲で $y$ 切片が最小となるときである。

直線① $x + 3y = a$ の傾きは $-\frac{1}{3}$、直線② $3x + y = b$ の傾きは $-3$ である。 目的関数の直線の傾き $-1$ と比較すると、次のような大小関係がある。

$$ -3 < -1 < -\frac{1}{3} $$

したがって、$k$ を小さくしていったとき、直線 $y = -x + k$ が領域 $D$ から離れる瞬間の点は、領域 $D$ の境界をなす折れ線の頂点となる。

直線①と直線②の交点を $P$ とすると、連立方程式を解いて以下のようになる。

$$ x = \frac{3b - a}{8}, \quad y = \frac{3a - b}{8} $$

すなわち、$P \left( \frac{3b - a}{8}, \frac{3a - b}{8} \right)$ である。 領域 $D$ の形状は $a, b$ の値によって変わるため、頂点の位置で場合分けを行う。

(i) 交点 $P$ が第1象限(軸上含む)にある場合

すなわち、$x \geqq 0$ かつ $y \geqq 0$ より次が成り立つときである。

$$ \frac{3b - a}{8} \geqq 0 \text{ かつ } \frac{3a - b}{8} \geqq 0 \iff a \leqq 3b \text{ かつ } b \leqq 3a $$

(このとき $8a \geqq a + b \geqq \frac{4}{3}a$ などの関係から、自動的に $a \geqq 0, b \geqq 0$ となる) このとき、点 $P$ は領域 $D$ の境界上の点であり、傾きの関係から点 $P$ で $x + y$ は最小となる。 最小値は以下のようになる。

$$ \frac{3b - a}{8} + \frac{3a - b}{8} = \frac{2a + 2b}{8} = \frac{a + b}{4} $$

(ii) 交点 $P$ の $x$ 座標が負、かつ $a \geqq 0$ の場合

すなわち、$a > 3b$ かつ $a \geqq 0$ のときである。 このとき、直線①の $y$ 切片 $\frac{a}{3}$ について、$\frac{a}{3} > b$ であり $\frac{a}{3} \geqq 0$ であるため、点 $\left( 0, \frac{a}{3} \right)$ は不等式①〜④をすべて満たし、領域 $D$ に含まれる。 傾きの関係から、$y$ 軸上の点 $\left( 0, \frac{a}{3} \right)$ で $x + y$ は最小となる。 最小値は以下のようになる。

$$ 0 + \frac{a}{3} = \frac{a}{3} $$

(iii) 交点 $P$ の $y$ 座標が負、かつ $b \geqq 0$ の場合

すなわち、$b > 3a$ かつ $b \geqq 0$ のときである。 (ii) と同様に考えると、直線②の $x$ 切片 $\frac{b}{3}$ について、点 $\left( \frac{b}{3}, 0 \right)$ が領域 $D$ に含まれ、ここで $x + y$ は最小となる。 最小値は以下のようになる。

$$ \frac{b}{3} + 0 = \frac{b}{3} $$

(iv) 原点が領域 $D$ に含まれる場合

すなわち、$(0, 0)$ が①と②を満たすときであり、$0 \geqq a$ かつ $0 \geqq b$ のときである。 このとき、$x \geqq 0, y \geqq 0$ の範囲で $x + y \geqq 0$ であり、原点で最小となる。 最小値は $0$ である。

以上から、すべての実数 $(a, b)$ 平面は網羅されており、それぞれの条件における最小値が求まる。

解法2

代数的な評価によって最小値を求める。 条件の不等式は以下の通りである。

$$ x + 3y \geqq a \quad \cdots \text{①} $$

$$ 3x + y \geqq b \quad \cdots \text{②} $$

$$ x \geqq 0 \quad \cdots \text{③} $$

$$ y \geqq 0 \quad \cdots \text{④} $$

これらを組み合わせて $x + y$ の下限を評価する。 ①+②より

$$ 4x + 4y \geqq a + b \iff x + y \geqq \frac{a + b}{4} $$

①+③ $\times 2$ より

$$ 3x + 3y \geqq a \iff x + y \geqq \frac{a}{3} $$

②+④ $\times 2$ より

$$ 3x + 3y \geqq b \iff x + y \geqq \frac{b}{3} $$

③+④より

$$ x + y \geqq 0 $$

したがって、領域 $D$ において常に次が成り立つ。

$$ x + y \geqq \max\left( 0, \frac{a}{3}, \frac{b}{3}, \frac{a + b}{4} \right) $$

この右辺の値が最小値となることを、それぞれの場合について等号成立条件(すなわち、その値をとるような $(x, y) \in D$ の存在)を示すことで確認する。

(i) $\frac{a + b}{4}$ が最大のとき

$\frac{a + b}{4} \geqq \frac{a}{3}$ より $a \leqq 3b$ である。 $\frac{a + b}{4} \geqq \frac{b}{3}$ より $b \leqq 3a$ である。 このとき、等号を成り立たせる点は①と②の交点 $P \left( \frac{3b - a}{8}, \frac{3a - b}{8} \right)$ であり、$a \leqq 3b$ かつ $b \leqq 3a$ より③と④も満たすため $D$ に含まれる。 よって、最小値は $\frac{a + b}{4}$ である。

(ii) $\frac{a}{3}$ が最大のとき

$\frac{a}{3} \geqq \frac{a + b}{4}$ より $a \geqq 3b$ である。 $\frac{a}{3} \geqq 0$ より $a \geqq 0$ である。 このとき、等号を成り立たせる点は $\left( 0, \frac{a}{3} \right)$ であり、①(等号)、③(等号)、④を満たし、$a \geqq 3b \iff \frac{a}{3} \geqq b$ より②も満たすため $D$ に含まれる。 よって、最小値は $\frac{a}{3}$ である。

(iii) $\frac{b}{3}$ が最大のとき

$\frac{b}{3} \geqq \frac{a + b}{4}$ より $b \geqq 3a$ である。 $\frac{b}{3} \geqq 0$ より $b \geqq 0$ である。 このとき、等号を成り立たせる点は $\left( \frac{b}{3}, 0 \right)$ であり、同様に①〜④をすべて満たすため $D$ に含まれる。 よって、最小値は $\frac{b}{3}$ である。

(iv) $0$ が最大のとき

$0 \geqq \frac{a}{3}$ より $a \leqq 0$ である。 $0 \geqq \frac{b}{3}$ より $b \leqq 0$ である。 このとき、等号を成り立たせる点は原点 $(0, 0)$ であり、①〜④をすべて満たすため $D$ に含まれる。 よって、最小値は $0$ である。

解説

本問は線形計画法の典型問題であるが、$a, b$ が定数ではなくパラメータであるため、領域の形状が変化することに注意が必要である。 解法1のように図形的に処理する場合は、境界線の傾きの大小関係 $-3 < -1 < -\frac{1}{3}$ を明記することが論理の飛躍を防ぐポイントである。 解法2のような代数的評価は、不等式の線形結合から $x + y$ の下限を直接作り出す手法であり、場合分けの基準が自然に現れるため、見通しよく解答を構成できる強力な解法である。

答え

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