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東京大学 1965年 理系 第6問 解説

数学3/積分法数学1/図形計量テーマ/面積・体積
東京大学 1965年 理系 第6問 解説

方針・初手

円の中心を原点とする座標系を設定し、点A、P、Qの座標を求める。 求める体積は、直線AP、直線AQ、円弧PQをそれぞれ $x$ 軸のまわりに回転させてできる立体の体積の差として計算できる。 図形の上端と下端の関数を明らかにし、回転体の体積公式 $V = \pi \int y^2 dx$ に当てはめて定積分を行う。

解法1

半円の中心を原点 $O(0, 0)$ にとり、直径ABを $x$ 軸上にとる。 半円の半径は $1$ なので、円の方程式は $x^2 + y^2 = 1 \ (y \ge 0)$ であり、点Aの座標は $(-1, 0)$ となる。

円周角の定理より、中心角は円周角の2倍であるから、以下のようになる。

$$ \angle POB = 2 \angle PAB = 2 \times 30^\circ = 60^\circ $$

$$ \angle QOB = 2 \angle QAB = 2 \times 60^\circ = 120^\circ $$

これより、点P、Qの座標はそれぞれ次のように求められる。

$$ P(\cos 60^\circ, \sin 60^\circ) = \left( \frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right) $$

$$ Q(\cos 120^\circ, \sin 120^\circ) = \left( -\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right) $$

直線AP、AQの方程式を求める。 直線APは、点 $A(-1,0)$ を通り、傾きが $\tan 30^\circ = \frac{1}{\sqrt{3}}$ の直線である。

$$ y = \frac{1}{\sqrt{3}}(x + 1) $$

直線AQは、点 $A(-1,0)$ を通り、傾きが $\tan 60^\circ = \sqrt{3}$ の直線である。

$$ y = \sqrt{3}(x + 1) $$

求める体積 $V$ は、囲まれた図形を $x$ 軸周りに回転させたものである。 積分区間を $x$ 座標で分けると、 $-1 \le x \le -\frac{1}{2}$ の区間では、上側の境界が直線AQ、下側の境界が直線APである。 $-\frac{1}{2} \le x \le \frac{1}{2}$ の区間では、上側の境界が円弧PQ($y = \sqrt{1-x^2}$)、下側の境界が直線APである。

よって、体積 $V$ は次のように2つの区間に分けて表される。

$$ V = \pi \int_{-1}^{-\frac{1}{2}} \left\{ (\sqrt{3}(x+1))^2 - \left( \frac{1}{\sqrt{3}}(x+1) \right)^2 \right\} dx + \pi \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left\{ (\sqrt{1-x^2})^2 - \left( \frac{1}{\sqrt{3}}(x+1) \right)^2 \right\} dx $$

第1項を $V_1$、第2項を $V_2$ としてそれぞれ計算する。

$$ V_1 = \pi \int_{-1}^{-\frac{1}{2}} \left\{ 3(x+1)^2 - \frac{1}{3}(x+1)^2 \right\} dx $$

$$ V_1 = \pi \int_{-1}^{-\frac{1}{2}} \frac{8}{3}(x+1)^2 dx = \frac{8\pi}{3} \left[ \frac{1}{3}(x+1)^3 \right]_{-1}^{-\frac{1}{2}} = \frac{8\pi}{9} \left\{ \left(\frac{1}{2}\right)^3 - 0 \right\} = \frac{\pi}{9} $$

$$ V_2 = \pi \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left\{ 1 - x^2 - \frac{1}{3}(x^2 + 2x + 1) \right\} dx $$

$$ V_2 = \pi \int_{-\frac{1}{2}}^{\frac{1}{2}} \left( -\frac{4}{3}x^2 - \frac{2}{3}x + \frac{2}{3} \right) dx $$

ここで、$-\frac{2}{3}x$ は奇関数であり積分区間が原点について対称なので、定積分は $0$ になる。$-\frac{4}{3}x^2$ と $\frac{2}{3}$ は偶関数であるから、

$$ V_2 = 2\pi \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( -\frac{4}{3}x^2 + \frac{2}{3} \right) dx = 2\pi \left[ -\frac{4}{9}x^3 + \frac{2}{3}x \right]_{0}^{\frac{1}{2}} $$

$$ V_2 = 2\pi \left( -\frac{4}{9} \cdot \frac{1}{8} + \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{2} \right) = 2\pi \left( -\frac{1}{18} + \frac{1}{3} \right) = 2\pi \cdot \frac{5}{18} = \frac{5\pi}{9} $$

したがって、求める体積 $V$ は以下の通りとなる。

$$ V = V_1 + V_2 = \frac{\pi}{9} + \frac{5\pi}{9} = \frac{2\pi}{3} $$

解法2

立体の体積を、基本図形の回転体の足し引きで求めることもできる。 解法1と同様に、半円の中心を原点 $O(0, 0)$ とし、点 $A(-1,0)$、$P\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$、$Q\left(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ を設定する。 図の幾何的な関係から、求める立体の体積 $V$ は、「$\triangle OAQ$の回転体」と「扇形OPQの回転体」の体積の和から、「$\triangle OAP$の回転体」の体積を引いたものに等しい。

(i) $\triangle OAQ$ の回転体の体積 $V_A$

$\triangle OAQ$ を $x$ 軸まわりに回転させた立体は、底面の半径が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ で、高さの合計が $OA = 1$ となる2つの円錐を底面で合わせた図形である。

$$ V_A = \frac{1}{3} \pi \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 \times 1 = \frac{\pi}{4} $$

(ii) 扇形OPQ の回転体の体積 $V_B$

半径 $r$ の球からなる扇形(中心を頂点とする円錐状の立体と球冠を合わせたもの、または球の帯状部分)を回転させた体積は、回転軸上の幅を $h$ とすると $V = \frac{2}{3}\pi r^2 h$ となることが知られている(球分体の体積)。 扇形OPQの $x$ 軸上の幅は $\frac{1}{2} - \left(-\frac{1}{2}\right) = 1$ であり、$r=1$ であるから、次のように求まる。

$$ V_B = \frac{2}{3} \pi \cdot 1^2 \cdot 1 = \frac{2\pi}{3} $$

(iii) $\triangle OAP$ の回転体の体積 $V_C$

$\triangle OAP$ を $x$ 軸まわりに回転させた立体は、底面の半径が $\frac{\sqrt{3}}{2}$、高さが $1 + \frac{1}{2} = \frac{3}{2}$ の円錐から、同じ底面で高さが $\frac{1}{2}$ の円錐をくり抜いた図形である。

$$ V_C = \frac{1}{3} \pi \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 \times \frac{3}{2} - \frac{1}{3} \pi \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 \times \frac{1}{2} = \frac{\pi}{4} $$

以上より、求める体積 $V$ は以下のようになる。

$$ V = V_A + V_B - V_C = \frac{\pi}{4} + \frac{2\pi}{3} - \frac{\pi}{4} = \frac{2\pi}{3} $$

解説

図形を回転させる際、回転軸に対してどのように配置されているかを正確に図示し、積分区間を適切に分割することが鍵となる。 解法1では、関数の上下関係を立式して積分を計算するオーソドックスな手法をとった。計算量はやや多いが、確実に正答へ辿り着ける。偶関数・奇関数の性質を利用すると計算ミスを減らすことができる。 解法2では、複雑な領域を「原点と結んだ三角形および扇形」の和と差に分解し、それぞれの回転体の体積を幾何的に求めた。図形の足し合わせによって体積を求めるアプローチは、積分計算を大幅に省略できるため見通しが良い。

答え

$$ \frac{2\pi}{3} $$

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