東京大学 1970年 理系 第4問 解説

方針・初手
穴の真下の床上の点を原点とし、水平方向を $x$ 軸、鉛直上向きを $y$ 軸として座標系を設定する。 水は水平方向に等速直線運動、鉛直方向に等加速度運動(自由落下と同じ)をするため、時間 $t$ を媒介変数として水滴の軌跡 $(x, y)$ を立式する。 (3) は、軌跡の式をパラメータ $h$ についての方程式とみなし、$0 < h < a$ の範囲に実数解をもつような $(x, y)$ の条件(包絡線)を求める問題に帰着させる。
解法1
穴の真下の床上の点を原点 $O(0, 0)$ とし、水平方向(水が噴き出す方向)に $x$ 軸、鉛直上向きに $y$ 軸をとる。 穴の位置は $(0, a-h)$ であり、噴出する水の初速度は $x$ 軸の正の向きに $\sqrt{2gh}$ である。
時刻 $t$ における水の座標 $(x, y)$ は、水平方向が等速運動、鉛直方向が加速度 $-g$ の等加速度運動であるから、以下のように表される。
$$ \begin{cases} x = \sqrt{2gh} t \\ y = (a-h) - \frac{1}{2}gt^2 \end{cases} $$
(1) 噴流が床に落ちるとき、$y = 0$ である。
$$ (a-h) - \frac{1}{2}gt^2 = 0 $$
$t > 0$ より、床に達するまでの時間 $t$ は、
$$ t = \sqrt{\frac{2(a-h)}{g}} $$
これを $x$ の式に代入して、
$$ x = \sqrt{2gh} \cdot \sqrt{\frac{2(a-h)}{g}} = \sqrt{4h(a-h)} = 2\sqrt{h(a-h)} $$
したがって、穴の真下の点から水平方向に $2\sqrt{h(a-h)} \text{ cm}$ の点に落ちる。
(2) 噴流が最も遠くに落ちるとき、(1) で求めた $x = 2\sqrt{h(a-h)}$ が最大になればよい。 根号の中身について平方完成を行うと、
$$ h(a-h) = -h^2 + ah = -\left(h - \frac{a}{2}\right)^2 + \frac{a^2}{4} $$
穴の位置の条件から $0 < h < a$ であり、この範囲において $h = \frac{a}{2}$ のとき最大値 $\frac{a^2}{4}$ をとる。 したがって、穴の位置は水面から $\frac{a}{2} \text{ cm}$ の深さにすればよい。
(3) 軌跡の式から $t$ を消去して、$x, y$ の関係式(軌跡の方程式)を求める。 $x = \sqrt{2gh} t$ より、
$$ t = \frac{x}{\sqrt{2gh}} $$
これを $y$ の式に代入する。
$$ y = (a-h) - \frac{1}{2}g \left(\frac{x}{\sqrt{2gh}}\right)^2 $$
$$ y = a - h - \frac{x^2}{4h} $$
分母を払い、$h$ について整理すると、以下の $h$ の2次方程式が得られる。
$$ 4h^2 - 4(a-y)h + x^2 = 0 $$
ある点 $(x, y)$ を噴流が通過するためには、この $h$ の方程式が $0 < h < a$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもてばよい。 $f(h) = 4h^2 - 4(a-y)h + x^2$ とおく。 放物線 $z = f(h)$ の軸は $h = \frac{a-y}{2}$ である。 物理的な条件から $x \ge 0, 0 \le y \le a$ を考えるため、軸は $0 \le \frac{a-y}{2} \le \frac{a}{2}$ となり、常に区間 $(0, a)$ 内に存在する。
したがって、$f(h) = 0$ が区間 $(0, a)$ 内に実数解をもつ条件は、判別式を $D$ とすると $D \ge 0$ であれば十分である。
$$ \frac{D}{4} = 4(a-y)^2 - 4x^2 \ge 0 $$
$$ (a-y)^2 - x^2 \ge 0 $$
$a-y \ge 0, x \ge 0$ であるから、両辺の平方根をとって、
$$ a-y \ge x $$
$$ y \le -x + a $$
これを満たすとき、$f(0) = x^2 \ge 0$ であり、解は $0 \le h \le a$ の範囲に収まる($x=0$ または $y=a$ の境界をのぞき $0 < h < a$ を満たす)。 以上より、噴流の通過する範囲は $x \ge 0, y \ge 0$ とあわせて、
$$ x \ge 0, \quad y \ge 0, \quad x+y \le a $$
を満たす領域となる。
解説
物理における「放物運動」と、数学における「図形と方程式(包絡線・解の配置)」を融合した典型的な有名問題である。 (3) は、軌跡の方程式を「動かすパラメータ $h$ についての方程式」とみなし、その方程式が取り得る $h$ の範囲に実数解を持つような $(x, y)$ の条件を求める、という数学の定石(逆手流)を用いることでスムーズに処理できる。
答え
(1)
穴の真下の床上の点から、水平方向に $2\sqrt{h(a-h)} \text{ cm}$ の点
(2)
水面から $\frac{a}{2} \text{ cm}$ の深さ
(3)
穴の真下の床上の点を原点とし、水平方向(噴出方向)を $x$ 軸、鉛直上向きを $y$ 軸とするとき、不等式 $x \ge 0, y \ge 0, x+y \le a$ で表される領域
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