北海道大学 1993年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) 動点 $P$ の軌跡が $x$ 軸と交わる条件である $y=0$ から $t$ の方程式を立て、それを解いて $t>0$ の解を求める。求まった $t$ を $x$ の式に代入して $u$ を $a$ で表す。
(2) (1)で求めた $u$ を $a$ の関数とみなし、微分法を用いて増減を調べる。平方根を含む関数の微分になるため、導関数の符号変化を調べる際には注意深く計算する。
(3) $x, y$ をそれぞれ $t$ で微分して速度ベクトルを求め、$t=0$ かつ (2)で求めた $a$ の値を代入して成分を具体的に求める。そこから $x$ 軸の正の向きとなす角を求める。
解法1
(1)
動点 $P$ が $x$ 軸と交わるとき、$y=0$ であるから
$$1 + \sqrt{1-a}t - \frac{t^2}{2} = 0$$
両辺に $-2$ を掛けて整理すると
$$t^2 - 2\sqrt{1-a}t - 2 = 0$$
この $t$ についての2次方程式を解くと、解の公式より
$$t = \sqrt{1-a} \pm \sqrt{(\sqrt{1-a})^2 - (-2)} = \sqrt{1-a} \pm \sqrt{3-a}$$
ここで、$0 < a < 1$ より $1-a > 0$ であるため、$\sqrt{1-a} < \sqrt{3-a}$ が成り立つ。 $t > 0$ より、負の解は不適であり、
$$t = \sqrt{1-a} + \sqrt{3-a}$$
となる。このときの $x$ 座標 $u$ は $x = \sqrt{a}t$ に代入して
$$u = \sqrt{a}(\sqrt{1-a} + \sqrt{3-a}) = \sqrt{a(1-a)} + \sqrt{a(3-a)}$$
(2)
(1) の結果より、$u(a) = \sqrt{-a^2+a} + \sqrt{-a^2+3a}$ とおく。 $a$ で微分すると
$$u'(a) = \frac{-2a+1}{2\sqrt{-a^2+a}} + \frac{-2a+3}{2\sqrt{-a^2+3a}}$$
$u'(a) = 0$ となる条件を考える。 $0 < a \le \frac{1}{2}$ のとき、$-2a+1 \ge 0$ かつ $-2a+3 > 0$ であるから、$u'(a) > 0$ となり $u'(a) = 0$ を満たさない。 したがって $u'(a) = 0$ となるには $\frac{1}{2} < a < 1$ であることが必要である。このとき
$$\frac{2a-1}{2\sqrt{a(1-a)}} = \frac{3-2a}{2\sqrt{a(3-a)}}$$
両辺はともに正であるから、2乗して整理する。
$$\frac{(2a-1)^2}{a(1-a)} = \frac{(3-2a)^2}{a(3-a)}$$
$a > 0$ より分母の $a$ を払い、展開すると
$$\frac{4a^2-4a+1}{1-a} = \frac{4a^2-12a+9}{3-a}$$
$$(4a^2-4a+1)(3-a) = (4a^2-12a+9)(1-a)$$
左辺を展開すると
$$-4a^3 + 16a^2 - 13a + 3$$
右辺を展開すると
$$-4a^3 + 16a^2 - 21a + 9$$
これらが等しいので
$$-13a + 3 = -21a + 9$$
$$8a = 6$$
$$a = \frac{3}{4}$$
これは $\frac{1}{2} < a < 1$ を満たす。 次に、$u'(a)$ の符号変化を調べる。
$$u'(a) = \frac{(3-2a)\sqrt{a(1-a)} - (2a-1)\sqrt{a(3-a)}}{2\sqrt{a(1-a)}\sqrt{a(3-a)}}$$
分子の符号を決定する部分を $g(a) = (3-2a)\sqrt{a(1-a)} - (2a-1)\sqrt{a(3-a)}$ とする。 $\frac{1}{2} < a < 1$ のとき、$(3-2a)\sqrt{a(1-a)} > 0$ および $(2a-1)\sqrt{a(3-a)} > 0$ である。 これらの大小関係は、それぞれの2乗の差を調べればよい。
$$\{(3-2a)\sqrt{a(1-a)}\}^2 - \{(2a-1)\sqrt{a(3-a)}\}^2$$
$$= a \{ (4a^2-12a+9)(1-a) - (4a^2-4a+1)(3-a) \}$$
$$= a \{ (-4a^3+16a^2-21a+9) - (-4a^3+16a^2-13a+3) \}$$
$$= a(-8a+6) = -2a(4a-3)$$
$a > 0$ であるから、この式の符号は $-(4a-3)$ の符号と一致する。 ゆえに、$a < \frac{3}{4}$ のとき正、$a > \frac{3}{4}$ のとき負となる。 以上から、$u(a)$ の増減表は次のようになる。
| $a$ | $(0)$ | $\cdots$ | $\frac{3}{4}$ | $\cdots$ | $(1)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $u'(a)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $u(a)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
よって、$a = \frac{3}{4}$ のとき $u$ は最大値をとる。その値は
$$u\left(\frac{3}{4}\right) = \sqrt{\frac{3}{4} \cdot \frac{1}{4}} + \sqrt{\frac{3}{4} \cdot \frac{9}{4}} = \frac{\sqrt{3}}{4} + \frac{3\sqrt{3}}{4} = \sqrt{3}$$
(3)
速度ベクトル $\vec{v}$ は $\left(\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}\right)$ である。
$$\frac{dx}{dt} = \sqrt{a}$$
$$\frac{dy}{dt} = \sqrt{1-a} - t$$
$t=0$ における速度ベクトル $\vec{v}_0$ は
$$\vec{v}_0 = (\sqrt{a}, \sqrt{1-a})$$
(2) より、$u$ が最大となるのは $a = \frac{3}{4}$ のときであるから、これを代入すると
$$\vec{v}_0 = \left(\sqrt{\frac{3}{4}}, \sqrt{\frac{1}{4}}\right) = \left(\frac{\sqrt{3}}{2}, \frac{1}{2}\right)$$
このベクトルが $x$ 軸の正の向きの単位ベクトル $\vec{e} = (1, 0)$ となす角を $\theta$ ($0 \le \theta \le \pi$) とすると、
$$\cos\theta = \frac{\vec{v}_0 \cdot \vec{e}}{|\vec{v}_0||\vec{e}|} = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2} \cdot 1 + \frac{1}{2} \cdot 0}{\sqrt{\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 + \left(\frac{1}{2}\right)^2} \cdot 1} = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{1} = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
$\vec{v}_0$ の $y$ 成分は正であるから、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ であり
$$\theta = \frac{\pi}{6}$$
解説
媒介変数表示された曲線の交点と、微分法を用いた最大値問題、および速度ベクトルに関する総合問題である。
(1) では $t>0$ の条件を見落とさないようにし、解の公式から得られた2つの解のうち適切なものを選択する。
(2) の微分では、平方根を含む微分の計算量がやや多くなるため、慎重な式変形が求められる。特に、導関数 $u'(a)=0$ を解く際に無縁根を混入させないよう、等式の両辺の符号を確認して同値変形を行うプロセスが重要である。
(3) の速度ベクトルの定義 $\vec{v} = \left(\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}\right)$ は物理だけでなく数学でも頻出であり、正確に公式を適用できれば容易に解くことができる。
答え
(1) $u = \sqrt{a(1-a)} + \sqrt{a(3-a)}$
(2) 最大値 $\sqrt{3}$
(3) $\frac{\pi}{6}$
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