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東京大学 1977年 理系 第2問 解説

数学C/平面ベクトル数学1/数と式数学1/命題と集合テーマ/場合分け
東京大学 1977年 理系 第2問 解説

方針・初手

ベクトルの内積および成分計算を用いて、$ab\cos\theta$ と $ab\sin\theta$ がそれぞれ $a_1, a_2, b_1, b_2$ の有理式で表されることを導く。これらの値が有理数になることを基本式として、各条件を仮定したときの他の条件の成立を示す。その際、式を変形して割り算を行う箇所では、分母が $0$ になる場合とならない場合で丁寧に場合分けを行う。

解法1

$O$ とは異なる2点 $A, B$ であるから、$a = OA > 0, b = OB > 0$ であり、$ab > 0$ である。

また、$P = a_1 b_1 + a_2 b_2$、$Q = |a_1 b_2 - a_2 b_1|$ とおく。 仮定より $a_1, a_2, b_1, b_2$ は有理数であるから、$P, Q$ も有理数である。

内積 $\vec{OA} \cdot \vec{OB}$ の成分表示と定義より、

$$ \vec{OA} \cdot \vec{OB} = a_1 b_1 + a_2 b_2 = P $$

$$ \vec{OA} \cdot \vec{OB} = ab \cos\theta $$

これらより、次の等式が成り立つ。

$$ ab \cos\theta = P \quad \cdots (1) $$

次に、$a^2 b^2$ を成分で計算すると、

$$ \begin{aligned} a^2 b^2 &= (a_1^2 + a_2^2)(b_1^2 + b_2^2) \\ &= (a_1 b_1 + a_2 b_2)^2 + (a_1 b_2 - a_2 b_1)^2 \\ &= P^2 + Q^2 \end{aligned} $$

となる。一方、(1) より $P^2 = a^2 b^2 \cos^2\theta$ であるから、これを代入して

$$ a^2 b^2 = a^2 b^2 \cos^2\theta + Q^2 $$

$$ a^2 b^2 (1 - \cos^2\theta) = Q^2 $$

$$ a^2 b^2 \sin^2\theta = Q^2 $$

ここで、$ab > 0$ であり、$0 \le \theta \le \pi$ より $\sin\theta \ge 0$ であるから、両辺の正の平方根をとると、次の等式が得られる。

$$ ab \sin\theta = Q \quad \cdots (2) $$

式 (1), (2) を用いて、各条件の同値性を示す。

(i) $\Rightarrow$ (ii), (iii) の証明

条件 (i) より、$ab$ は有理数である。 $ab > 0$ より $ab \neq 0$ であるから、(1), (2) より

$$ \cos\theta = \frac{P}{ab}, \quad \sin\theta = \frac{Q}{ab} $$

$P, Q$ および $ab$ は有理数であり、$ab \neq 0$ であるから、$\cos\theta$ および $\sin\theta$ はともに有理数である。 よって、(i) $\Rightarrow$ (ii) および (i) $\Rightarrow$ (iii) が成り立つ。

(ii) $\Rightarrow$ (i) の証明

条件 (ii) より、$\cos\theta$ は有理数である。

(ア)

$\cos\theta \neq 0$ のとき

(1) より

$$ ab = \frac{P}{\cos\theta} $$

$P$ および $\cos\theta$ は有理数であり、$\cos\theta \neq 0$ であるから、$ab$ は有理数である。

(イ)

$\cos\theta = 0$ のとき

$\theta = \frac{\pi}{2}$ であり、$\sin\theta = 1$ である。 このとき (2) より $ab \cdot 1 = Q$ すなわち $ab = Q$ となる。 $Q$ は有理数であるから、$ab$ は有理数である。

(ア), (イ) より、いずれの場合も $ab$ は有理数となり、(ii) $\Rightarrow$ (i) が成り立つ。

(iii) $\Rightarrow$ (i) の証明

条件 (iii) より、$\sin\theta$ は有理数である。

(ウ)

$\sin\theta \neq 0$ のとき

(2) より

$$ ab = \frac{Q}{\sin\theta} $$

$Q$ および $\sin\theta$ は有理数であり、$\sin\theta \neq 0$ であるから、$ab$ は有理数である。

(エ)

$\sin\theta = 0$ のとき

$\theta = 0$ または $\theta = \pi$ であり、$\cos\theta = 1$ または $\cos\theta = -1$ である。 このとき (1) より $ab \cdot (\pm 1) = P$ すなわち $ab = \pm P$ となる。 $P$ は有理数であるから、$ab$ は有理数である。

(ウ), (エ) より、いずれの場合も $ab$ は有理数となり、(iii) $\Rightarrow$ (i) が成り立つ。

以上より、(i) $\Leftrightarrow$ (ii) かつ (i) $\Leftrightarrow$ (iii) が示されたため、3条件はたがいに同値である。

解説

ベクトルの内積とラグランジュの恒等式(または三角形の面積公式)を利用して、$ab\cos\theta$ と $ab\sin\theta$ がそれぞれ有理数になることを示すのが最大のポイントである。

同値性の証明においては、例えば (ii) $\Rightarrow$ (i) を示す際に $ab = \frac{P}{\cos\theta}$ と変形することになるが、ここで「$\cos\theta = 0$ の場合」を見落とさないことが非常に重要である。分母が $0$ になる例外的なケースを拾い上げ、もう一方の基本式を用いて証明を補完する論理構成が求められる。

答え

略(解法1の証明を参照)

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