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東京大学 1993年 理系 第4問 解説

数学2/積分法テーマ/定積分計算テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京大学 1993年 理系 第4問 解説

方針・初手

被積分関数 $f(x)^2$ を展開し、積分区間が $[-1, 1]$ であることに着目する。偶関数と奇関数の積分の性質(奇関数の定積分は $0$、偶関数の定積分は区間 $[0, 1]$ の定積分の $2$ 倍になること)を利用して定積分を計算する。その際、被積分関数に含まれる $x^n$ や $x^{n+1}$ の偶奇性が $n$ の偶奇によって変わるため、$n$ が偶数の場合と奇数の場合に分けて考える。積分結果を $p$ と $q$ についての 2次関数とみなし、それぞれについて平方完成を行うことで最小値を求める。

解法1

$I$ の被積分関数 $f(x)^2$ を展開すると、

$$ f(x)^2 = (x^n + px + q)^2 = x^{2n} + p^2 x^2 + q^2 + 2px^{n+1} + 2qx^n + 2pqx $$

となる。積分区間が $[-1, 1]$ であるため、奇数次の項の積分は $0$ になる。 ここで、$2pqx$ は常に奇関数であるから、その積分は $0$ である。 残りの項の偶奇性は $n$ が偶数か奇数かによって変化するため、場合分けを行う。

(i) $n$ が偶数のとき

$n$ が偶数のとき、$x^{2n}, x^2, x^n$ は偶関数であり、$x^{n+1}$ は奇関数である。 したがって、奇関数の項の積分が $0$ になることを考慮すると、$I$ は次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} I &= \frac{1}{2} \int_{-1}^1 (x^{2n} + p^2 x^2 + q^2 + 2qx^n) dx \\ &= \int_0^1 (x^{2n} + p^2 x^2 + q^2 + 2qx^n) dx \\ &= \left[ \frac{1}{2n+1}x^{2n+1} + \frac{p^2}{3}x^3 + q^2x + \frac{2q}{n+1}x^{n+1} \right]_0^1 \\ &= \frac{1}{2n+1} + \frac{1}{3}p^2 + q^2 + \frac{2}{n+1}q \end{aligned} $$

これを $p, q$ についての 2次式とみて、平方完成を行う。

$$ \begin{aligned} I &= \frac{1}{3}p^2 + \left( q + \frac{1}{n+1} \right)^2 - \frac{1}{(n+1)^2} + \frac{1}{2n+1} \\ &= \frac{1}{3}p^2 + \left( q + \frac{1}{n+1} \right)^2 + \frac{(n+1)^2 - (2n+1)}{(n+1)^2(2n+1)} \\ &= \frac{1}{3}p^2 + \left( q + \frac{1}{n+1} \right)^2 + \frac{n^2}{(n+1)^2(2n+1)} \end{aligned} $$

$p, q$ は実数であるから、$p^2 \ge 0$ かつ $\left( q + \frac{1}{n+1} \right)^2 \ge 0$ が成り立つ。 したがって、$I$ が最小となるのは $p=0$ かつ $q=-\frac{1}{n+1}$ のときであり、この $(p, q)$ の組は唯一存在する。 このとき、最小値は $\frac{n^2}{(n+1)^2(2n+1)}$ となる。

(ii) $n$ が奇数のとき

$n$ が奇数のとき、$x^{2n}, x^2, x^{n+1}$ は偶関数であり、$x^n$ は奇関数である。 したがって、同様に奇関数の項の積分が $0$ になることを考慮すると、$I$ は次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} I &= \frac{1}{2} \int_{-1}^1 (x^{2n} + p^2 x^2 + q^2 + 2px^{n+1}) dx \\ &= \int_0^1 (x^{2n} + p^2 x^2 + q^2 + 2px^{n+1}) dx \\ &= \left[ \frac{1}{2n+1}x^{2n+1} + \frac{p^2}{3}x^3 + q^2x + \frac{2p}{n+2}x^{n+2} \right]_0^1 \\ &= \frac{1}{2n+1} + \frac{1}{3}p^2 + q^2 + \frac{2}{n+2}p \end{aligned} $$

これを $p, q$ についての 2次式とみて、平方完成を行う。

$$ \begin{aligned} I &= \frac{1}{3} \left( p^2 + \frac{6}{n+2}p \right) + q^2 + \frac{1}{2n+1} \\ &= \frac{1}{3} \left( p + \frac{3}{n+2} \right)^2 - \frac{1}{3} \cdot \frac{9}{(n+2)^2} + q^2 + \frac{1}{2n+1} \\ &= \frac{1}{3} \left( p + \frac{3}{n+2} \right)^2 + q^2 + \frac{(n+2)^2 - 3(2n+1)}{(n+2)^2(2n+1)} \\ &= \frac{1}{3} \left( p + \frac{3}{n+2} \right)^2 + q^2 + \frac{n^2 - 2n + 1}{(n+2)^2(2n+1)} \\ &= \frac{1}{3} \left( p + \frac{3}{n+2} \right)^2 + q^2 + \frac{(n-1)^2}{(n+2)^2(2n+1)} \end{aligned} $$

$p, q$ は実数であるから、$\frac{1}{3}\left( p + \frac{3}{n+2} \right)^2 \ge 0$ かつ $q^2 \ge 0$ が成り立つ。 したがって、$I$ が最小となるのは $p=-\frac{3}{n+2}$ かつ $q=0$ のときであり、この $(p, q)$ の組は唯一存在する。 このとき、最小値は $\frac{(n-1)^2}{(n+2)^2(2n+1)}$ となる。

以上より、いずれの場合においても $I$ を最小にする $(p, q)$ の組は唯一存在することが示された。

解説

2変数 $p, q$ についての最小化問題であるが、積分区間が $[-1, 1]$ であるため $\int_{-1}^1 px \cdot q dx = 0$ となり、積分結果において $pq$ の交差項が消えるのが本問の最大のポイントである。これにより、$p$ と $q$ それぞれについて独立して平方完成することが可能となる。被積分関数に $x^n$ が含まれているため、偶関数・奇関数の判別をするために $n$ の偶奇による場合分けが必須となる。

答え

$I$ を最小にするような $(p, q)$ の組は唯一存在し、その値は以下の通りである。

$n$ が偶数のとき: $(p, q) = \left( 0, -\frac{1}{n+1} \right)$ 最小値 $\frac{n^2}{(n+1)^2(2n+1)}$

$n$ が奇数のとき: $(p, q) = \left( -\frac{3}{n+2}, 0 \right)$ 最小値 $\frac{(n-1)^2}{(n+2)^2(2n+1)}$

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