九州大学 2000年 理系 第6問 解説

方針・初手
ベクトルを用いて球面の方程式を導く問題と、四面体の体積の最大値を図形的に考察する問題の融合です。 (1)は、内積が0の形 $\overrightarrow{XP} \cdot \overrightarrow{YP} = 0$ を作ることを目標に式変形を行います。これにより、点$P$が線分$XY$を直径とする球面上を動くことが示せます。 (2)は、点$Q$の位置ベクトルを求めた上で、共面条件(係数の和が1、またはベクトルの1次結合)を確認します。 (3)は、四面体$ABCP$の底面を$\triangle ABC$に固定したとき、高さが最大となる点$P$の位置を(1)と(2)の結果から見定めます。
解法1
(1)
空間の任意の点$O$を始点とする位置ベクトルを考え、$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$, $\overrightarrow{OB} = \vec{b}$, $\overrightarrow{OC} = \vec{c}$, $\overrightarrow{OP} = \vec{p}$ とおく。 与えられた関係式 $\overrightarrow{AP} \cdot (\overrightarrow{BP} + 2\overrightarrow{CP}) = 0$ を位置ベクトルで表すと、
$$(\vec{p} - \vec{a}) \cdot \{(\vec{p} - \vec{b}) + 2(\vec{p} - \vec{c})\} = 0$$
括弧の中を整理して、
$$(\vec{p} - \vec{a}) \cdot \{3\vec{p} - (\vec{b} + 2\vec{c})\} = 0$$
両辺を3で割ると、
$$(\vec{p} - \vec{a}) \cdot \left( \vec{p} - \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} \right) = 0$$
ここで、線分$BC$を$2:1$に内分する点を$D$とし、その位置ベクトルを $\vec{d} = \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3}$ とおくと、上式は以下のように表せる。
$$\overrightarrow{AP} \cdot \overrightarrow{DP} = 0$$
これは、点$P$が線分$AD$を直径とする球面上にあることを示している。 したがって、線分$AD$の中点を$Q$とすると、点$P$は定点$Q$を中心とする一定の距離(半径 $\frac{1}{2}|\overrightarrow{AD}|$)の球面上を動くため、題意は示された。
(2)
(1)より、定点$Q$は線分$AD$の中点である。 点$Q$の位置ベクトル$\vec{q}$は、
$$\vec{q} = \frac{\vec{a} + \vec{d}}{2} = \frac{1}{2} \left( \vec{a} + \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} \right) = \frac{1}{2}\vec{a} + \frac{1}{6}\vec{b} + \frac{1}{3}\vec{c}$$
となる。ここで、$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ の係数の和を計算すると、
$$\frac{1}{2} + \frac{1}{6} + \frac{1}{3} = \frac{3 + 1 + 2}{6} = 1$$
係数の和が1であるため、定点$Q$は3点$A, B, C$を通る平面上にある。
(3)
四面体$ABCP$の体積を$V$とする。$\triangle ABC$を底面とみたときの四面体の高さを$h$とすると、
$$V = \frac{1}{3} \triangle ABC \cdot h$$
である。$\triangle ABC$の面積は一定であるため、$h$が最大となるとき$V$は最大となる。 (1)より、点$P$は定点$Q$を中心とする半径 $r = \frac{1}{2}|\overrightarrow{AD}|$ の球面上を動く。 さらに(2)より、球の中心$Q$は平面$ABC$上にある。 したがって、球面上を動く点$P$から平面$ABC$に下ろした垂線の長さ$h$の最大値は、球の半径$r$に等しい。 よって、最大体積 $V_{\text{max}}$ は、
$$V_{\text{max}} = \frac{1}{3} \triangle ABC \cdot r$$
となる。 次に、$\triangle ABC$の面積と半径$r$を求める。
$$|\overrightarrow{AB}|^2 = a^2 + b^2$$
$$|\overrightarrow{AC}|^2 = a^2 + c^2$$
$$\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{AC} = (-a) \cdot (-a) + b \cdot 0 + 0 \cdot c = a^2$$
これらを用いて、$\triangle ABC$の面積は次のように計算できる。
$$\triangle ABC = \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{AB}|^2 |\overrightarrow{AC}|^2 - (\overrightarrow{AB} \cdot \overrightarrow{AC})^2}$$
$$= \frac{1}{2} \sqrt{(a^2 + b^2)(a^2 + c^2) - a^4}$$
$$= \frac{1}{2} \sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2}$$
また、点$D$は線分$BC$を$2:1$に内分する点なので、その座標は $\left( 0, \frac{b}{3}, \frac{2c}{3} \right)$ である。
$$\overrightarrow{AD} = \left( -a, \frac{b}{3}, \frac{2c}{3} \right)$$
であるから、
$$|\overrightarrow{AD}| = \sqrt{(-a)^2 + \left( \frac{b}{3} \right)^2 + \left( \frac{2c}{3} \right)^2} = \frac{1}{3} \sqrt{9a^2 + b^2 + 4c^2}$$
よって、球の半径$r$は、
$$r = \frac{1}{2}|\overrightarrow{AD}| = \frac{1}{6} \sqrt{9a^2 + b^2 + 4c^2}$$
したがって、求める最大体積$V_{\text{max}}$は、
$$V_{\text{max}} = \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2} \sqrt{a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2} \cdot \frac{1}{6} \sqrt{9a^2 + b^2 + 4c^2}$$
$$= \frac{1}{36} \sqrt{(a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2)(9a^2 + b^2 + 4c^2)}$$
解法2
(2)の共面条件の別解を示す。点$A$を始点とするベクトルを用いて$\overrightarrow{AQ}$を表す。
$$\overrightarrow{AQ} = \frac{1}{2}\overrightarrow{AD} = \frac{1}{2}\left( \frac{\overrightarrow{AB} + 2\overrightarrow{AC}}{3} \right) = \frac{1}{6}\overrightarrow{AB} + \frac{1}{3}\overrightarrow{AC}$$
ベクトル$\overrightarrow{AQ}$ が平面上の2つの1次独立なベクトル $\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{AC}$ の1次結合で表されるため、定点$Q$は3点$A, B, C$を通る平面上にある。
解説
- (1)のベクトル方程式 $\overrightarrow{AP} \cdot \overrightarrow{BP} = 0$ が線分$AB$を直径とする球面を表すことは頻出の基本事項です。本問のように点が複雑な内分点等に置き換わっていても、式変形で $\overrightarrow{XP} \cdot \overrightarrow{YP} = 0$ の形を作るのが定石です。
- (2)の共面条件の証明は、「位置ベクトルの係数の和が1になること」か、「平面を張る2つのベクトルの1次結合で書けること」のいずれかを示せば十分です。
- (3)は、四面体の体積の最大値を考える際に、底面を固定して高さを最大化するという典型的なアプローチを用います。球の中心が平面上にあるという(2)の誘導を正しく捉えられれば、計算に集中することができます。
答え
(1) (証明は解説を参照)
(2) (証明は解説を参照)
(3) 最大値は $\frac{1}{36} \sqrt{(a^2b^2 + b^2c^2 + c^2a^2)(9a^2 + b^2 + 4c^2)}$
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