九州大学 1997年 理系 第6問 解説

方針・初手
空間ベクトルの基本問題であり、四面体の内部条件、体積比、共面条件の典型的な処理を問うている。 (1)は、点を基本ベクトルを用いて表した際の係数の和に注目する。 (2)は、底面積と高さの比を用いて体積比を計算する。 (3)は、点が平面上にある条件「係数の和が $1$」を活用するため、始点を $O$ としたままベクトルの基底を $\overrightarrow{OP}, \overrightarrow{OQ}, \overrightarrow{OR}$ に変換する。 (4)は、(3)で得た等式を条件式として積 $qr$ の最小値を求める問題となる。相加・相乗平均の大小関係を利用するか、1文字消去して微分で求めることができる。
解法1
(1) 点 $G$ が四面体 $OABC$ の内部にあるための条件を考える。 $\overrightarrow{OG}$ を点 $O, A, B, C$ の位置ベクトルで表現すると、
$$\overrightarrow{OG} = (1 - 3k)\overrightarrow{OO} + k\overrightarrow{OA} + k\overrightarrow{OB} + k\overrightarrow{OC}$$
と変形できる。ここで、係数の和は $(1-3k) + k + k + k = 1$ である。 点 $G$ が四面体 $OABC$ の内部(表面を含まない)にあるための条件は、すべての係数が正となることである。 したがって、
$$\begin{cases} 1 - 3k > 0 \\ k > 0 \end{cases}$$
を満たす必要がある。これを解いて、
$$0 < k < \frac{1}{3}$$
(2) 四面体 $OABC$ の底面を $\triangle OAB$、高さを $h$ とする。 四面体 $OPQR$ の底面を $\triangle OPQ$、高さを $h'$ とする。 $\overrightarrow{OP} = p\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OQ} = q\overrightarrow{OB}$ より、$\triangle OPQ$ と $\triangle OAB$ の面積比は、
$$\triangle OPQ = pq \triangle OAB$$
となる。 また、点 $C$ と点 $R$ から平面 $OAB$ に下ろした垂線の長さの比は、$\overrightarrow{OR} = r\overrightarrow{OC}$ より、
$$h' = r h$$
となる。 したがって、四面体 $OPQR$ の体積 $V'$ は、
$$\begin{aligned} V' &= \frac{1}{3} \cdot \triangle OPQ \cdot h' \\ &= \frac{1}{3} (pq \triangle OAB) (r h) \\ &= pqr \left( \frac{1}{3} \triangle OAB \cdot h \right) \\ &= pqr V \end{aligned}$$
よって、求める比は
$$\frac{V'}{V} = pqr$$
(3) 条件より、$\overrightarrow{OA} = \frac{1}{p}\overrightarrow{OP}$、$\overrightarrow{OB} = \frac{1}{q}\overrightarrow{OQ}$、$\overrightarrow{OC} = \frac{1}{r}\overrightarrow{OR}$ であるから、これを $\overrightarrow{OG}$ の式に代入すると、
$$\begin{aligned} \overrightarrow{OG} &= k \left( \frac{1}{p}\overrightarrow{OP} + \frac{1}{q}\overrightarrow{OQ} + \frac{1}{r}\overrightarrow{OR} \right) \\ &= \frac{k}{p}\overrightarrow{OP} + \frac{k}{q}\overrightarrow{OQ} + \frac{k}{r}\overrightarrow{OR} \end{aligned}$$
点 $G$ が平面 $PQR$ 上にあるため、$\overrightarrow{OP}, \overrightarrow{OQ}, \overrightarrow{OR}$ の係数の和が $1$ となる。すなわち、
$$\frac{k}{p} + \frac{k}{q} + \frac{k}{r} = 1$$
これを $k$ について解くと、
$$\begin{aligned} k \left( \frac{1}{p} + \frac{1}{q} + \frac{1}{r} \right) &= 1 \\ k \left( \frac{qr + rp + pq}{pqr} \right) &= 1 \end{aligned}$$
したがって、
$$k = \frac{pqr}{pq + qr + rp}$$
(4) $p = 3k = \frac{1}{2}$ より、$p = \frac{1}{2}, k = \frac{1}{6}$ である。 これを(3)で導いた等式 $\frac{k}{p} + \frac{k}{q} + \frac{k}{r} = 1$ に代入すると、
$$\frac{\frac{1}{6}}{\frac{1}{2}} + \frac{1}{6q} + \frac{1}{6r} = 1$$
$$\frac{1}{3} + \frac{1}{6} \left( \frac{1}{q} + \frac{1}{r} \right) = 1$$
整理すると、
$$\frac{1}{q} + \frac{1}{r} = 4$$
となる。ここで、$0 < q < 1, 0 < r < 1$ より $q > 0, r > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$\frac{1}{q} + \frac{1}{r} \geqq 2\sqrt{\frac{1}{q} \cdot \frac{1}{r}} = 2\sqrt{\frac{1}{qr}}$$
が成り立つ。上の等式を代入して、
$$4 \geqq \frac{2}{\sqrt{qr}}$$
両辺を正の値である $2$ で割り、逆数をとると、
$$\sqrt{qr} \geqq \frac{1}{2}$$
両辺は正なので2乗して、
$$qr \geqq \frac{1}{4}$$
等号成立条件は、相加・相乗平均の等号成立条件より $\frac{1}{q} = \frac{1}{r}$、かつ和が $4$ であるから、
$$\frac{1}{q} = \frac{1}{r} = 2$$
すなわち $q = \frac{1}{2}, r = \frac{1}{2}$ のときである。これは $0 < q < 1, 0 < r < 1$ を満たす。 よって、$qr$ の最小値は $\frac{1}{4}$ である。 求める値は(2)より $\frac{V'}{V} = pqr = \frac{1}{2}qr$ であるから、
$$\frac{V'}{V} \geqq \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{4} = \frac{1}{8}$$
となり、最小値は $\frac{1}{8}$ である。
解法2
(4の別解:1文字消去による方法) 等式 $\frac{1}{q} + \frac{1}{r} = 4$ までは解法1と同様である。 この式から $r$ を $q$ で表すと、
$$\frac{1}{r} = 4 - \frac{1}{q} = \frac{4q - 1}{q}$$
$$r = \frac{q}{4q - 1}$$
条件 $0 < r < 1$ より、
$$0 < \frac{q}{4q - 1} < 1$$
$q > 0$ より $4q - 1 > 0$ すなわち $q > \frac{1}{4}$ が必要である。このとき、辺々に $4q - 1$ を掛けて、
$$q < 4q - 1 \iff 1 < 3q \iff q > \frac{1}{3}$$
問題の条件 $q < 1$ と合わせて、$q$ のとり得る値の範囲は $\frac{1}{3} < q < 1$ となる。 次に、$\frac{V'}{V} = \frac{1}{2}qr$ を $q$ の関数 $f(q)$ とおく。
$$f(q) = \frac{1}{2} q \cdot \frac{q}{4q - 1} = \frac{q^2}{2(4q - 1)}$$
これを $q$ について微分すると、
$$\begin{aligned} f'(q) &= \frac{2q \cdot 2(4q - 1) - q^2 \cdot 2 \cdot 4}{4(4q - 1)^2} \\ &= \frac{16q^2 - 4q - 8q^2}{4(4q - 1)^2} \\ &= \frac{8q^2 - 4q}{4(4q - 1)^2} \\ &= \frac{q(2q - 1)}{(4q - 1)^2} \end{aligned}$$
$\frac{1}{3} < q < 1$ において $f'(q) = 0$ となるのは $q = \frac{1}{2}$ のときである。 増減を考えると、$f(q)$ は $q = \frac{1}{2}$ のとき極小かつ最小となる。 そのときの最小値は、
$$f \left( \frac{1}{2} \right) = \frac{\left(\frac{1}{2}\right)^2}{2 \left( 4 \cdot \frac{1}{2} - 1 \right)} = \frac{\frac{1}{4}}{2(2 - 1)} = \frac{1}{8}$$
このとき $r = \frac{1/2}{4(1/2) - 1} = \frac{1}{2}$ となり、条件 $0 < r < 1$ を満たす。 よって、最小値は $\frac{1}{8}$ である。
解説
空間ベクトルにおける基本事項を網羅的に問う標準的な良問である。 (1)の「点が四面体の内部にある条件」は、基準点からのベクトルで表したときの係数和と、各係数の符号に注目する。 (3)の「共面条件」も、目的の平面上にある3点のベクトルに基底を変換することで、機械的に「係数和が $1$」という条件に帰着できる。 (4)では、逆数の和が一定であるもとで積の最小値を求めるため、相加平均と相乗平均の大小関係が極めて有効である。別解のように1文字消去して微分する方法も確実だが、定義域の確認(特に $r$ の条件から $q$ の条件が絞られる点)を忘れないように注意したい。
答え
(1) $0 < k < \frac{1}{3}$ (2) $\frac{V'}{V} = pqr$ (3) $k = \frac{pqr}{pq + qr + rp}$ (4) 最小値 $\frac{1}{8}$
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