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北海道大学 1998年 文系 第2問 解説

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北海道大学 1998年 文系 第2問 解説

方針・初手

与えられた3つの1次不等式が表す領域が三角形の内部になるための条件を考える。 それぞれの不等式が表す領域の境界となる3つの直線を考えたとき、これらが三角形を形成し、かつ、各直線の交点(三角形の頂点)がそれぞれ残りの不等式を満たすことが必要十分条件である。 まずは各直線の交点の座標を求め、それが対応する領域に含まれるような定数 $a$ の条件を立式する。

解法1

3つの不等式の境界となる直線を、それぞれ以下のように定める。

$$l_1: x - y = 0$$

$$l_2: x + y = 2$$

$$l_3: ax + (2a + 3)y = 1$$

連立不等式の表す領域が三角形の内部となるためには、これら3直線がどの2つも平行でなく、かつ1点で交わらないことが必要である。そのうえで、3直線の交点(三角形の頂点)が、それぞれ自身を含まない残りの不等式を満たせばよい。

(i) $l_1$ と $l_2$ の交点 $A$ の条件 連立方程式 $x - y = 0, x + y = 2$ を解くと、$x = 1, y = 1$ となるため、交点は $A(1, 1)$ である。 点 $A$ が $l_3$ に関する不等式 $ax + (2a + 3)y < 1$ を満たす条件は、代入して

$$a \cdot 1 + (2a + 3) \cdot 1 < 1$$

$$3a + 3 < 1$$

$$a < -\frac{2}{3} \quad \cdots \text{①}$$

(ii) $l_1$ と $l_3$ の交点 $B$ の条件 $l_1$ より $y = x$ である。これを $l_3$ の式に代入すると

$$ax + (2a + 3)x = 1$$

$$(3a + 3)x = 1$$

$l_1$ と $l_3$ が交点を持つためには $3a + 3 \neq 0$、すなわち $a \neq -1$ が必要である。このとき $x = \frac{1}{3(a + 1)}$ となり、交点は $B\left(\frac{1}{3(a + 1)}, \frac{1}{3(a + 1)}\right)$ となる。 点 $B$ が $l_2$ に関する不等式 $x + y < 2$ を満たす条件は、代入して

$$\frac{1}{3(a + 1)} + \frac{1}{3(a + 1)} < 2$$

$$\frac{2}{3(a + 1)} < 2$$

$$\frac{1}{3(a + 1)} - 1 < 0$$

$$\frac{1 - 3(a + 1)}{3(a + 1)} < 0$$

$$\frac{-3a - 2}{a + 1} < 0$$

$$\frac{3a + 2}{a + 1} > 0$$

これを解いて、

$$a < -1 \quad \text{または} \quad a > -\frac{2}{3} \quad \cdots \text{②}$$

(iii) $l_2$ と $l_3$ の交点 $C$ の条件 $l_2$ より $y = -x + 2$ である。これを $l_3$ の式に代入すると

$$ax + (2a + 3)(-x + 2) = 1$$

$$ax - (2a + 3)x + 2(2a + 3) = 1$$

$$-(a + 3)x + 4a + 6 = 1$$

$$(a + 3)x = 4a + 5$$

$l_2$ と $l_3$ が交点を持つためには $a + 3 \neq 0$、すなわち $a \neq -3$ が必要である。このとき $x = \frac{4a + 5}{a + 3}$ となり、$y$ 座標は

$$y = -\frac{4a + 5}{a + 3} + 2 = \frac{-(4a + 5) + 2(a + 3)}{a + 3} = \frac{-2a + 1}{a + 3}$$

交点は $C\left(\frac{4a + 5}{a + 3}, \frac{-2a + 1}{a + 3}\right)$ となる。 点 $C$ が $l_1$ に関する不等式 $x - y < 0$ を満たす条件は、代入して

$$\frac{4a + 5}{a + 3} - \frac{-2a + 1}{a + 3} < 0$$

$$\frac{4a + 5 - (-2a + 1)}{a + 3} < 0$$

$$\frac{6a + 4}{a + 3} < 0$$

$$\frac{3a + 2}{a + 3} < 0$$

これを解いて、

$$-3 < a < -\frac{2}{3} \quad \cdots \text{③}$$

(iv) 共通範囲の決定 ①、②、③を同時に満たす $a$ の値の範囲を求める。 ①かつ②より、$a < -1$ である。 これと③の共通範囲をとることで、求める範囲は

$$-3 < a < -1$$

となる。このとき、条件としていた $a \neq -1$ および $a \neq -3$ も満たされているため、3直線は確かに三角形を形成する。

解法2

連立不等式のうち2つが $x - y$ と $x + y$ の形をしていることに着目し、変数変換を用いる。

$$X = x - y, \quad Y = x + y$$

とおく。このとき、第1、第2の不等式は次のように簡潔な形になる。

$$X < 0, \quad Y < 2$$

また、$x, y$ を $X, Y$ で表すと

$$x = \frac{X + Y}{2}, \quad y = \frac{Y - X}{2}$$

となる。これを第3の不等式 $ax + (2a + 3)y < 1$ に代入する。

$$a \left( \frac{X + Y}{2} \right) + (2a + 3) \left( \frac{Y - X}{2} \right) < 1$$

両辺を $2$ 倍して整理する。

$$a(X + Y) + (2a + 3)(Y - X) < 2$$

$$(a - 2a - 3)X + (a + 2a + 3)Y < 2$$

$$-(a + 3)X + (3a + 3)Y < 2$$

これにより、もとの問題は $XY$ 平面において、次の3つの不等式が表す領域が三角形の内部となる条件を求めることに帰着される。

$$X < 0, \quad Y < 2, \quad -(a + 3)X + (3a + 3)Y < 2$$

境界となる直線をそれぞれ $L_1: X = 0, L_2: Y = 2, L_3: -(a + 3)X + (3a + 3)Y = 2$ とする。 領域 $X < 0$ かつ $Y < 2$ は、点 $P(0, 2)$ を頂点とする直角領域である。これと $L_3$ の定める領域の共通部分が三角形の内部となるための条件は、直線 $L_3$ が半直線 $X = 0 \ (Y < 2)$ と半直線 $Y = 2 \ (X < 0)$ の両方と交わり、かつ点 $P(0, 2)$ が $L_3$ の不等式を満たすことである。

(i) 頂点 $P(0, 2)$ が不等式を満たす条件 $X = 0, Y = 2$ を $-(a + 3)X + (3a + 3)Y < 2$ に代入して

$$-(a + 3) \cdot 0 + (3a + 3) \cdot 2 < 2$$

$$6a + 6 < 2$$

$$6a < -4$$

$$a < -\frac{2}{3} \quad \cdots \text{①}$$

(ii) $L_3$ が $X = 0 \ (Y < 2)$ と交わる条件 $L_3$ の方程式に $X = 0$ を代入すると、

$$(3a + 3)Y = 2$$

交点を持つためには $3a + 3 \neq 0$ すなわち $a \neq -1$。このとき $Y = \frac{2}{3a + 3}$ であり、これが $Y < 2$ を満たせばよい。

$$\frac{2}{3(a + 1)} < 2$$

$$\frac{1}{3(a + 1)} - 1 < 0$$

$$\frac{1 - 3a - 3}{3(a + 1)} < 0$$

$$\frac{3a + 2}{a + 1} > 0$$

これを解いて、

$$a < -1 \quad \text{または} \quad a > -\frac{2}{3} \quad \cdots \text{②}$$

(iii) $L_3$ が $Y = 2 \ (X < 0)$ と交わる条件 $L_3$ の方程式に $Y = 2$ を代入すると、

$$-(a + 3)X + (3a + 3) \cdot 2 = 2$$

$$-(a + 3)X = -6a - 4$$

$$(a + 3)X = 6a + 4$$

交点を持つためには $a + 3 \neq 0$ すなわち $a \neq -3$。このとき $X = \frac{6a + 4}{a + 3}$ であり、これが $X < 0$ を満たせばよい。

$$\frac{6a + 4}{a + 3} < 0$$

$$\frac{3a + 2}{a + 3} < 0$$

これを解いて、

$$-3 < a < -\frac{2}{3} \quad \cdots \text{③}$$

(iv) 共通範囲の決定 ①、②、③ を同時に満たす $a$ の範囲を求める。 ①かつ②より、$a < -1$ となる。これと③の共通範囲をとることで、

$$-3 < a < -1$$

解説

「連立不等式が三角形の内部の領域を表す」という幾何学的な条件を、「境界線が三角形を作り、かつ各頂点が他の不等式の領域に含まれる」という代数的な条件に正しく翻訳できるかが問われている。 解法1は忠実に交点を求めて不等式を解く王道のアプローチであるが、連立方程式の計算量がやや多い。解法2のように $x-y$ と $x+y$ の塊に着目して変数変換を行うと、考えるべき領域が $X<0$ かつ $Y<2$ という座標軸に平行な極めてシンプルな形になり、計算の負担とミスを劇的に減らすことができる。

答え

$$-3 < a < -1$$

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