北海道大学 1977年 文系 第5問 解説

方針・初手
(1) は対数の底の変換公式と、真数・底の累乗に関する性質を用いて式を変形する。 (2) は対数不等式 $0 < \log_a (\log_x y) < \log_a 2$ を解く。底 $a$ と $1$ との大小関係による場合分けが必要である。 (3) は (2) で得られた真数部分の不等式から $y$ を $x$ の式で評価し、$xy$ 平面上に領域として把握する。底 $x$ が $x>1$ であることに注意して不等式を処理する。
解法1
(1) $x > 1, y > 1$ より $\log_x y > 0$ である。 底の変換公式を用いると、$\log_y x = \frac{1}{\log_x y} = (\log_x y)^{-1}$ となる。 これを用いて $d(y, x)$ を変形すると、
$$ \begin{aligned} d(y, x) &= \log_a (\log_y x) \\ &= \log_a (\log_x y)^{-1} \\ &= -\log_a (\log_x y) \\ &= -d(x, y) \end{aligned} $$
となる。 次に、$d(x^p, y^q)$ について、真数部分の $\log_{x^p} y^q$ を底 $x$ の対数に変換する。
$$ \log_{x^p} y^q = \frac{\log_x y^q}{\log_x x^p} = \frac{q \log_x y}{p} = \frac{q}{p} \log_x y $$
よって、$d(x^p, y^q)$ を変形すると、
$$ \begin{aligned} d(x^p, y^q) &= \log_a (\log_{x^p} y^q) \\ &= \log_a \left( \frac{q}{p} \log_x y \right) \\ &= \log_a \frac{q}{p} + \log_a (\log_x y) \\ &= d(x, y) + \log_a \frac{q}{p} \end{aligned} $$
となる。
(2) 条件の不等式 $0 < d(x, y) < \log_a 2$ は、次のように書き換えられる。
$$ \log_a 1 < \log_a (\log_x y) < \log_a 2 $$
ここで、対数の底 $a$ ($a>0, a \neq 1$)の値によって場合分けを行う。
(i) $a > 1$ のとき 底が $1$ より大きいので、真数の大小関係は不等号の向きと一致する。
$$ 1 < \log_x y < 2 $$
これを満たす $x>1, y>1$ となる実数 $x, y$ は存在する。(例えば $x=2$ のとき、$1 < \log_2 y < 2$ より $2 < y < 4$ となり、条件を満たす $y$ が取れる。)
(ii) $0 < a < 1$ のとき 底が $1$ より小さいので、真数の大小関係は逆転する。
$$ 1 > \log_x y > 2 $$
すなわち $2 < \log_x y < 1$ となるが、これを満たす実数は存在しないため、条件を満たす $x, y$ も存在しない。
(i), (ii) より、条件を満たす $x, y$ が存在するような $a$ の範囲は $a > 1$ である。
(3) (2) の結果から $a > 1$ であり、満たすべき不等式は以下の通りである。
$$ 1 < \log_x y < 2 $$
条件より底 $x$ は $x > 1$ であるから、この不等式の各辺を底 $x$ の指数にとっても大小関係は変わらない。
$$ x^1 < x^{\log_x y} < x^2 $$
整理すると、
$$ x < y < x^2 $$
となる。 さらに問題の前提条件として $x > 1, y > 1$ があるが、$x > 1$ と $y > x$ から $y > 1$ は自然に満たされる。 したがって、求める点 $(x, y)$ の存在範囲は、連立不等式
$$ \begin{cases} x > 1 \\ y > x \\ y < x^2 \end{cases} $$
が表す領域である。
解説
対数の基本的な計算規則と、底の大きさによる対数関数・指数関数の増減(大小関係の保存と逆転)を問う標準的な問題である。 (1) では底の変換公式 $\log_B C = \frac{\log_A C}{\log_A B}$ を正しく適用できるかが鍵となる。 (2) の対数不等式では、底 $a$ が文字で与えられているため、$a>1$ と $0<a<1$ の場合分けを忘れずに行う必要がある。 (3) の領域図示においても、底 $x$ が $x>1$ であることが問題文で保証されているため、不等号の向きを変えずにそのまま指数関数の形に直すことができる。
答え
(1) $d(y, x) = -d(x, y)$ $d(x^p, y^q) = d(x, y) + \log_a \frac{q}{p}$
(2) $a > 1$
(3) 点 $(x, y)$ の存在範囲は、$xy$ 平面において直線 $y=x$ と放物線 $y=x^2$ によって囲まれる領域のうち、$x > 1$ の部分である。図示すると、放物線 $y=x^2$ の下側かつ直線 $y=x$ の上側となる(境界線はすべて含まない)。
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