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北海道大学 1979年 文系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/最大・最小テーマ/空間図形
北海道大学 1979年 文系 第2問 解説

方針・初手

直線上の点の中で点 $A$ に最も近い点とは、点 $A$ から直線に下ろした垂線の足のことである。したがって、求める点を $H$ とおくと、直線 $PQ$ と線分 $AH$ が垂直に交わることから、ベクトルの内積を用いて $\overrightarrow{AH} \cdot \overrightarrow{PQ} = 0$ という条件式を立てることができる。

また、直線上の点を媒介変数を用いて表し、点 $A$ との距離の2乗が最小となるような媒介変数の値を求める方法も有効である。

解法1

求める点を $H$ とする。点 $H$ は直線 $PQ$ 上にあるため、実数 $k$ を用いて次のように表せる。

$$ \overrightarrow{OH} = \overrightarrow{OP} + k\overrightarrow{PQ} $$

まず、ベクトル $\overrightarrow{PQ}$ の成分を求める。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{PQ} &= \overrightarrow{OQ} - \overrightarrow{OP} \\ &= (8, -8, 3) - (0, 4, -1) \\ &= (8, -12, 4) \end{aligned} $$

計算を簡略化するため、直線 $PQ$ の方向ベクトルとして、$\overrightarrow{PQ}$ と平行なベクトル $\vec{d} = \frac{1}{4}\overrightarrow{PQ} = (2, -3, 1)$ を用いる。これを用いると、点 $H$ の位置ベクトルは実数 $t$ を用いて次のように表される。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OH} &= \overrightarrow{OP} + t\vec{d} \\ &= (0, 4, -1) + t(2, -3, 1) \\ &= (2t, 4 - 3t, -1 + t) \end{aligned} $$

次に、ベクトル $\overrightarrow{AH}$ の成分を求める。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{AH} &= \overrightarrow{OH} - \overrightarrow{OA} \\ &= (2t, 4 - 3t, -1 + t) - (1, 1, 2) \\ &= (2t - 1, 3 - 3t, t - 3) \end{aligned} $$

点 $H$ は点 $A$ に最も近い点であるから、直線 $PQ$ と線分 $AH$ は垂直である。よって、$\overrightarrow{AH} \perp \vec{d}$ より、その内積は $0$ となる。

$$ \overrightarrow{AH} \cdot \vec{d} = 0 $$

成分を用いて計算すると、次のようになる。

$$ \begin{aligned} (2t - 1) \cdot 2 + (3 - 3t) \cdot (-3) + (t - 3) \cdot 1 &= 0 \\ (4t - 2) + (-9 + 9t) + (t - 3) &= 0 \\ 14t - 14 &= 0 \end{aligned} $$

これを解いて、$t = 1$ を得る。

この $t$ の値を $\overrightarrow{OH}$ の式に代入し、点 $H$ の座標を求める。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OH} &= (2 \cdot 1, 4 - 3 \cdot 1, -1 + 1) \\ &= (2, 1, 0) \end{aligned} $$

したがって、求める点の座標は $(2, 1, 0)$ である。

解法2

求める点を $H$ とし、解法1と同様に直線 $PQ$ の方向ベクトルを $\vec{d} = (2, -3, 1)$ とする。直線上の点 $H$ の位置ベクトルは、実数 $t$ を用いて次のように表せる。

$$ \overrightarrow{OH} = (2t, 4 - 3t, -1 + t) $$

点 $A(1, 1, 2)$ と点 $H$ の距離の2乗を考える。

$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{AH}|^2 &= |\overrightarrow{OH} - \overrightarrow{OA}|^2 \\ &= (2t - 1)^2 + (3 - 3t)^2 + (t - 3)^2 \end{aligned} $$

これを展開して整理する。

$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{AH}|^2 &= (4t^2 - 4t + 1) + (9 - 18t + 9t^2) + (t^2 - 6t + 9) \\ &= 14t^2 - 28t + 19 \end{aligned} $$

得られた $t$ の2次式について、平方完成を行う。

$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{AH}|^2 &= 14(t^2 - 2t) + 19 \\ &= 14(t - 1)^2 - 14 + 19 \\ &= 14(t - 1)^2 + 5 \end{aligned} $$

$t$ は実数であるから、$(t - 1)^2 \geqq 0$ である。よって、$|\overrightarrow{AH}|^2$ は $t = 1$ のとき最小値 $5$ をとる。距離 $|\overrightarrow{AH}|$ が最小となるとき、点 $H$ は点 $A$ に最も近い点となる。

$t = 1$ を $\overrightarrow{OH}$ の成分の式に代入する。

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OH} &= (2 \cdot 1, 4 - 3 \cdot 1, -1 + 1) \\ &= (2, 1, 0) \end{aligned} $$

したがって、求める点の座標は $(2, 1, 0)$ である。

解説

空間座標における「ある点から直線上の点までの距離の最小値」を求める典型問題である。

解法1のように「最短距離を与える点=垂線の足」という幾何学的な性質に着目し、ベクトルの内積が $0$ になることを利用する方針が計算量も少なく推奨される。この際、直線上の点を実数パラメータで表すベクトル方程式の理解が不可欠である。計算を楽にするため、$\overrightarrow{PQ}$ そのものではなく、各成分を公約数で割った方向ベクトル $\vec{d}$ を用いる工夫をするとよい。

解法2のように距離の2乗をパラメータの関数として表し、2次関数の最小値問題に帰着させる方針も汎用性が高い。どちらの解法を選んでも確実に正答できるようにしておきたい。

答え

$$ (2, 1, 0) $$

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