北海道大学 1984年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) 方程式①については、そのまま2次方程式の判別式を調べます。 方程式②については、対数方程式であるため、まずは真数条件を確認します。その後、対数の性質を用いて $x$ の2次方程式に帰着させます。得られた2次方程式が、真数条件を満たす範囲に異なる2つの実数解をもつことを、判別式とグラフの配置(軸の位置、端点での値)から示します。
(2) 直接解の公式を用いて解を比較するのは計算が煩雑になります。方程式①の左辺を $f(x)$、②を同値変形して得られる2次方程式の左辺を $g(x)$ とおきます。②の2つの解を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) としたとき、$y = f(x)$ のグラフが区間 $(\alpha, \beta)$ で $x$ 軸とちょうど1回交わること、すなわち $f(\alpha)f(\beta) < 0$ を示す方針をとります。その際、$f(x)$ を $g(x)$ で割った余りを利用すると計算が見通しやすくなります。
解法1
(1)
方程式①について、判別式を $D_1$ とする。
$$ \frac{D_1}{4} = (-2^m)^2 - 1 \cdot (3 \cdot 2^m) = 2^{2m} - 3 \cdot 2^m = 2^m(2^m - 3) $$
$m > 2$ より $2^m > 2^2 = 4$ であるから、$2^m - 3 > 0$ となる。 よって、$D_1 > 0$ であり、方程式①は2つの異なる実数解をもつ。
次に、方程式②について考える。真数条件より、
$$ x > 0 \quad \text{かつ} \quad x - 1 > 0 $$
すなわち、$x > 1$ である。 この条件下で方程式②を変形する。
$$ \log_2 x^2 - \log_2 (x - 1) = m $$
$$ \log_2 \frac{x^2}{x - 1} = m $$
対数の定義より、
$$ \frac{x^2}{x - 1} = 2^m $$
$$ x^2 = 2^m(x - 1) $$
$$ x^2 - 2^m x + 2^m = 0 \quad \cdots \text{③} $$
$g(x) = x^2 - 2^m x + 2^m$ とおく。方程式③の判別式を $D_2$ とすると、
$$ D_2 = (-2^m)^2 - 4 \cdot 1 \cdot 2^m = 2^{2m} - 4 \cdot 2^m = 2^m(2^m - 4) $$
$m > 2$ より $2^m > 4$ であるから、$2^m - 4 > 0$ となる。よって、$D_2 > 0$ である。 また、$y = g(x)$ のグラフの軸は直線 $x = 2^{m-1}$ であり、$m > 2$ より $2^{m-1} > 2^1 = 2$ であるから、軸は $x > 1$ の範囲にある。 さらに、$x = 1$ のときの関数値を調べると、
$$ g(1) = 1^2 - 2^m \cdot 1 + 2^m = 1 > 0 $$
以上より、下に凸の放物線 $y = g(x)$ は $x > 1$ の範囲で $x$ 軸と異なる2点で交わる。 すなわち、2次方程式③は $x > 1$ の範囲に異なる2つの実数解をもつ。 これらの解は真数条件を満たすため、方程式②は2つの異なる実数解をもつ。
(2)
(1)より、方程式②の2つの異なる実数解は、2次方程式 $g(x) = 0$ の解である。これを $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とする。 方程式①の左辺を $f(x) = x^2 - 2^{m+1}x + 3 \cdot 2^m$ とおく。 $f(x)$ を $g(x)$ を用いて表すと、
$$ f(x) = x^2 - 2 \cdot 2^m x + 3 \cdot 2^m $$
$$ = (x^2 - 2^m x + 2^m) - 2^m x + 2 \cdot 2^m $$
$$ = g(x) - 2^m(x - 2) $$
$\alpha, \beta$ は $g(x) = 0$ の解であるから、$g(\alpha) = 0, g(\beta) = 0$ が成り立つ。これを用いると、
$$ f(\alpha) = -2^m(\alpha - 2) $$
$$ f(\beta) = -2^m(\beta - 2) $$
よって、$f(\alpha)$ と $f(\beta)$ の積は、
$$ f(\alpha)f(\beta) = \{-2^m(\alpha - 2)\} \cdot \{-2^m(\beta - 2)\} = 2^{2m}(\alpha - 2)(\beta - 2) $$
ここで、関数 $g(x)$ について $x = 2$ における値を調べる。
$$ g(2) = 2^2 - 2^m \cdot 2 + 2^m = 4 - 2^m $$
$m > 2$ より $2^m > 4$ であるから、$g(2) < 0$ となる。 $g(x) = 0$ は $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) を解にもち、$y = g(x)$ のグラフは下に凸であるため、$g(2) < 0$ であることは $\alpha < 2 < \beta$ が成り立つことを意味する。 したがって、$(\alpha - 2)(\beta - 2) < 0$ であり、$2^{2m} > 0$ であるから、
$$ f(\alpha)f(\beta) = 2^{2m}(\alpha - 2)(\beta - 2) < 0 $$
$y = f(x)$ のグラフは下に凸の連続な放物線であり、$f(\alpha)$ と $f(\beta)$ が異符号である。これは、方程式 $f(x) = 0$(すなわち方程式①)が区間 $(\alpha, \beta)$ に少なくとも1つの実数解をもつことを示す。 方程式①は2次方程式であるから最大で2つの解しか持たず、$f(\alpha)f(\beta) < 0$ ならば、もう1つの解は $x < \alpha$ または $x > \beta$ の範囲に存在する。 したがって、方程式①の解のうち、ちょうど1つだけが $\alpha$ と $\beta$ の間(すなわち方程式②の2つの解の間)にあることが示された。
解説
対数方程式を扱う際に最も重要なのは、変形を行う前に真数条件を明記し、最終的な解がその条件を満たすかを確認することです。(1)では、単に判別式が正であることを示すだけでなく、解の配置問題として軸と端点の条件を調べ、2解がともに $x > 1$ にあることを論証するステップが不可欠です。
(2)では、解の公式を用いて解を直接比較しようとすると根号が含まれ、大小比較が非常に困難になります。ある値が方程式の解の間にあることを示すには、関数 $y = f(x)$ のグラフを考え、$f(\alpha)f(\beta) < 0$ を示す(中間値の定理の応用)アプローチが定石です。 また、式の値を計算する際に、次数を下げて計算を簡単にする工夫($f(x)$ を $g(x)$ で割る変形)を用いることで、論理の見通しが非常に良くなります。
答え
(1) 方程式①については判別式が $2^m(2^m - 3) > 0$ となることから示された。 方程式②については、真数条件 $x > 1$ のもとで $x^2 - 2^m x + 2^m = 0$ に帰着され、判別式が正、軸が $x > 1$、端点の値が正となることから、条件を満たす2解をもつことが示された。
(2) 方程式②から得られる2次方程式を $g(x) = 0$、その解を $\alpha, \beta$ とし、方程式①の左辺を $f(x)$ とおいたとき、$g(2) < 0$ より $\alpha < 2 < \beta$ となること、および $f(x) = g(x) - 2^m(x - 2)$ の関係から $f(\alpha)f(\beta) < 0$ が導かれたことにより示された。
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