北海道大学 1988年 理系 第4問 解説

方針・初手
接点の $x$ 座標を $t$ とおき、点 $P$ における接線の方程式を立てる。接線が原点を通るという条件から、$t$ についての方程式を導く。
条件を満たす点 $P$ がただ1つであるということは、導かれた $t$ の方程式が実数解をただ1つ持つことと同値である。方程式を整理し、因数定理を用いて実数解の個数を調べる。
解法1
曲線 $C$ の方程式を $y = f(x)$ とおく。
$$ f(x) = (x^2 + ax - 2a - 3)e^{2x} $$
これを微分すると、積の微分法より以下のようになる。
$$ \begin{aligned} f'(x) &= (2x + a)e^{2x} + (x^2 + ax - 2a - 3) \cdot 2e^{2x} \\ &= (2x^2 + 2ax - 4a - 6 + 2x + a)e^{2x} \\ &= \{2x^2 + 2(a+1)x - 3a - 6\}e^{2x} \end{aligned} $$
点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおく。点 $P(t, f(t))$ における接線の方程式は、
$$ y - f(t) = f'(t)(x - t) $$
この接線が原点 $(0,0)$ を通るので、$x=0, y=0$ を代入して、
$$ -f(t) = -tf'(t) $$
すなわち、
$$ f(t) = tf'(t) $$
これに $f(t)$ と $f'(t)$ の式を代入すると、
$$ (t^2 + at - 2a - 3)e^{2t} = t\{2t^2 + 2(a+1)t - 3a - 6\}e^{2t} $$
すべての実数 $t$ において $e^{2t} > 0$ であるから、両辺を $e^{2t}$ で割って整理する。
$$ \begin{aligned} t^2 + at - 2a - 3 &= 2t^3 + 2(a+1)t^2 - (3a+6)t \\ 2t^3 + (2a+1)t^2 - (4a+6)t + 2a + 3 &= 0 \end{aligned} $$
この $t$ についての3次方程式が、実数解をただ1つ持つような $a$ の条件を求めればよい。左辺を $g(t)$ とおくと、
$$ g(1) = 2 + (2a+1) - (4a+6) + 2a + 3 = 0 $$
となるから、因数定理より $g(t)$ は $t-1$ を因数にもつ。左辺を因数分解すると、
$$ (t-1)\{2t^2 + (2a+3)t - (2a+3)\} = 0 $$
したがって、方程式は $t=1$ を実数解としてもつ。この方程式がただ1つの実数解をもつための条件は、残りの2次方程式 $2t^2 + (2a+3)t - (2a+3) = 0$ が以下のいずれかを満たすことである。
(i) $t=1$ を重解としてもつ。
(ii) 実数解をもたない。
ここで、$h(t) = 2t^2 + (2a+3)t - (2a+3)$ とおく。
(i) の場合
$h(t) = 0$ が $t=1$ を解にもつ必要があるが、
$$ h(1) = 2 + (2a+3) - (2a+3) = 2 \neq 0 $$
となるため、$h(t)=0$ は $t=1$ を解にもたない。よって、この場合は不適である。
(ii) の場合
2次方程式 $h(t) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D < 0$ となればよい。
$$ \begin{aligned} D &= (2a+3)^2 - 4 \cdot 2 \cdot \{-(2a+3)\} \\ &= (2a+3)^2 + 8(2a+3) \\ &= (2a+3)(2a+11) \end{aligned} $$
$D < 0$ より、
$$ (2a+3)(2a+11) < 0 $$
これを解いて、
$$ -\frac{11}{2} < a < -\frac{3}{2} $$
これが求める条件である。
解説
接線の方程式を立てて、それが特定の点を通るという条件を処理する、微分法の典型的な問題である。
途中で得られる3次方程式の処理が鍵となる。文字 $a$ が含まれている場合、定数 $a$ を分離してグラフの交点を考える手法(定数分離)も有効なことが多いが、本問のように $t=1$ を代入すると容易に $0$ になることが見抜ける場合は、因数定理を用いて方程式を直接解き進める方針が早い。
3次方程式がただ1つの実数解をもつ条件を考える際、すでに1つの実数解が見つかっているならば、残りの2次方程式が「虚数解をもつ」場合だけでなく、「すでに見つかっている実数解と同じものを重解としてもつ」場合(今回は該当しなかったが)も漏らさずに検討することが重要である。
答え
$$ -\frac{11}{2} < a < -\frac{3}{2} $$
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