トップ 北海道大学 1989年 文系 第3問

北海道大学 1989年 文系 第3問 解説

数学2/指数対数数学1/方程式不等式数学1/命題と集合テーマ/場合分け
北海道大学 1989年 文系 第3問 解説

方針・初手

(1) は対数不等式である。真数条件や分母が $0$ にならないための底の条件を確認した上で、底の変換公式を用いて底を統一する。 (2) は指数不等式である。左辺の $\left(\frac{1}{3}\right)^{a \log_3 2}$ を、底が $\frac{1}{2}$ となるように変形し、指数部分の大小比較に持ち込む。(1) で求めた解の範囲が、(2) の不等式の解の範囲に完全に含まれるような条件を求める。

解法1

(1)

対数の真数は正であるから、

$$x > 0$$

また、分母が $0$ にならないための条件から、$\log_3 x \neq 0$ かつ $\log_5 x \neq 0$、すなわち、

$$x \neq 1$$

これらより、不等式①の定義域は $x > 0$ かつ $x \neq 1$ である。

底の変換公式より、$\log_5 x = \frac{\log_3 x}{\log_3 5}$ である。これを①に代入すると、

$$1 + \frac{1}{\log_3 x} - \frac{2 \log_3 5}{\log_3 x} < 0$$

$$1 + \frac{1 - 2\log_3 5}{\log_3 x} < 0$$

ここで、$t = \log_3 x$ とおく。$x > 0$ かつ $x \neq 1$ より $t \neq 0$ である。不等式は次のように表される。

$$1 + \frac{1 - \log_3 25}{t} < 0$$

両辺に $t^2 \ (> 0)$ を掛けると、

$$t^2 + (1 - \log_3 25)t < 0$$

$$t(t + 1 - \log_3 25) < 0$$

$1 - \log_3 25 = \log_3 3 - \log_3 25 = \log_3 \frac{3}{25}$ であり、底 $3$ は $1$ より大きく $\frac{3}{25} < 1$ であるから、$\log_3 \frac{3}{25} < 0$ である。 したがって、不等式の解は、

$$0 < t < \log_3 25 - 1$$

$$0 < t < \log_3 \frac{25}{3}$$

$t = \log_3 x$ に戻すと、

$$0 < \log_3 x < \log_3 \frac{25}{3}$$

$$\log_3 1 < \log_3 x < \log_3 \frac{25}{3}$$

底 $3$ は $1$ より大きいので、真数の大小関係は変わらず、

$$1 < x < \frac{25}{3}$$

これは定義域 $x > 0$ かつ $x \neq 1$ を満たす。

(2)

不等式②の左辺を変形すると、

$$\left(\frac{1}{3}\right)^{a \log_3 2} = (3^{-1})^{a \log_3 2} = 3^{-a \log_3 2} = (3^{\log_3 2})^{-a} = 2^{-a} = \left(\frac{1}{2}\right)^a$$

したがって、不等式②は次のように書き直せる。

$$\left(\frac{1}{2}\right)^a < \left(\frac{1}{2}\right)^{x(x-a+1)}$$

底 $\frac{1}{2}$ は $0$ より大きく $1$ より小さいので、指数の大小関係は逆転し、

$$a > x(x-a+1)$$

$$x^2 - (a-1)x - a < 0$$

$$(x-a)(x+1) < 0$$

条件「①の解がすべて②を満たす」は、「$1 < x < \frac{25}{3}$ を満たすすべての $x$ に対して、$(x-a)(x+1) < 0$ が成り立つ」ことと同値である。

$a$ と $-1$ の大小関係で場合分けをして、②の解を考える。

(i) $a < -1$ のとき

②の解は $a < x < -1$ となるが、この範囲は $1 < x < \frac{25}{3}$ を含まないため不適。

(ii) $a = -1$ のとき

②は $(x+1)^2 < 0$ となり解を持たないため不適。

(iii) $a > -1$ のとき

②の解は $-1 < x < a$ となる。 $1 < x < \frac{25}{3}$ が $-1 < x < a$ に含まれるためには、

$$\frac{25}{3} \leqq a$$

が成り立てばよい。これは $a > -1$ を満たす。

以上より、求める $a$ の値の範囲は $a \geqq \frac{25}{3}$ である。

解説

対数不等式、指数不等式の標準的な問題である。 (1) では、分母に変数を含む不等式を処理する際、両辺に単純に $\log_3 x$ を掛けると $\log_3 x$ の正負で場合分けが必要になる。これを避けるため、両辺に正であることが確定している $(\log_3 x)^2$ を掛ける処理が定石である。また、真数条件や底の条件を忘れないように注意したい。 (2) では、$a^{\log_a b} = b$ の性質を用いて左辺の底を $\frac{1}{2}$ にそろえるのがポイントである。不等式を解いた後は、「命題 $p \implies q$ が真である」すなわち「集合 $P$ が集合 $Q$ の部分集合となる ($P \subset Q$)」ための条件を考えればよい。

答え

(1) $1 < x < \frac{25}{3}$

(2) $a \geqq \frac{25}{3}$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。