北海道大学 2020年 文系 第4問 解説

方針・初手
(1) では、2つの放物線に共通して接する直線を求める。共通接線を $y=mx+n$ とおき、それぞれの放物線と連立して得られる2次方程式が重解をもつ条件(判別式 $D=0$)から $m, n$ を求める方針が分かりやすい。また、一方の放物線上の点における接線の方程式を立て、それがもう一方の放物線に接するという条件で立式してもよい。
(2) では、(1) で求めた接線のうち傾きが負のものと $C_1$、$x$ 軸の交点および接点の座標を求め、適切な区間で定積分を計算して面積を求める。
解法1
(1)
求める共通接線を $y = mx + n$ とする。
これが $C_1: y = 2x^2$ と接するための条件は、2次方程式
$$ 2x^2 = mx + n \iff 2x^2 - mx - n = 0 $$
が重解をもつことである。判別式を $D_1$ とすると、$D_1 = 0$ より
$$ (-m)^2 - 4 \cdot 2 \cdot (-n) = 0 \iff m^2 + 8n = 0 \iff n = -\frac{m^2}{8} \quad \cdots \text{①} $$
同様に、直線 $y = mx + n$ が $C_2: y = -x^2 + 2x - \frac{19}{8}$ と接するための条件は、2次方程式
$$ -x^2 + 2x - \frac{19}{8} = mx + n \iff x^2 + (m - 2)x + n + \frac{19}{8} = 0 $$
が重解をもつことである。判別式を $D_2$ とすると、$D_2 = 0$ より
$$ (m - 2)^2 - 4 \left( n + \frac{19}{8} \right) = 0 \iff m^2 - 4m - 4n - \frac{11}{2} = 0 \quad \cdots \text{②} $$
①を②に代入して $n$ を消去すると、
$$ m^2 - 4m - 4 \left( -\frac{m^2}{8} \right) - \frac{11}{2} = 0 $$
$$ \frac{3}{2}m^2 - 4m - \frac{11}{2} = 0 $$
両辺を2倍して因数分解すると、
$$ 3m^2 - 8m - 11 = 0 $$
$$ (3m - 11)(m + 1) = 0 $$
これより、$m = -1, \frac{11}{3}$ を得る。
①を用いてそれぞれの $m$ に対する $n$ の値を求めると、 $m = -1$ のとき、$n = -\frac{1}{8}$ $m = \frac{11}{3}$ のとき、$n = -\frac{121}{72}$
したがって、求める直線のうち傾きが $-1$ のものは $y = -x - \frac{1}{8}$、傾きが $\frac{11}{3}$ のものは $y = \frac{11}{3}x - \frac{121}{72}$ である。
(2)
(1) の結果より、傾きが負である直線 $l$ の方程式は
$$ l : y = -x - \frac{1}{8} $$
である。
$C_1$ と $l$ の接点の $x$ 座標は、$2x^2 - (-x) - \left(-\frac{1}{8}\right) = 0$、すなわち $2\left(x + \frac{1}{4}\right)^2 = 0$ より $x = -\frac{1}{4}$ である。
直線 $l$ と $x$ 軸の交点の $x$ 座標は、$-x - \frac{1}{8} = 0$ より $x = -\frac{1}{8}$ である。
$C_1$ と $x$ 軸の交点は原点 $(0,0)$ のみである。
求める面積 $S$ は、$x$ の範囲 $- \frac{1}{4} \leqq x \leqq 0$ における $C_1$、$x$ 軸、$l$ によって囲まれる部分である。 この部分は、$x = -\frac{1}{4}$ から $x = -\frac{1}{8}$ までは $C_1$ と $l$ の間の面積、$x = -\frac{1}{8}$ から $x = 0$ までは $C_1$ と $x$ 軸の間の面積に分割できる。
よって、面積 $S$ は
$$ \begin{aligned} S &= \int_{-\frac{1}{4}}^{-\frac{1}{8}} \left\{ 2x^2 - \left( -x - \frac{1}{8} \right) \right\} dx + \int_{-\frac{1}{8}}^{0} 2x^2 dx \\ &= \int_{-\frac{1}{4}}^{-\frac{1}{8}} 2\left( x + \frac{1}{4} \right)^2 dx + \int_{-\frac{1}{8}}^{0} 2x^2 dx \\ &= \left[ \frac{2}{3} \left( x + \frac{1}{4} \right)^3 \right]_{-\frac{1}{4}}^{-\frac{1}{8}} + \left[ \frac{2}{3} x^3 \right]_{-\frac{1}{8}}^{0} \\ &= \frac{2}{3} \left( \frac{1}{8} \right)^3 - 0 + 0 - \frac{2}{3} \left( -\frac{1}{8} \right)^3 \\ &= \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{512} + \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{512} \\ &= \frac{1}{768} + \frac{1}{768} \\ &= \frac{1}{384} \end{aligned} $$
解法2
(1)
$C_1: y = 2x^2$ 上の点 $(t, 2t^2)$ における接線の方程式を求める。
$y' = 4x$ より、接線の傾きは $4t$ であるから、接線の方程式は
$$ y - 2t^2 = 4t(x - t) \iff y = 4tx - 2t^2 \quad \cdots \text{③} $$
この直線③が $C_2: y = -x^2 + 2x - \frac{19}{8}$ と接するとき、2次方程式
$$ -x^2 + 2x - \frac{19}{8} = 4tx - 2t^2 \iff x^2 + (4t - 2)x - 2t^2 + \frac{19}{8} = 0 $$
は重解をもつ。この判別式を $D$ とすると、$D = 0$ より
$$ \frac{D}{4} = (2t - 1)^2 - \left( -2t^2 + \frac{19}{8} \right) = 0 $$
$$ 4t^2 - 4t + 1 + 2t^2 - \frac{19}{8} = 0 $$
$$ 6t^2 - 4t - \frac{11}{8} = 0 $$
両辺を8倍して整理すると、
$$ 48t^2 - 32t - 11 = 0 $$
$$ (4t + 1)(12t - 11) = 0 $$
これより、$t = -\frac{1}{4}, \frac{11}{12}$ を得る。
それぞれを③に代入して整理すると、
$t = -\frac{1}{4}$ のとき、$y = -x - \frac{1}{8}$
$t = \frac{11}{12}$ のとき、$y = \frac{11}{3}x - 2 \left( \frac{11}{12} \right)^2 = \frac{11}{3}x - \frac{121}{72}$
したがって、求める共通接線は $y = -x - \frac{1}{8}$ と $y = \frac{11}{3}x - \frac{121}{72}$ である。
(2)
(1) より $l: y = -x - \frac{1}{8}$ であり、$C_1$ と $l$ は点 $\left(-\frac{1}{4}, \frac{1}{8}\right)$ で接する。
また、直線 $l$ と $x$ 軸の交点は $\left(-\frac{1}{8}, 0\right)$ である。
求める面積 $S$ は、区間 $-\frac{1}{4} \leqq x \leqq 0$ における $C_1$ と $x$ 軸の間の面積から、3点 $\left(-\frac{1}{4}, \frac{1}{8}\right), \left(-\frac{1}{8}, 0\right), \left(-\frac{1}{4}, 0\right)$ を頂点とする直角三角形の面積を引いたものと等しい。
曲線と $x$ 軸で囲まれた部分の積分による面積は、
$$ \int_{-\frac{1}{4}}^{0} 2x^2 dx = \left[ \frac{2}{3}x^3 \right]_{-\frac{1}{4}}^{0} = 0 - \frac{2}{3} \left( -\frac{1}{64} \right) = \frac{1}{96} $$
引くべき直角三角形は、底辺が $-\frac{1}{8} - \left(-\frac{1}{4}\right) = \frac{1}{8}$、高さが $\frac{1}{8}$ であるから、その面積は
$$ \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{8} \cdot \frac{1}{8} = \frac{1}{128} $$
よって、求める面積 $S$ は
$$ S = \frac{1}{96} - \frac{1}{128} = \frac{4}{384} - \frac{3}{384} = \frac{1}{384} $$
解説
2つの放物線の共通接線を求める典型的な問題である。共通接線の立式には主に「直線を $y=mx+n$ とおき、2つの放物線との連立方程式がそれぞれ重解を持つ条件(判別式 $D=0$)を利用する」方法と、「一方の放物線上の接点 $(t, f(t))$ における接線を立式し、それがもう一方の放物線と接する条件を利用する」方法がある。どちらも計算量は同程度であるため、式変形のミスを防ぎやすい方を選ぶとよい。
面積を求める (2) では、図を正確にイメージし、積分区間をどこで分割するか、または図形的に引き算を利用して計算を楽にするかを見極めることが重要である。接線と放物線で囲まれる部分の定積分では、$\int (x - \alpha)^2 dx = \frac{1}{3}(x - \alpha)^3 + C$ の積分公式を用いることで計算の手間を劇的に減らすことができる。
答え
(1) 直線の方程式は $y = -x - \frac{1}{8}, \quad y = \frac{11}{3}x - \frac{121}{72}$
(2) 求める面積は $\frac{1}{384}$
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