北海道大学 1962年 理系 第3問 解説

方針・初手
- (1)は対数不等式の基本問題。真数条件を確認したうえで、$\log_{0.5} x = t$ などの変数変換を用いて二次不等式に帰着させる。
- (2)と(3)は、(ロ)の不等式を解くことが鍵となる。(ロ)の右辺 $9a$ を左辺に移項して因数分解できることに気づけば、境界値が定まり見通しが良くなる。
- $x$ の係数や定数項に文字 $a$ が含まれるため、因数分解後の境界値の大小による場合分けを丁寧に行う。
解法1
(1)
真数条件より、$x > 0$ かつ $\frac{x^2}{128} > 0$ であるから、$x > 0$ である。 与えられた不等式(イ)を変形する。
$$ \log_{0.5} x \cdot \left( \log_{0.5} x^2 - \log_{0.5} 128 \right) > -6 $$
ここで、$128 = 2^7 = \left(\frac{1}{2}\right)^{-7} = 0.5^{-7}$ より $\log_{0.5} 128 = -7$ であるから、
$$ \log_{0.5} x \cdot (2 \log_{0.5} x + 7) > -6 $$
$t = \log_{0.5} x$ とおくと、不等式は次のように表される。
$$ t(2t + 7) > -6 $$
$$ 2t^2 + 7t + 6 > 0 $$
$$ (2t + 3)(t + 2) > 0 $$
これを解いて、
$$ t < -2, \quad -\frac{3}{2} < t $$
すなわち、
$$ \log_{0.5} x < -2, \quad -\frac{3}{2} < \log_{0.5} x $$
底 $0.5$ は $0 < 0.5 < 1$ であり $1$ より小さいため、不等号の向きが反転することに注意して $x$ について解く。
$$ \log_{0.5} x < \log_{0.5} 0.5^{-2} \iff x > 0.5^{-2} = 4 $$
$$ \log_{0.5} x > \log_{0.5} 0.5^{-3/2} \iff x < 0.5^{-3/2} = \left(\frac{1}{2}\right)^{-\frac{3}{2}} = 2^{\frac{3}{2}} = 2\sqrt{2} $$
真数条件 $x > 0$ と合わせて、(イ)を満たす $x$ の範囲は、
$$ 0 < x < 2\sqrt{2}, \quad x > 4 $$
(2)
不等式(ロ)の右辺を移項し、整理する。
$$ 2x^2 + (6a - 3)x - 9a < 0 $$
左辺を因数分解して、
$$ (2x - 3)(x + 3a) < 0 $$
境界となる値は $x = \frac{3}{2}, -3a$ である。(ロ)の解は、これら2つの大小関係によって場合分けされる。
(i) $-3a < \frac{3}{2}$ すなわち $a > -\frac{1}{2}$ のとき
(ロ)の解は $-3a < x < \frac{3}{2}$ である。 これが(1)の解に含まれる条件を考える。 $\frac{3}{2} < 2\sqrt{2}$ ( $\because \frac{9}{4} < 8$ )であり、この区間は $x > 4$ の部分には含まれないため、(1)の解のうち $0 < x < 2\sqrt{2}$ に完全に含まれる必要がある。 よって、下限について $0 \leqq -3a$ が成り立てばよい。
$$ a \leqq 0 $$
場合分けの条件と合わせて、$-\frac{1}{2} < a \leqq 0$ を得る。
(ii) $-3a = \frac{3}{2}$ すなわち $a = -\frac{1}{2}$ のとき
(ロ)は $(2x - 3)^2 < 0$ となり、これを満たす実数 $x$ は存在しない。 満たす $x$ が存在しない(空集合である)場合、「(ロ)を満たす全ての $x$ が(1)を満たす」という命題は論理的に真となる。 よって、$a = -\frac{1}{2}$ は条件を満たす。
(iii) $-3a > \frac{3}{2}$ すなわち $a < -\frac{1}{2}$ のとき
(ロ)の解は $\frac{3}{2} < x < -3a$ である。 この区間の下限は $\frac{3}{2}$ であり、区間全体を $x > 4$ の範囲に収めることはできない。したがって、全体が $0 < x < 2\sqrt{2}$ に含まれなければならない。 よって、上限について $-3a \leqq 2\sqrt{2}$ が成り立てばよい。
$$ a \geqq -\frac{2\sqrt{2}}{3} $$
場合分けの条件と合わせて、$-\frac{2\sqrt{2}}{3} \leqq a < -\frac{1}{2}$ を得る。
以上 (i), (ii), (iii) より、求める $a$ の範囲は、
$$ -\frac{2\sqrt{2}}{3} \leqq a \leqq 0 $$
(3)
(イ)を満たす $x$ のうち、整数となるものを求める。 $2\sqrt{2} = \sqrt{8}$ であり、$2 < \sqrt{8} < 3$ であるから、(イ)の解 $0 < x < 2\sqrt{2}, x > 4$ を満たす整数 $x$ は、
$$ x = 1, 2, 5, 6, 7, \dots $$
である。 (イ)と(ロ)を同時に満たす整数が $x = 2$ のみとなるような $a$ の範囲を、(2)と同様の場合分けから考える。
(i) $a \geqq -\frac{1}{2}$ のとき
(ロ)の解は $-3a < x < \frac{3}{2}$ または解なしである。 $\frac{3}{2} = 1.5$ であるため、この範囲に整数 $2$ が含まれることはなく、条件を満たさない。
(ii) $a < -\frac{1}{2}$ のとき
(ロ)の解は $\frac{3}{2} < x < -3a$ である。 この範囲は下限が $1.5$ であるため、常に $x = 1$ を含まない。 したがって、題意を満たすためには、この範囲に $x = 2$ が含まれ、かつ(イ)を満たす次に小さい整数である $x = 5$ が含まれなければよい。( $x=3, 4$ はもともと(イ)を満たさないため、(ロ)の範囲に含まれていても共通範囲の整数にはならない) よって、上限 $-3a$ が満たすべき条件は、
$$ 2 < -3a \leqq 5 $$
各辺を $-3$ で割ると不等号の向きが変わり、
$$ -\frac{5}{3} \leqq a < -\frac{2}{3} $$
これは場合分けの条件 $a < -\frac{1}{2}$ を満たしている。
以上より、求める $a$ の範囲は、
$$ -\frac{5}{3} \leqq a < -\frac{2}{3} $$
解説
- (1)の対数不等式では、はじめに真数条件を必ず確認すること。また、底が $1$ より小さい場合の不等号の反転は典型的なミスポイントである。
- (2)では文字を含む二次不等式を処理するため、因数分解後に得られる解の境界値の大小で場合分けを行う必要がある。「条件を満たす $x$ が存在しない」ケースも論理的に拾うことが望ましい。
- (3)がこの問題の最大の山場である。(イ)を満たす整数が $1, 2$ と連続したあと、$3$ と $4$ が抜けて $5$ に飛ぶことを正確に把握できているかが問われる。(ロ)の区間内に $3, 4$ が含まれても「同時に満たす整数」には影響しないため、上限が $5$ 以下であればよいという条件に気づくことがポイントとなる。
答え
(1) $$ 0 < x < 2\sqrt{2}, \quad x > 4 $$
(2) $$ -\frac{2\sqrt{2}}{3} \leqq a \leqq 0 $$
(3) $$ -\frac{5}{3} \leqq a < -\frac{2}{3} $$
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