北海道大学 1984年 理系 第3問 解説

方針・初手
- 実数 $a$ の値によって絶対値記号のなかの符号がどのように変わるかを調べ、$b$ を $a$ を用いて表す。
- 求まった $b$ の値によって、数列 $c_n$ の分子に現れる等比数列の和の形が異なるため、公比 $b$ に関する場合分けを行って $c_n$ を整理する。
- 整理された $c_n$ について、$n \to \infty$ としたときの極限を求める。
解法1
絶対値の中身の符号が変わる $a = -1, 1$ を境に場合分けをし、まず $b$ の値を求める。
(i) $a < -1$ のとき
$a+1 < 0$ かつ $a-1 < 0$ であるから、
$$b = \frac{-(a+1) - \{-(a-1)\}}{2} = \frac{-a-1+a-1}{2} = -1$$
このとき、$n \ge 2$ における $c_n$ の分子は初項 $1$、公比 $-1$、項数 $n$ の等比数列の和となる。分子の値は $n$ が奇数のとき $1$、$n$ が偶数のとき $0$ となるから、すべての $n \ge 2$ について
$$0 \le c_n \le \frac{1}{n}$$
が成り立つ。ここで $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0$ であるから、はさみうちの原理より
$$\lim_{n \to \infty} c_n = 0$$
(ii) $-1 \le a < 1$ のとき
$a+1 \ge 0$ かつ $a-1 < 0$ であるから、
$$b = \frac{(a+1) - \{-(a-1)\}}{2} = \frac{a+1+a-1}{2} = a$$
したがって、$-1 \le b < 1$ となる。 $a = -1$ のときは $b = -1$ であり、(i) と同様の議論により $\lim_{n \to \infty} c_n = 0$ となる。 $-1 < a < 1$ のときは $-1 < b < 1$ であり、$b \neq 1$ であるから、等比数列の和の公式を用いて $c_n$ を整理すると、
$$c_n = \frac{1}{n} \cdot \frac{1 - a^n}{1 - a}$$
となる。$-1 < a < 1$ より $\lim_{n \to \infty} a^n = 0$ であるから、
$$\lim_{n \to \infty} c_n = \lim_{n \to \infty} \left( \frac{1}{n} \cdot \frac{1 - a^n}{1 - a} \right) = 0 \cdot \frac{1}{1 - a} = 0$$
よって、$-1 \le a < 1$ における極限値は $0$ である。
(iii) $a \ge 1$ のとき
$a+1 > 0$ かつ $a-1 \ge 0$ であるから、
$$b = \frac{(a+1) - (a-1)}{2} = \frac{2}{2} = 1$$
このとき、$c_n$ の分子は $1$ を $n$ 個足した値になるため、
$$c_n = \frac{n}{n} = 1$$
したがって、極限値は
$$\lim_{n \to \infty} c_n = \lim_{n \to \infty} 1 = 1$$
以上 (i), (ii), (iii) より、極限値は $a \ge 1$ のとき $1$、$a < 1$ のとき $0$ となる。
解説
- 絶対値記号の処理、等比数列の和の計算、数列の極限といった基本事項を組み合わせた標準的な問題である。
- 数列の極限を考える際、公比 $b$ が $1$ かそうでないかによって和の公式が変わるため、そこで明確に場合分けをすることが重要となる。
- $b = -1$ の場合(分子が振動する場合)は極限が存在しないと早合点せず、和の有界性を利用して $n$ で割ることで極限が $0$ に収束することを、はさみうちの原理を用いて丁寧に記述したい。
答え
$a \ge 1$ のとき $1$ $a < 1$ のとき $0$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











