北海道大学 1998年 理系 第4問 解説

方針・初手
与えられた連立不等式のうち、まず $x - y < 0$ と $x + y < 2$ が表す領域を座標平面上にイメージし、その形状を把握します。 この領域が、残りの不等式 $ax + by < 1$(直線 $ax + by = 1$ を境界とする半平面)によって切り取られ、三角形の内部になるための幾何学的な条件を、交点の座標に関する不等式へと翻訳していきます。
解法1
不等式 $x - y < 0$ と $x + y < 2$ は、それぞれ $y > x$ および $y < -x + 2$ と変形できる。 これらの不等式を同時に満たす領域を $D$ とする。 領域 $D$ は、2直線 $l_1: y = x$ と $l_2: y = -x + 2$ の交点 $(1, 1)$ を頂点とし、$x < 1$ の範囲へ向かって開いた角の内部である。
連立不等式の表す領域が三角形の内部になるためには、不等式 $ax + by < 1$ の境界線である直線 $l_3: ax + by = 1$ が、領域 $D$ の境界となる $l_1$ および $l_2$ の「$x < 1$ の部分(半直線)」とそれぞれ交わり、かつ交点 $(1, 1)$ が不等式 $ax + by < 1$ の表す領域に含まれることが必要十分である。
(i) 点 $(1, 1)$ が領域に含まれる条件
点 $(1, 1)$ が $ax + by < 1$ を満たす必要があるため、
$$ a \cdot 1 + b \cdot 1 < 1 \iff a + b < 1 $$
が成り立つ。
(ii) $l_1$ と $l_3$ の交点に関する条件
直線 $l_1: y = x$ と直線 $l_3: ax + by = 1$ を連立すると、
$$ (a + b)x = 1 $$
となる。交点を持つためには $a + b \neq 0$ であり、交点の $x$ 座標は $x = \frac{1}{a + b}$ となる。 この交点が $l_1$ 上の $x < 1$ の部分にあるための条件は、
$$ \frac{1}{a + b} < 1 \iff \frac{1 - (a + b)}{a + b} < 0 $$
ここで、(i) の条件より $a + b < 1$ であるから、分子は $1 - (a + b) > 0$ である。 したがって、分数が負になるためには分母が負でなければならず、
$$ a + b < 0 $$
を得る。(このとき、自動的に $a + b < 1$ も満たされる。)
(iii) $l_2$ と $l_3$ の交点に関する条件
直線 $l_2: y = -x + 2$ と直線 $l_3: ax + by = 1$ を連立すると、
$$ ax + b(-x + 2) = 1 \iff (a - b)x = 1 - 2b $$
となる。交点を持つためには $a - b \neq 0$ であり、交点の $x$ 座標は $x = \frac{1 - 2b}{a - b}$ となる。 この交点が $l_2$ 上の $x < 1$ の部分にあるための条件は、
$$ \frac{1 - 2b}{a - b} < 1 \iff \frac{1 - 2b - (a - b)}{a - b} < 0 \iff \frac{1 - a - b}{a - b} < 0 $$
ここで、(ii) の結果から $a + b < 0 < 1$ であるから、分子は $1 - a - b > 0$ である。 したがって、分数が負になるためには分母が負でなければならず、
$$ a - b < 0 \iff a < b $$
を得る。
以上より、求める条件は $a + b < 0$ かつ $a - b < 0$ である。 これを $b$ について整理すると、
$$ b < -a \quad \text{かつ} \quad b > a $$
となる。
解説
図形的な「三角形の内部になる」という状況を、「3直線で囲まれた領域ができること」と「角の頂点が残りの不等式の領域に含まれること」へ正確に分解できるかがポイントです。 交点の $x$ 座標が $1$ より小さいという分数の不等式を解く際、あらかじめ求めた $a + b < 1$ などの条件を利用して分子の符号を確定させることで、安全に分母の符号を決定できます。無闇に両辺に文字式を掛けて同値性を崩さないように注意しましょう。
答え
求める点 $(a, b)$ の集合を式で表すと、
$$ a + b < 0 \quad \text{かつ} \quad a - b < 0 $$
(または $a < b < -a$)
図示する領域は、$ab$ 平面において、直線 $b = -a$ の下側かつ直線 $b = a$ の上側にあたる領域である。(境界線はすべて含まない)
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