北海道大学 1999年 理系 第5問 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ が極値をもつための条件は、導関数 $f'(x)$ の符号が変化する実数 $x$ が存在することである。 まずは $f(x)$ を微分して $f'(x) = 0$ となる条件を考える。定数が含まれるため、方程式 $f'(x) = 0$ を定数分離の形に変形し、特定の関数 $y = g(x)$ と直線 $y = a$ のグラフの上下関係が入れ替わるような $a$ の範囲を視覚的に求める方針をとる。
解法1
与えられた関数 $f(x)$ を $x$ について微分する。合成関数の微分法を用いると、導関数は以下のようになる。
$$ \begin{aligned} f'(x) &= -\frac{1}{(1+e^{-px})^2} \cdot (-pe^{-px}) - a \\ &= \frac{pe^{-px}}{(1+e^{-px})^2} - a \end{aligned} $$
ここで、
$$ g(x) = \frac{pe^{-px}}{(1+e^{-px})^2} $$
とおく。$f(x)$ が極値をもつための条件は、導関数 $f'(x)$ の符号が変化する $x$ が存在することである。 これは、$f'(x) = g(x) - a$ より、関数 $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = a$ が交差する(接するだけでなく、共有点の前後で上下関係が入れ替わる)ことと同値である。
関数 $g(x)$ の増減を調べるため、分子分母に $e^{2px}$ を掛けて整理してから微分する。
$$ g(x) = \frac{pe^{px}}{(e^{px}+1)^2} $$
さらに $x$ で微分する。商の微分法を用いる。
$$ \begin{aligned} g'(x) &= \frac{p \cdot pe^{px}(e^{px}+1)^2 - pe^{px} \cdot 2(e^{px}+1) \cdot pe^{px}}{(e^{px}+1)^4} \\ &= \frac{p^2e^{px}(e^{px}+1) - 2p^2e^{2px}}{(e^{px}+1)^3} \\ &= \frac{p^2e^{px}(1-e^{px})}{(e^{px}+1)^3} \end{aligned} $$
$p > 0$ であり、すべての実数 $x$ に対して $e^{px} > 0$, $(e^{px}+1)^3 > 0$ であるから、$g'(x)$ の符号は $1-e^{px}$ の符号と一致する。
$1-e^{px} = 0$ を解くと、
$$ e^{px} = 1 $$
$p > 0$ より、これを満たすのは $x = 0$ のみである。したがって、$g(x)$ の増減表は次のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ |
| $g(x)$ | $\nearrow$ | $\frac{p}{4}$ | $\searrow$ |
また、$x \to \pm \infty$ のときの極限を調べる。
$$ \lim_{x \to \infty} g(x) = \lim_{x \to \infty} \frac{pe^{-px}}{(1+e^{-px})^2} = \frac{p \cdot 0}{(1+0)^2} = 0 $$
$$ \lim_{x \to -\infty} g(x) = \lim_{x \to -\infty} \frac{pe^{px}}{(e^{px}+1)^2} = \frac{p \cdot 0}{(0+1)^2} = 0 $$
よって、$y = g(x)$ のグラフは、$x=0$ で最大値 $\frac{p}{4}$ をとり、常に $g(x) > 0$ を満たし、$x$ 軸を漸近線にもつ山の形となる。
$f'(x)$ の符号が変化するためには、直線 $y = a$ が関数 $y = g(x)$ のグラフの $0 < y < \frac{p}{4}$ の部分と交わる必要がある。 $a = \frac{p}{4}$ のときはグラフが接するのみで $g(x) - a$ の符号は負のまま変化せず、$f'(x)$ は極値をもたないことに注意する。
以上より、求める定数 $a$ の値の範囲は、
$$ 0 < a < \frac{p}{4} $$
である。
解説
関数が極値をもつ条件を考える際の定石である「$f'(x)$ の符号変化」を問う問題である。 単に $f'(x) = 0$ が実数解をもつことを条件にしてしまうと、接する場合($a = \frac{p}{4}$)を含めてしまい誤答となるため注意が必要である。
定数分離を行い、$y = g(x)$ と $y = a$ のグラフの共有点を考えることで、視覚的に符号変化の様子を捉えやすくなる。 また、$g(x)$ を微分する際、そのまま商の微分を行うよりも、$e^{px}$ を分母分子に掛けておく、あるいは $t = e^{px}$ とおいて $t$ の関数として増減を調べると計算ミスを防ぎやすい。今回の関数(ロジスティック曲線と呼ばれる関数の導関数)は $y$ 軸に対して対称な釣鐘型になることも押さえておきたい。
答え
$$ 0 < a < \frac{p}{4} $$
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