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北海道大学 2004年 理系 第3問 解説

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北海道大学 2004年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は、すべての $x \geqq 0$ で不等式が成立する条件を求める問題である。$f(x) = e^x - a(x+2b)$ とおき、$x \geqq 0$ における $f(x)$ の最小値が $0$ 以上となる条件を求める方針をとる。

(2) は、定積分を計算すると $a$ と $b$ の2変数関数となる。これを (1) で求めた条件のもとで最小化する。不等式条件を用いて $a$ を消去(または固定して考え単調性を利用)し、$b$ の1変数関数に帰着させて微分法で最小値を求める。

解法1

(1)

$f(x) = e^x - a(x+2b)$ とおく。

$x$ について微分すると、以下のようになる。

$$ f'(x) = e^x - a $$

$f'(x) = 0$ とすると $x = \log a$ である。

条件より $a \geqq 1$ であるから、$\log a \geqq \log 1 = 0$ となり、$x = \log a$ は $x \geqq 0$ の範囲に含まれる。

$x \geqq 0$ において、$0 \leqq x < \log a$ のとき $f'(x) < 0$、$x > \log a$ のとき $f'(x) > 0$ となる。

したがって、$f(x)$ は $x = \log a$ で最小値をとる。その最小値は以下の通りである。

$$ \begin{aligned} f(\log a) &= e^{\log a} - a(\log a + 2b) \\ &= a - a(\log a + 2b) \\ &= a(1 - \log a - 2b) \end{aligned} $$

$0$ 以上のすべての実数 $x$ について $f(x) \geqq 0$ が成り立つための必要十分条件は、最小値が $0$ 以上となることであるから、以下の不等式が成り立つ。

$$ a(1 - \log a - 2b) \geqq 0 $$

$a \geqq 1 > 0$ であるから、両辺を $a$ で割って整理すると、求める条件は以下のようになる。

$$ \log a + 2b \leqq 1 $$

(前提条件として $a \geqq 1, b > 0$ を満たすものとする)

(2)

与えられた定積分を計算し、その値を $I$ とおく。

$$ \begin{aligned} I &= \frac{1}{ae^b} \int_{0}^{1} \frac{1}{x+2b} dx \\ &= \frac{1}{ae^b} \left[ \log(x+2b) \right]_{0}^{1} \\ &= \frac{1}{ae^b} \left( \log(1+2b) - \log 2b \right) \\ &= \frac{1}{ae^b} \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) \end{aligned} $$

(1) で求めた条件 $\log a + 2b \leqq 1$ より、以下の不等式が得られる。

$$ \log a \leqq 1 - 2b $$

$$ a \leqq e^{1-2b} $$

また、$a \geqq 1$ であるから $1 \leqq e^{1-2b}$ となり、$1 - 2b \geqq 0$ すなわち $b \leqq \frac{1}{2}$ が必要である。

条件 $b > 0$ と合わせると、$b$ のとりうる範囲は $0 < b \leqq \frac{1}{2}$ となる。

次に、$I$ の式において $b$ を固定して考えると、$a > 0$ の範囲において $I$ は $a$ について単調減少する。

したがって、$I$ は $a$ が最大となるときに最小値をとるため、$a = e^{1-2b}$ を代入したときに最小となる。

$$ I \geqq \frac{1}{e^{1-2b} \cdot e^b} \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) = e^{b-1} \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) $$

これを $g(b)$ とおき、$0 < b \leqq \frac{1}{2}$ における $g(b)$ の最小値を求める。

$g(b)$ を $b$ について微分する。

$$ \begin{aligned} g'(b) &= e^{b-1} \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) + e^{b-1} \cdot \frac{1}{1 + \frac{1}{2b}} \cdot \left( -\frac{1}{2b^2} \right) \\ &= e^{b-1} \left\{ \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) - \frac{2b}{2b+1} \cdot \frac{1}{2b^2} \right\} \\ &= e^{b-1} \left\{ \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) - \frac{1}{b(2b+1)} \right\} \end{aligned} $$

ここで、中括弧の中を $h(b) = \log\left( 1 + \frac{1}{2b} \right) - \frac{1}{b(2b+1)}$ とおき、$h(b)$ の符号を調べるためにさらに微分する。

$$ \begin{aligned} h'(b) &= \frac{1}{1 + \frac{1}{2b}} \cdot \left( -\frac{1}{2b^2} \right) - \frac{-\left( 1 \cdot (2b+1) + b \cdot 2 \right)}{\left\{ b(2b+1) \right\}^2} \\ &= -\frac{1}{b(2b+1)} + \frac{4b+1}{b^2(2b+1)^2} \\ &= \frac{-b(2b+1) + 4b + 1}{b^2(2b+1)^2} \\ &= \frac{-2b^2 + 3b + 1}{b^2(2b+1)^2} \end{aligned} $$

$0 < b \leqq \frac{1}{2}$ において、分子の $-2b^2 + 3b + 1$ について考えると、軸は $b = \frac{3}{4}$ の上凸な放物線であり、$b = \frac{1}{2}$ のとき $-\frac{1}{2} + \frac{3}{2} + 1 = 2 > 0$ となる。

したがって、区間 $0 < b \leqq \frac{1}{2}$ において常に $-2b^2 + 3b + 1 > 0$ であるから、$h'(b) > 0$ となり、$h(b)$ は単調増加である。

また、$b = \frac{1}{2}$ のときの $h(b)$ の値は以下のようになる。

$$ h\left(\frac{1}{2}\right) = \log(1+1) - \frac{1}{\frac{1}{2} \cdot 2} = \log 2 - 1 $$

自然対数の底 $e$ は $e > 2$ であるため、$\log 2 < \log e = 1$ であり、$h\left(\frac{1}{2}\right) < 0$ となる。

$h(b)$ は単調増加であり、区間の右端で負であることから、$0 < b \leqq \frac{1}{2}$ の範囲において常に $h(b) < 0$ が成り立つ。

これにより、$g'(b) = e^{b-1} h(b) < 0$ となるため、$g(b)$ は $0 < b \leqq \frac{1}{2}$ において単調減少する。

ゆえに、$g(b)$ は $b = \frac{1}{2}$ のとき最小値をとる。このときの $a$ の値は以下の通りである。

$$ a = e^{1 - 2 \cdot \frac{1}{2}} = e^0 = 1 $$

これは条件 $a \geqq 1$ を満たす。このときの定積分の最小値は以下のようになる。

$$ g\left(\frac{1}{2}\right) = e^{\frac{1}{2}-1} \log\left( 1 + \frac{1}{2 \cdot \frac{1}{2}} \right) = e^{-\frac{1}{2}} \log 2 = \frac{\log 2}{\sqrt{e}} $$

解説

(1) は、すべての $x \geqq 0$ で不等式が成立する条件を求める典型的な問題である。不等式を片側に寄せて関数とし、その関数の最小値が $0$ 以上になる条件を立式することで解決する。底や真数条件の初歩的な性質の確認も含まれる。

(2) は、2変数の最小値問題である。(1) で求めた条件の不等式を用いて片方の文字(今回は $a$)を消去し、1変数関数に帰着させる手法が有効である。式の形から $a$ について単調減少であることが分かるため、上限値を代入することでスムーズに $b$ のみの関数へ移行できる。残った $b$ の関数を微分して増減を調べる際、一度の微分では導関数の符号が判別しにくい。そのため、導関数の一部を取り出して再度微分し、単調性や端点の値から間接的に符号を判定する手法が要求される、微積分の総合力が問われる問題である。

答え

(1) $a \geqq 1, b > 0, \log a + 2b \leqq 1$

(2) $a=1, b=\frac{1}{2}$ のとき、最小値 $\frac{\log 2}{\sqrt{e}}$

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